未来のいつか/hyoshiokの日記

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和歌山県立和歌山商業高校が楽天IT学校甲子園で高校生が選ぶ特別賞を受賞した件

楽天IT学校で担当した和歌山県立和歌山商業高校が楽天IT学校甲子園で高校生が選ぶ特別賞を受賞した。 *1

楽天IT学校というのは、すでに何回かこの日記でも紹介したが、主に商業高校の生徒向けに、楽天の店舗・施設(ホテルなど)と協力して、電子商取引の実践を教える授業である。毎年5月ごろスタートして、生徒と一緒に、楽天市場や、楽天トラベルの販売ページを作っていき、それぞれの高校の選抜チームが、東京で楽天IT学校甲子園というところで発表し競い合う。

今年は67校から1937人の高校生が参加した。年々、参加校、参加生徒数など規模を拡大している。

高校生が電子商取引の授業で販売ページを作った話

インターネットのパワーと可能性を高校生に伝えたい(楽天IT学校)

生マグロがすごい

自分が担当した和歌山県立和歌山商業高校が高校生が選ぶ特別賞を受賞したのでそのことについて記す。

和歌山県立和歌山商業高校が作ったページ

授業のコンテンツ

楽天市場の販売ページを、商業高校の「電子商取引」授業の一環として店舗さんの協力のもと生徒さんたちと一緒になって作成するというのが楽天IT学校だ。授業なのでもちろん学校の先生方に協力いただき、最終的には成績もつく。

通常の「電子商取引」の授業では、情報通信技術の進展とビジネスという観点から座学でコンテンツの制作、ウェブデザイン、電子商取引の概要を学ぶわけだが、楽天IT学校では、それだけではなく、制作した販売ページを店舗さんの協力のもと実際に販売するところまで行う。

実際に販売するので、当たり前であるが、売れれば売上がたつ。

授業のコンテンツは楽天の販売店舗向けに作成したものを事務局がアレンジして作ったものを担当の講師がそれぞれの高校へ展開する。

全8回の講義を月に一回くらいのペースで行う。今年の場合は下記のようなスケジュールだった。

  • 5月 楽天IT学校の基礎を知る
  • 6月 商品を決定する+マーケティングの基礎を学ぶ
  • 7月 ページ制作のノウハウを学ぶ 
  • 8月 生産者さん見学(那智勝浦)
  • 9月 販売ページを画像で作成する
  • 10月 販売ページを画像で完成させる(販売開始)
  • 11月 検証・改善する+集客について学ぶ(売り上げ中間発表)
  • 12月 プレゼン発表+代表チームを決定する
  • 1月 IT学校甲子園
  • 1月 楽天IT学校で学んだ内容を振り返る

和歌山商業高校の担当になった

楽天IT学校の講師は、業務として市場ないしはトラベル事業部から参加するものと、社内公募で本業とは別に応募して選ばれるものとからなる。私の場合は、自ら公募に手を挙げてなった。

担当の学校は事務局が選んだ。私の場合は和歌山商業高校であった。縁もゆかりもないし、和歌山県に行くのも生まれて初めてなので、正直どうなるか若干不安であったが、意外とどうにかなった。

和歌山県は陸路で行くと午前中の授業の開始には間に合わないので前日入りをした。前日から和歌山にいることをいいことに、先生、店舗の上野さん、楽天から大山さん、私たちで、毎回事前打ち合わせの飲み会を行った。

学校側の担当、江口先生、川口先生、丹下先生、店舗(紀伊国屋文左衛門本舗、とち亀物産)上野社長の皆さんとは今回初対面であった。 *2

和歌山についてアレヤコレヤ毎回教えてもらった。

電子商取引の教科書を江口先生に手配いただき入手した。教科書を読んでみると実務では重要なことがあまりふれられていなかったり、逆に実務ではそれほど重要ではないことが詳しく解説されているなど、学校とは違った立場からレビューできた。

生徒の名簿もあらかじめ共有いただいた。自分自身もっと名簿を活用して生徒の名前を全員覚えて、積極的に声かけなどをすればよかったと反省している。努力が足りなかった。

授業とやったこと

授業内容については、事前に事務局から資料が共有され、社内で講師向け講習会(竹下知代美さんが講師になるので「たけちよ塾」と呼ばれていた)で、授業の流れについて確認した。授業の時間配分、強調するポイント、アイスブレークなどなど、様々なノウハウが共有された。(たけちよ塾に参加できなくてもビデオがのちに社内で公開された)

