未来のいつか/hyoshiokの日記

hyoshiokの日々思うことをあれやこれや

日本語処理の話

ソフトウェアの国際化の話の前に「日本語処理」についてちょっと調べてみた。

70年代日本のコンピュータベンダーは巨人IBMにいかに追い付くかということが戦略だった。追い付け追い越せ型の研究開発である。

1978年に漢字コードのJIS(日本工業規格)が制定された。(JIS C6226後にJIS X0208と改名された)日本語情報処理の元年と言ってもいいだろう。その年のプログラムシンポジウムは「日本語処理」というのをテーマにあげた。
http://www.ipsj.or.jp/katsudou/museum/history/fs_history_mf.html

1979年富士通がJEF(Japanese Processing Extended Feature)を発表した。当時の資料を神田氏のホームページで読むことができる。

http://www.ykanda.jp/jef.htm

当時の社内文書を公開している。手書きの趣意書は興味深い。

http://www.ykanda.jp/jef/arch/doukou1.jpg
に当時社内のSEへの説明用の資料がある。

日本語処理は1)IBMではやっていない…必要ないから2)他社ではやっていない3)富士通ではやっていない…物事にはすべて始まりがある。

他社がやっていないのにわけのわからない「日本語処理」をなぜやらねばらなないのだという社内の抵抗勢力(?)に対する説明文書なのであろう。

「日本語が扱えれば良い」ではなくて「扱えなければならぬ」

下線が引いてある。
http://www.ykanda.jp/jef/arch/doukou2.jpg

いわゆる「漢字処理」の泣き言

「入力方法が問題」という「泣き言」に対して、「研究不足の一言に尽きる」ときってすてている。社内に対するアジテーションである。
http://www.ykanda.jp/jef/arch/jef3.jpg
JEF検討会の報告書のまえがきから引用する。

この拡張機構によって日本におけるコンピュータは従来の英数字カナ中心の限定された用途から開放されて、現在のEDP処理分野の用途が拡大するのみならず、一般の事務処理業務やソフトウェア・エンジニアリングなどの分野へも拡大し、さらに日本における真の情報処理システムへと発展してゆくものと考える。

さらに続く

この企画は日本のコンピュータのトップメーカである富士通のみが成し得るものであり、その期待に一刻も早く応えるべく計画の具体化を計りたいと考える。

自分達がやりとげるのだという強い意志を感じさせる一文である。このような意志を共有したチームは強い。
25年という年月をたって、当事者のインサイダーストーリーを聞けるという僥倖にわれわれは立ち会っている。