未来のいつか/hyoshiokの日記

hyoshiokの日々思うことをあれやこれや

人工知能の入門書を読んだ。「人工知能は人間を超えるか」松尾豊著、「脳・心・人工知能」甘利俊一著

人工知能の入門書、
人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの (角川EPUB選書)と、脳・心・人工知能 数理で脳を解き明かす (ブルーバックス)を読んだ。どちらも入門書として平易に書かれているので、門外漢でも読み進めることができる。

私が、就職した頃(80年代半ば)は、まさに第二次AIブームということで、高度成長を謳歌した日本は、怖いものなしで、AIの分野でも世界を席巻しようとしていた。

第五世代コンピュータプロジェクトという汎用AIを作るという意欲的なプロジェクトが実施されていたのもその頃だ。AIが、強いAIを志向するというよりも便利な道具としてエキスパートシステムなどがもてはやされていた。論理的推論によって問題解決を行う。問題を明示的に記述できれば、あとは機械が自動的に推論して結論を導き出す。限定的な問題については一定の成果を得られたが、知識をルールという形式にして記述することは簡単ではないし、それが数千という規模になるとそもそもルール自体の矛盾があったりして壁にぶつかっていった。

前者は人工知能の歴史を俯瞰する内容になっていて、後者はニューロコンピューティングの立場から人工知能の発展を記している。

前者の人工知能の立場は論理的な演算や記号を扱うことによって人の知能に迫ろうとするのに対し、後者は脳のメカニズムを定式化することによって、知能に迫ろうとしている。長いことこの二者は接点がなく発展して行ったのだが、昨今、ディープラーニングなどで、両者の接点が急速に広がっているように感じる。

ディープラーニングに関しては、2012年画像認識コンペティションでカナダのチームが従来の手法とは異なる手法で認識率を飛躍的に挙げたことによって注目を集めた。機械学習ボトルネックニューラルネットワークによって解決した。

この第三次AIブームによって人工知能の研究者とニューラルネットの研究者が交わったように見える。

第三次AIブームを理解するためには両者の立場の視点を理解することが重要だが、その意味でこの入門書はコインの表と裏を理解するための最適なものになっている。

良著だ。