私は今回初めて講師として参加するので、たけちよ塾で授業の進め方のコツを伝授いただき大変助かった。

授業は講義の部分とグループで行うグループワークの部分があって、グループワーク用の配布物などは事前に学校に配布をお願いした。

授業当日は、三者で事前に当日の授業の大まかな流れ(時間配分)、配布物、アンケートなどをざっと確認して、授業に臨んだ。

講義は大山さんないし私が担当して、タイムキーパー、グループワークの時の声がけなどを行った。店舗の上野さんには、適宜コメントをいただき、ネット販売でのリアルな声を高校生に伝えた。

授業については担当の江口先生などの指導のもとスムースに行われた。

毎回、授業について、満足度とわかりやすさを5段階評価、自由形式で感想を記入してもらった。大変満足(大変わかりやすい)、満足(わかりやすい)の評価だと嬉しいが、不満(わかりにくい)の評価だと若干凹む。コメントを読むのが授業を行う時の励みになった。

授業の後、三者で簡単に振り返り、宿題の確認、次回のスケジュールの確認などを行った。

44名で8班に分かれてグループ作業を行った。販売商品はみかん、梅干し、生マグロなどで、各班授業で習ったフレームワークをもとに販売ページを作成していった。

10月の授業で販売ページを完成させ、いよいよ実際の販売となった。
11月の授業で約一月間の販売実績を発表した。8チーム中4チームの売り上げが0だった。現実は厳しい。売れると思ってもなかなか売れない。なぜ売れないのか?どうやったら売れるのか?などの考察をもとにページの改良を行った。ページの改良ともに集客案についてもアイデア出しなどを行った。ページの改善では、写真は1)アップで撮る、2)シャープに撮る、3)暗いよりも明るく撮るなどのヒントをもとに改善を行った。扱った商品は食品だったのでシズル感のあるものにするなどの改善を行った。

楽天IT学校甲子園

12月に授業で楽天IT学校甲子園(2017年1月開催)の参加チームを決定した。
評価のポイントは販売ページ、売り上げ、プレゼンテーションで判断した。

今回選抜された三班は冬休みに発表資料作成、練習などをクラスの仲間の協力も得つつ行った。

前日(1月12日)に東京まで来て、楽天本社見学、発表練習を行った。

当日(1月13日)は午前中に5会場で予選会、予選から上位12校が本選に出場した。

和歌山商業高校は無事に予選を勝ち抜き本選に出場した。
Youtubeに本選の様子があるので見て欲しい。

9分10秒あたりから

当人たちは、すごく緊張したけど、何度もなんども練習をしていたのでミスはなかったと言っていた。江口先生も、練習より予選、予選よりも本選が良かったとおっしゃっていた。練習は嘘をつかないという言葉を思い出した。高校生すごい。
(本選発表前)

(受賞が決まって舞台で)

そして順位発表で、「高校生が選ぶ特別賞」を受賞した。嬉しかった。
http://corp.rakuten.co.jp/csr/it-school/2016/live.html

最後の授業と幾つかの感想

授業を円滑に進めるためには、学校、店舗さん、我々(楽天)のコミュニケーションが重要だ。そのためにFacebookグループの作成、前日の飲み会、授業の事前打ち合わせ、振り返りなどを行った。

前日入りできたのはラッキーだった。和歌山県に関するアレヤコレヤ、学校のことなどとりとめのない話の中にも授業を進める上でのヒントがあった。時間を見つけて、地元の図書館などに行った。和歌山県に関する資料なども参考になった。

那智勝浦漁港の見学も生マグロについて知る上で大変勉強になった。

地元のことを知って、好きになって、誰かに伝える。モノを売ることも一緒だ。高校生と一緒にそのような経験ができて良かった。

高校生も地元のミカン、梅干し、生マグロなど、馴染みはあるけど、実はそれほど良く知らなかったモノを、今回の授業で深く知ることになって、愛着を持ったと思う。

最後の授業で、楽天IT甲子園の発表を見て、それぞれが一年を振り返った。

たけちよさんは楽天IT学校を始めた時、県知事に会うという目標を掲げ、当時の東国原英夫知事に会いに行ったそうだ。やるなあ。

来年度も何らかの形で関わっていきたいと思う。

関係の皆様、大変お世話になりました。ありがとうございました。とっても楽しかったです。

感想をくれた。嬉しかった。