未来のいつか/hyoshiokの日記

hyoshiokの日々思うことをあれやこれや

オフショア開発

中国熱にうなされているので話半分くらいに聞いて欲しい。中国やインドへのソフトウェアのオフショア開発が加速している。

大方の見方は安い人件費をもとめて中国、インドへ開発をシフトしているというものだ。半分正しいが半分正しくない。

下記の資料をみてみよう。日本のソフトウェアの輸出入のインバランスが示されている。輸出額は輸入額の1%にもみたいない(90億円対9189億円)。日本のソフトウェア産業は農業より国際競争力がないのである。産業としてなりなっていないと言っても過言ではないくらいメタメタである。

http://www3.jetro.go.jp/ma/tigergate/techno/japan/lecture2003/kitakyushu/report08.html

一方インドはというと、ソフトウェア輸出額が2001年95億ドル(1兆1400億円くらい)で日本の100倍以上である。

中国のソフトウェア輸出額は20億ドルくらいだろうか。日本の20倍以上である。これは単に人件費が安いとか高いとか言うレベルではない構造的なものがあると考えるのが妥当である。

先日インドのソフトウェア開発会社が営業に来たのだがCMM(Capability Maturity Models)のレベル5の組織で一人月30万円からという感じである。30万円というのは確かに安い。しかし驚異はCMMのレベル5という世界最高度のソフトウェア開発体制である。

日本でCMMレベル5の組織があるかどうか知らない。あったとしても、せいぜい片手程度ではないだろうか?まあ最高度のソフトウェアハウスの一人月はいくらぐらいだろうか?200万円くらいはするのだろうか?

googleで「CMM 取得」を検索してみると日本のお寒い状況がみえる。CMMレベル5と1では横綱と幕下、プロとアマチュア以上の差がある。

中国のソフトウェア会社もどんどんCMM等の取得をしているが、ソフトウェアの組織的な開発方法論の実践という意味では日本は勝負になっていない。

確かにコストは安い。安さに引かれて取り引きを開始する。日本のソフトウェアハウス(家内工業的、前近代的なソフトウェア開発の現場)とオフショア開発の品質を比較してみると、後者の方がはるかに品質、納期、管理体制が良いことを発見する、というようなシナリオである。

最近中国で技術者を募集したところ、北京大学清華大学卒業の非常に優秀なエンジニアが多数応募してきた。日本では技術者を募集しようにも彼らレベルのエンジニアを採用することは、ほとんど不可能である。そもそも日本では人材が十分流動していないので、必要な時に必要な人材を必要なだけ採用するというのができないのである。ビジネスが急速に発展しているとき、人材供給力、ある種のスケーラビリティがあるのは非常に魅力的である。かつてのシリコンバレー(今でもかもしれないけれど)が持っていた、それぞれの分野のエキスパートの人材供給力と言う点で中国、インドは確かにアドバンテージを持っているのである。

シリコンバレーは人材供給力はあるけれどコストが高いのが問題なんだよね。

日本は人材供給力もなければコストも高いので論外。

まあミクロな話で言えば、国際競争力を高めるために中国やインドにオフショアするのは必然なのである。