未来のいつか/hyoshiokの日記

hyoshiokの日々思うことをあれやこれや

#東京大学生物語 その1

9月末に60歳定年退職して、東京大学大学院情報理工学系研究科電子情報学専攻博士課程に入学した。*1

9月末より現役の東京大学生である。博士課程の大学生がどんな生活をしているのか、日記を認めることにどのような意味があるのかという疑問を持たなくもないが、定年退職後のおじさん学生の日記も多くないので自分の経験がだれかの役に立つかもしれないと思い記すことにする。

授業のことなど

9/21に入学式があって、その次の週から授業だが、自分が履修する授業は、10/1の週から開始だった。

輪講(必修)が金曜日午前中にあるので、9/28にいそいそと学校に行ったら、次週から開始ということで、いきなり空振りになってしまった。
図書館で時間を潰していたら、研究室の修士1年生のSさんが声をかけてくれたので、二人で生協食堂で昼飯を食いに行った。初ランチである。(緩募。ランチ友達)

その足で会社に行って最終出社日の各種手続きをバタバタとして、満足なご挨拶もできず、失礼しました。

授業の休講の告知などは事務室の掲示板に貼られるので、学校に行って確認しないといけない。ネットの情報はあることはあるのだけど基本は掲示板とのことである。学内の掲示板には様々なイベントのポスターなどが貼ってあって、告知の手段としてのポスターというのが未だに健在というのが面白い。*2

月曜日に4コマ固めて履修した。1コマ105分で13回授業がある。昔は1コマ90分で13回だったのが、文科省の指導で15回になり、その後、15回だといろいろと大変なので、105分を13回になったらしい。*3

ちなみに月曜日に履修する授業のタイトルは、情報視覚化、コンピュータシステム、計算言語学、並列プログラミングである。流石に4コマ取るとお腹いっぱいになる。6限目の授業は履修していないが、社会人でも会社帰りに取れそうな時間帯だ。

授業は修士課程、博士課程共通だ。分野の話題を体系的に学べる。当たり前の話なのだけど、ウェブにある玉石混合の断片的な情報を自分で取捨選択するのとは違って専門家によるレビューを経た良質のコンテンツを一気に学べるので極めて効率が良い。密度も高い。

その分野に明るくない場合、ウェブにある情報の質を評価するのことは難しい。自学自習の限界点はどうしてもそこにある。大学教育の場合は、その質が担保されていて、最新の動向にも触れられて効率もいいし、疑問点は質問もできる。

自分の娘が大学に入って親として授業料を払うときは、授業料高くて大変だなーと感じたものだが、自分の意志で大学院に入って、自前で授業料を払う立場になると、大学院の教育費というのは大変お得だなあと思う。例えば、今期は講義が4コマ、輪講が1コマを履修しているので、半期で(4+1)x13=65コマ分の講義を受けることになる。博士課程の授業料は年間520,800円(半期で260,400円)だ。1コマあたり、260,400/65=4006円。*4

もちろん、授業料だけで大学院で学ぶ価値を評価するのは愚の骨頂であるが、学びたい意欲を持っている人にとっては、それが大きな障壁になるとは言えない。むしろ社会人にとっての障壁は、学ぶ時間の確保などになる。

幾つ授業を取っても授業料は固定なので、取れば取るほどお得だ。取りすぎて研究がおろそかにならないように注意しないといけないけれど(てへ

どの授業を履修するかはもちろん学生の自由である。

履修届けはウェブで行う。

本郷の学生生活

自分は学部、修士とも慶應だったので、本郷も駒場も全然土地勘がない。食堂も図書館も教室も生協書籍部もどこに何があるかよくわからない。

新入生向けの小冊子「本郷の学生生活」をもらった、

図書館と部局

「本郷の学生生活」の1ページ目に知っておきたい東大用語というのがある。それによると学部・研究科等を総称して「部局」と言うことが書いてある。(10学部、13研究科、2研究部・教育部、11付属設置研究所)

東大では部局ごとに「学務課」、「教務課」などがあるとのことである。そして図書館なども部局ごとにあるだ。

https://www.lib.u-tokyo.ac.jp/ja/library/contents/guide

本郷・弥生には総合図書館から各学部・研究所(法学、医学、工学・情報理工学、人文社会系・文学部、理学、経済学、教育学部、薬学、情報学環・学際情報学府、東洋文化研究所、社会科学研究所、史料編纂所、総合研究博物館、農学生命科学地震研究所)所属の図書館がある。

