未来のいつか/hyoshiokの日記

hyoshiokの日々思うことをあれやこれや

カーネル読書会のこと

カーネル読書会の運営で困ったので、ここで相談してみる。

カーネル読書会に限らず、勉強会一般に言えることだと思うので、勉強会の運営を一般化していうと、(1)ネタの選定?とお題提供者との各種調整(スケジュールや、内容のすり合わせ)、(2)会場の確保、(3)告知その他、(4)当日の運営あれやこれや、(5)それ以外のあれやこれや。というのがあると思う。規模が大きくなって有償イベントになると、それ以外のあれやこれやが大きくなるのだけど、無償の数十人規模の勉強会ではそれは発生しない。あえていえば、ビアバッシュや懇親会をどうするかという話があるのだけど、本日のメインポイントはそこではない。

カーネル読書会というのは1999年4月からやっているオープンソース系の勉強会で、主にLinuxのことについて取り上げて2009年10月の第100回にはLinuxを作ったLinusも参加してくれた。今年の5月には第107回のカーネル読書会を開催した。

10年で100回開催したので、年間約10回のペースで開催していた。ざっくりいって不定期ながらも毎月毎月あれやこれや開催しているという感じであった。一方で100回以降は2年で7回とペースがががっと下がってしまった。

http://www.ylug.jp/modules/pukiwiki/?history

2010年に6回、2011年にいたっては1回しか開催していない。あきらかに開催頻度が下がっている。

なんでこうも極端に開催頻度が下がったかというと、わたしのモチベーションが下がったというのもあるのだが(まあ、それが唯一の原因であるのだけど)、個人でやっている勉強会の問題の典型例であるので、あえてケーススタディとして皆さんの知恵と協力を拝借したい。

勉強会というのは、(A)勉強会を開催するコスト、(B)勉強会を開催するメリットとしたとき、A<Bならば開催されるし、A>Bならば開催されない(よしおかの勉強会の第一法則)、という法則が知られていて、A<Bにするのが勉強会主催者の力量になる。

カーネル読書会の場合について考えてみると、運営コストAについては、1の話題提供者とのすり合わせは、2009年前後で大きく変わったということもないし、3の告知のコスト等についても特に大きな変化はない。むしろ、twitterfacebookのようなソーシャルなメディアのおかげで告知のコストは下がっているし、ATNDのような参加登録システムの普及で多くの人に参加を促すプラットフォームは整備されてそのコストは下がったと言ってもいい。また、IT勉強会カレンダーの登場(2008年)、その後の勉強会ブームということで、勉強会にまつわる環境はいろいろな意味でよくなってきている。すなわち、まわりの理解が深まって、Bの価値の部分が増えたり、Aの有形無形のコストが減ったと言える。

自分にとっての変化は2009年8月の転職である。それが、2の会場の確保、4の当日の運営あれやこれやに大変な影響を持った。Aのコストが上がった。

具体的に言うと、ミラクル・リナックスに勤務していたころは、会場は会社の会議室予約システムであいている日時を抑えて、総務に何日にカーネル読書会をしますと知らせるだけであったが、今の会社では、空き時間を調べて会議室を確保するだけでなく、エレベータ、空調、鍵の解錠、GUESTカードの申請、イベントの申請、ケータリングがあればその申請など、様々な手続き系がある。何を申請するかはマニュアル化してあるので、考えなくてもいいのだけど、やはり手間暇はかかる。

さらに当日の運営である。セキュリティの関係で1階ロビーに受付を設置し、入館証を自筆で記入いただき、GUESTカードを首からぶら下げてもらい、専用エレベータで会場階まで連れて行って会場に誘導する。受付に2名、エレベータに1名、1階エレベータホールに1名、会場階ホールに1名、会場に1名、全体統括に1名と最低でも7名運営スタッフが必要になる。

それだけではない。登録したけれど、当日ドタキャンをする人、受付時間が終わってから遅刻をする人が必ずいる。遅刻対応のために、受付、エレベータ係などを配置するコストも発生する。遅刻だけではなく、懇親会に出なくて早退する人がいれば、入場のフローとは逆に、1階ロビーまでエスコートしてGUESTカードを回収するコストが発生する。さらに、退場時にもフロアーの誘導、エレベータ、1階ロビーでのGUESTカード回収のコストが発生する。

2の申請系のコストは定数なので極小化、アウトソースできるが、4の運営コストについては、それも難しい。つまり、勉強会をするたびに、この運営ボランティアをどう確保するかが大きな課題になる。

結局開催コスト(A)が開催メリット(B)を上回る(A>B)という状況のため、カーネル読書会の軽やかな開催が阻害されているのである。

この問題は、カーネル読書会に限らず、社外勉強会を社内に誘致する場合常につきまとう普遍的な問題である。

われわれはイベント屋でも貸し会議室屋でもないので、それをビジネスにして金で解決することはできない。例えば、参加者から金を取って、会議室代を捻出したり、受付の人件費を回収したりはできない。

わたしが、ミラクル・リナックスにいたころには、2のコストも4のコストもないに等しいくらい低かったのでA<Bの不等式が成立した。残念ながらいまの会社では4のコストが高くなっている。

そこで皆様に相談である。

2ないし4について低コストで提供いただける場所、ボランティアを募集する。あるいは、そのアイデアを募集する。どんなアイデアでも、クレージーな提案でも結構である。

カーネル読書会を続けたいというわたしの思いをコミュニティに投げる。解決策は必ずあると信じている。