未来のいつか/hyoshiokの日記

hyoshiokの日々思うことをあれやこれや

地域Linux Users Group (LUG)の現状について

地方での勉強会の開催について先日記したが、世界に目を向けてみる。丁度、Linux Foundation CTOの、Ted TsoのBLOGに地域LUGの現状について書いていたのでそれをネタにしてみる。

http://thunk.org/tytso/blog/2009/02/04/how-active-are-your-local-linux-users-groups/

At the Linux Foundation, I recently had been brainstorming with some my colleagues about ways in which we might be able to reach out to the various local Linux User’s Group (LUGS)
Linux Foundationで先日、同僚と、いろいろな地域LUGと連携する方法についてブレーンストーミングした。

東京は世界的にみても、人口密度は高いし経済活動は非常に活発なので、地域LUGのようなコミュニティ活動をする場所としては非常に恵まれている。ある意味特異点といってもさしつかえない。一方、世界中の多くの地域は、人口密度も低いし、経済活動もそれほど活発ではないし、インターネットどころか、電話や電気という社会的なインフラそのものも十分とは言えない。かのシリコンバレーですら、夏場に停電とか、日本ではありえない事がおこったりする。ブロードバンドって何それみたいな。先進諸国といっても、そんなところである。

LUG(Linux Users Group)という、世界各地にあった(今もある)ユーザーコミュニティが最近停滞しているのは、かつてはLinuxをインストールしたり起動したりすることが大きなハードルだったので、みんなで集まっていろいろ質問とかしながら互助会的に相互援助することによって、そのハードルを越えていた、そのようなアクティビティが活動のひとつだったのが、最近では、Linuxブームもさったし、Ubuntuをはじめとするインストールが簡単なLinuxの台頭によって、インストール大会のようなものすら必要になくなってきたし、インターネットで検索すれば自前でどうにかなるというような背景があるのかないのか。

http://lenovoblogs.com/connections/?p=136

Has the web now relegated the user group to history, along with dot matrix printers, cassette tapes for mass storage, and dial up modems with acoustic couplers?
Webはドットマトリクスプリンタ、補助記憶装置としてのカセットテープ、音声カップラによるダイアルアップモデム同様、ユーザグループを歴史に追いやったのか?

他の地域の実情はよくわからないが、世界的な傾向として地域LUGの衰退というのがあるようである。日本でも2000年前後に雨後の竹の子のように発足したLUGのその後というのはあまり聞かない。例外的な地域LUGというのは、東京界隈だとTLUG (Tokyo Linux Users Group)、YLUG (横浜Linux Users Group)、小江戸LUGなどが今でも活発に活動をしている。

わたしが所属しているYLUGなんかは、カーネル読書会メーリングリストでのやりとりなど10年間ほぼ継続している。カーネル読書会は特に会則とか公式な運営体制があるわけではなく、ゆるゆるぐづぐづな運営をやっているのに上手くいっている。代表とか会長がいるわけでもなく、参加したい人が参加したいペースで開催している。

LUGに限らず、地方(地域)のコミュニティ(勉強会を含む)の運営というのは、地域独自の難しさというよりも、実は組織運営そのものの難しさというものがあって、それを巧みに回避しつつ、楽しみに昇華できるかどうかというようなところにあるのではないかと思う次第である。

日本という地域で、地方での活発なコミュニティ活動の成果を見ていると、われわれは、世界に先駆けて、そのような運用ノウハウを構築しつつあるのではないか。そのようなノウハウを世界に発信していけば、それはバザールモデル社会への大きな貢献に繋がるのではないかと思う。