図書館が組織の縦割りになっていると言うのも新鮮な驚きだった。

蔵書検索などは横串でできるのであるが、物理的な位置は離れている。
そして、図書館ごとに、開館時間や、入館手続きが微妙に異なるのである。東大内でも他の部局だと閲覧手続き、館外貸出の条件が異なる。学外者と学内者の利用手続きが異なると言うのは良くあると思うのだが、まさか、部局によっても違うと言うのがびっくりであった。

工学・情報理工学図書館だけでも下記にある通り本郷に10ヶ所図書室がある!
https://www.lib.u-tokyo.ac.jp/ja/library/contents/guide/eng_libraries

それぞれ特定の専攻を担当していると言うのはわかるのだけど、利用者からするとちょっとやりすぎのような気がする。歴史的経緯があると思うので、東大関係者はおそらく当たり前など感じているのではないかと想像するけど、ちょっと不便だなあと感じた。

自分は図書館が大好きなので、早速工学部2号館の図書館(図書室)や総合図書館に行って見た。棚を眺めるだけで癒される。端から端まで歩いて見たい。図書館巡りだけでも、東大に入ってよかったと思う。

図書館にはWifiと電源があるので、パソコンを使って論文検索などが縦横無尽にできる。

自分が学生だった頃(30数年前)との大きな違いは、論文検索が(インターネットによって)電子化されたと言うことだ。特に情報理工学系の論文はほぼ電子化されているので、サーベイの方法がガラッと変わった。昔は図書館で論文誌を探して、それを物理的にコピーすると言うことを延々とやっていたわけであるが、それが電子化されたので、クリックしてダウンロードするだけである。網羅的なサーベイの手間暇が劇的に削減された。

各種検索用ツールがあるので、その操作に慣れたいと思った。

生協

出資金(16,000円)を払って会員になった。出資金は退会時に返還される。生協食堂も書籍も会員割引になる。お得だ。書籍は通常10%割引である。出版社によってはフェアでさらに割引率が高い場合もある。

本郷の生協書籍部の品揃えはいい感じである。教科書はもちろんなのであるが、東大生が読まなければいけない参考書のたぐいが充実している。自分の専門外の例えば、人文系、経済系、法学系などの棚を眺めているだけで知的興奮を味わえる。これを読めと言うスゴ本だらけの書棚になっている。

会社員と学生の違い

10月から学生になって日々学んでいる。せいぜい3週間程度の学生生活で何事かを言うのははばかられるのだが、あえて会社員と学生の違いについて述べてみる。

会社員と学生の大きな違いは「自由」である。学生には自分の時間を自分の裁量で使う自由がある。

勉強するのも研究するのも遊ぶのも自由である。しがらみはない。

会社員だとそうはいかない。会社には上司がいて同僚がいて部下がいる。自分の裁量はほとんどない。どんなに働き方改革だなんだと行っても会社員である以上、働かない自由はない。会社の指揮命令系統のもとに仕事をする。自己裁量権はほとんどない。その意味で会社員の自由はほとんどない。

当たり前すぎて嫌になるくらい当たり前の話なのであるが、学生になって改めて感じた。最初の学生の時には、自由についてはそのようなことをほとんど感じなかったが、会社員を経て学生になると強く感じる。

研究のこととか、なぜ博士課程に進学したのかとかについてはおいおい記していきたいと思う。

悩み。緩募、友達

学部から進学したわけでもないし、9月末入学なので知り合いがほとんどいない。学食で一人でカレーを食うのも味気ない。友達が欲しいので緩募。

*1:http://d.hatena.ne.jp/hyoshiok/20180930/p1

*2:大学院合格発表も掲示板だった。9月3日が合格発表だったので、電気系事務室に行ったところ、それらしき掲示がないので事務室で聞いたら、ここの掲示板ではなくて8号館の掲示板に発表されていると教えてもらったのだけど、そもそも8号館というのがどこだかわからない。事務の人に8号館の場所を教えてもらって、いそいそと合格発表を見に行った。

*3:1時限目が8:30-10:15、以下、10:25-12:10, 13:00-14:45, 14:55-16:40, 16:50-18:35, 18:45-20:30

*4:https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/admissions/tuition-fees/e03.html