未来のいつか/hyoshiokの日記

hyoshiokの日々思うことをあれやこれや

楽天テクノロジーカンファレンスを後ろから見た

既に書かれているとおり*1id:kkawamuraが今年の楽天テクノロジーカンファレンス実行委員会委員長として、今回のイベントを仕切っていた。自分はあくまで、一講演者としてこのカンファレンスに関わったのだが、最初は外の人、いつのまにかに中の人という、とってもユニークな立ち位置での関わりだったので、忘れないうちに一言二言記しておく。

5月か6月ころに、知り合い(楽天テクノロジーカンファレンスのおかあさん役)から今年もテックカンファやるんだけど、相談にのってよ〜という感じの軽いノリのメールが来て、いいすよいいすよという軽い返しで飲み会をしながらお話をすることになった。そのころは既に楽天への転職活動をしていて、内定が出るとか出ないとかの時期だった。まあ、そんなことは当然おくびにも出さず、自称プロの酔っ払いとして、相談というか、自分にとってはただの飲み会に参加した。

いろいろ難しいことを考えていられたようであるが、カーネル読書会や勉強会勉強会で培った勉強会の仕切りの極意、すなわち、仕切らない仕切り、頑張らない頑張りのことを言っていたのか言っていなかったのか、よく覚えていない。

ただしコンテンツに関しては妥協してはいけないというようなことは言ったような気がする。

先日id:kkawamuraがいい事を言ったので、それいいね〜と相槌をうったら、それってhyoshiokさんに言われたことですよと返されてしまって、あ、そーだったけ、そーだよね〜みたいななさけない展開になってしまった。まあ、わたしの野望は楽天の芸風をかえることだとか言ったら、それって楽天のhyoshiok化ですねと、誰かにまとめられたが当たらずとも遠からずか。

そのいい事言ったというのが、その人の講演を聞きたいと思う人を口説けというお話だ。

カーネル読書会もそうなのだが、講演してもらうコンテンツについては自分が聞きたいか聞きたくないかが絶対の条件になる。たまたま流行りの技術だとか、この話だったら人がいっぱい集まるだろうというような感じでプログラムを組んではいけない。流行っていようがいまいが、人が集まりそうだろうがそうでなかろうが、自分が聞きたい内容を話してくれる人に誠心誠意お願いする。それを口説くという。誰かに言われたからお願いするのではなく、自分が聞きたいからお願いする。口説く。なぜ、わたしはあなたのお話を聞きたいかをとことん説明する。

プログラミングキャンプの講師をお願いした方法も、この人に講義をしてほしいという人を選び、中学生や高校生にハッカーの流儀を教えてほしいということをお願いした。一人一人お願いした。そして、そーやって自分が考えられる最高の講師陣を集めていく。

これって、ドリームチームを作るということだ。

会社の組織と違ってボランティア組織は上下関係を利用した命令系統がない。上下関係がないからそれを利用してトップダウンに仕事を進めていくことができない。軍隊のようなトップダウンなオペレーションができない。

今回の楽天テクノロジーカンファレンスの運営は開発部のボランティア(志願した人)によってなされていた。仕事上の上下関係で動いていたわけではない。もちろん担当役員はいたが、実質的なオペレーションは実行委員会が仕切っていた。マーケティングや営業が仕切るイベントではない。基本的には実行委員はボランティアである。本業があって、業務をこなした上で運営に携わったわけだ。

そのような人たちをまとめる方法は上下関係ではない。上下関係を利用した恐怖ではない。対等な関係の上での共感である。このひとと一緒にやっていると気持ちがいい、そーゆー空気でありリズムである。

すごいことだと思う。いろいろ苦労があったと思う。だけど、それをやりとげた行動力とパッションは素晴らしい。

そして、そのような舞台裏の進行を見ながらテックカンファの2日前に第100回カーネル読書会*2を行った。その興奮覚めやらないなか、カーネル読書会の興奮をぜひ伝えたいと思い、当日飛び入りでLTをさせていただいた。無茶ぶりに軽やかに対応したのは、そのいいんちょーだ。アジャイルな運営ではないか。臨機応変にどうにか対応していただいた。

LT枠は20人いるから一人15秒オーバーすると、わたしが飛び入りする5分の枠がすっ飛んでしまう。当日の最後の最後までわたしが飛び入りLTできるかどうかは正直わからなかった。司会の阿部さんが、ドラがなっても、ふつーに話している人に、多分そーゆー人はLTという形式をご存じない方なのだと思うが、「はいありがとうございました〜。では次の方ど〜ぞ〜」とツンデレ風味で仕切ってくれなかったら、これまたLTを飛び入りでやることはできなかった。

いろいろなラッキーはあったと思う。実行委員の一人一人の思いがつまった素敵なイベントだったと思う。

もちろん、このイベントを契機にいろいろな成果をだし社会をよい方向に変えていく必要があるし、その意味での成果はまだ出ていない。改善すべき運営上の問題ももちろんあると思う。

組織ではない個人の一人一人の活躍で大きな事を成し遂げるというコミュニティ駆動型の成功体験を積んだのではないかと思う。そしてその方法論こそがまさにオープンイノベーション方法論であり、大きな組織が学ばなければいけない運営方法論のような予感がする。

わたしは、個人個人が一人一人独立に最適解を追求することによってマクロにも最適な状況を作りうるという事例を今回の楽天テクノロジーカンファレンスの実行委員は証明したような気がする。

マニュアルにはなっていないがベストプラクティスがそこにあり、委員一人一人はそれを経験した。そのようなことを理解し経験した人材を持つ組織は、来るべきオープンイノベーションに対応する潜在能力を持つように私は思う。

魂のこもった素晴らしいイベントだった。わたしも多くの事を学んだ。参加していて気持ちのいいイベントであった。

ありがとう。