未来のいつか/hyoshiokの日記

hyoshiokの日々思うことをあれやこれや

CNET Japan 梅田望夫

CNET Japanの人気Blog 梅田望夫さんの「英語で読むITトレンド」 http://blog.japan.cnet.com/umeda/archives/001104.html で、わたしの日記が紹介されたため、多くの方が訪れてくれている。ありがたいことです。

わたしとしては、お気楽な日記のつもりなんで blog というのはちょっと違うかもしれない。 blog のネットワークの中で議論を深めていくというスタイル(トラックバックをはりあってやりあう)よりも、自分の行動や考えを一次情報として発信するという感じになるかと思うので読者の皆様の好みに合うか若干心配なのだけれどぼちぼちやっていきたいと思う。

シリコンバレー日記 http://web.archive.org/web/19990202174122/www.best.com/~yoshioka/diary.html は、90年代当時シリコンバレーで商用データベースを開発していたときに記した、大規模ソフトウェア開発記みたいなもので、1998年の記述に突如登場するオープンソースの話ともどもご笑覧ください。

その当時まだ自分自身十分見えていなかっただけどとてつもないインパクトを持つであろうと予感したオープンソースに対する熱気についても生硬い文の中に見出して欲しい。

(なお、URLを見てもらえばわかるように原著URLは実はもうインターネット上には存在しない。www.archive.org はインターネットのアーカイブサイトである。当時利用していた best.com というプロバイダは後に verio に買収され今はない)


わたしの当時の感覚では、大規模商用ソフトウェア開発の現場というのは、シリコンバレーのごく一部の企業以外(マイクロソフトは厳密にはシリコンバレーではないが、象徴としてのシリコンバレー的なもの)ほとんど存在しないのではという感じを持っていた。いわゆる商用ソフトウェアは御承知の通り米国が圧倒的に競争力を持つので、その現場は東京や北京やバクダッドにあるのではなく、シリコンバレーにしかないと言う感覚である。


わたし自身、技術者として最先端の場所にいるには、少なくとも大規模商用ソフトウェア開発の現場に身を投じるにはシリコンバレーに行かざる負えないと感じていたのである。


西海岸に行ってみて、ソフトウェアの作り方の非常に大雑把な点とか問題もいろいろ見えたことは見えたのだが、それ以上に、ソフトウェア開発のダイナミズムに圧倒された。一言でいうと、スピードとスケーラビリティである。

開発の現場では、毎日毎日問題が発見される。と同時に毎日毎日問題を解決する。現場は止まらない。このスピード感である。

開発部門も毎週毎週人材を採用している。必要な人材を必要なだけ必要な時に採用するというスケーラビリティがある。素人を何人集めても、ソフトウェア開発は加速しない。即戦力のエキスパートが必要な時必要なだけ採用できるかどうかがプロジェクトをスケールさせるとき最も重要な制約条件になるのだが、そのスケーラビリティがシリコンバレーという地域にはある。人を呼び寄せるだけの魅力がある。

(頭数だけをそろえればいいと言う話ではないことに注意する必要がある。ある水準以上のエキスパートしかチームには参加できない)

好運にも開発チームに参加できたのは、その前の会社でデータベースの開発をしていて、その当時の上司が推薦してくれたからである。

ここらへんの話もおいおい記して行きたい。特にシリコンバレーに行きたくて行きたくてしょうがない若い世代の人々(別におじさん世代でもいいのだけど、年齢は関係なく、新しい事にチャレンジしようという人々)には、ひょっとしたら参考になるかもしれないので。

でもって、シリコンバレーのスピード感、スケーラビリティに口をアングリしながらお腹いっぱいに楽しんだのが90年代なかごろから98年で、99年に日本に戻って来てからはいろいろ紆余曲折の末、現在の会社を立ち上げ技術担当というようなポジションでがんばっている。

大規模商用ソフトウェア開発現場の生き証人であると同時にオープンソースソフトウェアの当事者でもあるので二つの側面をわたしなりに咀嚼して独断と偏見を持って記していきたい。