未来のいつか/hyoshiokの日記

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特許の話

先週の日経新聞の経済教室に「知財制度と革新」ということでソフト特許についての記事があった。
3月2日は中央大学教授今野浩氏。

ソフトウェア分野の特許は、新規性判定の曖昧さや、技術革新への障害など多くの問題点があると当初から指摘されていた。このため欧州ではいまだに正式には認めておらず、米国でも制度の見直しを求める報告書が出されるなど、ソフトウェア特許への疑念は強い。

米国では98年ビジネス方法特許にゴーサインを出すとともに、「たとえ数学であっても産業上有用なものには特許を与える」というような極端な制度になっている。一方、日本においては、特許の対象が「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」という規定があるため米国のようにはいかなかった。

日本では特許にならないことになっている「数学」との線引き、技術開示の困難さ、技術の寿命に比べての長すぎる保護期間、新規性判定の曖昧さ、特許はソフトウェア産業の発展に役立つのか、などの問題がある。

日本は米国追随なのでソフトウェア特許は社会に定着した事になっているが、欧州では大規模な反対運動が盛り上がっている。

また2003年には米国連邦通商委員会報告書「To Promote Innovation」が、過去15年の米国の特許政策を厳しく批判している。

「多数の漸進的イノベーションによって成り立つソフトウェアの分野において、特許は技術開発の障害になっている」と結論づけている。

米国政府と特許商標庁、この報告書を無視の構えだが、産業界は動きはじめている。

最近公表され世間を驚かせた、IBMサン・マイクロシステムズの特許公開戦略は、一部ではマイクロソフトに対抗するためだと言われている。しかし、その背景には、ソフトウェア特許制度の「失敗」や、オープンソフトの「成功」を見据えた、先進的ビジネスの戦略大転換が潜んでいるのである。

論点は一つ。ソフトウェア特許は技術革新を加速するのか?
特許のベースにある思想は研究開発のようなリスクのある投資に対して、先行者に独占的な権利を一定期間与える事によりリターンを保証することによって、研究開発のインセンティブをあたえ技術革新を促進することにある。苦労して開発したものがただで第三者にコピーされるとしたら一体誰がそんなリスクをしょってまで研究開発をするかという思想である。産業界はこのパラダイムのもと技術革新を行って来た。翻ってソフトウェアに特許制度はなじむのか?否か?