未来のいつか/hyoshiokの日記

hyoshiokの日々思うことをあれやこれや

経験者を引きずり出す(UNIADEXフォーラム2005)

http://www.chugai-ems.jp/ual/c-2.html にパネリストとして参加した。モデレータの岡田さんの素晴らしい司会のおかげで非常に楽しい一時を過ごせた。感謝である。パネリストは、HPの宇佐美さん、ターボの中尾さん、ユニアデックスの松隈さん、テックスタイルの岡田さんとわたしである。ユニアデックスのエンジニアである、大塚さん、前原さん、そして高橋マネージャーにもご登壇いただいた。予定時間を大幅にオーバーしていろいろ熱く語り合ってしまったが、盛り沢山すぎたかもしれない。若干反省である。
そもそもオープンソースの可能性というのはなんであろうか?技術的な可能性や社会的な可能性いろいろな観点から議論できる。今回はユニアデックスフォーラムという機会を頂き、ビジネスの観点からその可能性を議論した。パネリストの皆様とは日本のオープンソースについてその黎明期から様々な形で議論してきた同志、戦友である。
かつてのメインフレーマーがいわゆる垂直統合型(一社ですべてを提供する)ビジネスから、オープンシステムに移行し、ハード、OS、RDBMS、各種ミドルウェア、アプリケーションそれぞれ別々のベンダーが提供するようになったのが80年代後半から90年代。各レイヤーにはそれぞれ勝ち組ベンダーが君臨するというモデルだ。オープンシステムの場合、デファクト標準がそれぞれの部品について存在して、OSならUnixとか、RDBMSならSQLとか、その実装のSolarisとかOracleとか。SIベンダーというのは言ってみれば各種部品を組み合わせて顧客に提供するので、標準部品を上手に組み合わせれば、コストもそこそこ抑えたものを提供できる。ノウハウも標準部品を使いこんでいけばそこそこたまって行く。
メインフレーム時代の垂直統合型の場合、一社がすべて面倒をみるのでトラブル対応に強いが、ベンダーロックインのため、価格の硬直性(よーするに安くならない。高いのである)や、容易にベンダーを変更できなくなってしまう。
一方、オープンシステムの場合、丁度逆で、一社にすべてロックインされるという危険性は低いが、何らかのトラブルがあった場合、SIベンダーはお手上げである。それぞれの部品をブラックボックスとして扱っているので(それゆえ生産性が高いのだが)、ひとたびトラブルが発生した場合、その部品ベンダーに依存することになる危険性が常に付きまとう。トラブルの切り分けとしてOSが悪いのかRDBMSが悪いのか?なんてことが生じる。それぞれのベンダーは自分に非があることは認めたがらない。仮に認めたとして、「それは仕様です」という黄金の回答が待っている。そうなるとSIベンダーはお手上げで、どうにかしてそのトラブルを回避するかが腕の見せ所になってしまう。OSベンダーにパッチを提供させるなんていう力をもったSIベンダーはいなくもないが、そういうのは例外中の例外で、通常の下々のベンダーはなくなく泣く。仮にバグだということになっても修正が提供されるのは半年後みたいな話で今日の問題解決には役に立たない。
古きよき時代のメインフレームだと当事者は1社だけなので、OSの問題だろうがRDBMSの問題だろうが、どーにかします、どーにかさせます、そのために高い金を払っているのだから、というような感じでどーにかする。OSのダンプを眺めたりRDBMSのソースを眺めたりする技術者がメインフレームベンダーの中にはいてOSの問題だろうがRDBMSの問題だろうがどうにかしちゃうのである。ソースコードがあってとことんどうにかするというカルチャーである。ミッションクリティカルというのは、そーゆーものである。
オープンシステムでももちろんミッションクリティカルなシステムはなくはないが、そーゆーものは、ハードウェアベンダーが、RDBMSベンダーとがっつり組んで、NDAを結んでRDBMSのソースも手元においてゴリゴリガシガシやるという体制の下SIするというような感じである。お値段はもちろん高い。ミッションクリティカルというのは、そーゆーものである。
結局オープンシステムは部品の寄せ集めで、トラぶった時の対応が難しい。そーゆーものである。
オープンソースの場合は、OSもRDBMSも行こうと思えばとことんいけるので、普通になんちゃってSI(部品を部品としてあんまり考えずに組み合わせる)もできるし、がっつり型とことんSIもできる。
とことん行くとしたら、OSにはクラッシュダンプを取得する機能が必須になるし、クラッシュダンプを解析するツールも必要になる。その必要性とかについて本能的に理解しているメインフレーム出身の技術者は宝である。趣味でパソコンをいじっていていましたのレベルとはレベルが違う。
ということでユニアデックスのクラッシュダンプ解析ツールAliciaを作った前原さんとかグリッドの専門家の大塚さんとか、彼らの上司の高橋マネージャーなんかをパネルに引っ張り出していろいろお話を伺う。オープンソースには、彼らの経験と知識が必要なのである。
オープンソースの世界だと部品を寄せ集めるだけでなく、部品をすり合わせることによって、それぞれの部品のインターフェース上のでこぼこをならして最適化することもできるのである。それは結局のところ顧客にとってもよりよいものを提供することになるので価値があることになる。
なんてことを熱く語ったパネルディスカッションであった。