未来のいつか/hyoshiokの日記

hyoshiokの日々思うことをあれやこれや

MID (Mobile Internet Device) Manifest

インテルCentrino Atomプロセッサーテクノロジが先日発表されて、そこでAtomプロセッサの主な用途はモバイルインターネットデバイスですなんていう紹介のされ方をした。
モバイルインターネットデバイス(Mobile Internet Device -- MID)っていったいなんなんだ。携帯でもない。PCでもない。それはいったいなんなんだ?
ということで考えた。

http://www.miraclelinux.com/technet/document/linux/pdf/AX_MIDINUX2.0.pdf

利用例を想像する。そして創造する。

電車の中で、本を読んだり、新聞を読んだりしている人がいる。ゲームをする人もいる。携帯メールをせわしげにチェックしている人もいる。音楽を聴く人もいる。もちろん何もせづひたすら睡眠を貪っている人もいる。MIDでインターネットにアクセスできると何がうれしいのだろうか?インターネット常時接続によってどのようなシーンが見えてくるのだろうか?
街中で友達と待ち合わせてどっかに行くとき、MIDがあるとなにがうれしいのだろうか。
若い人はそんな経験がないだろうけど携帯がない時代があった。そのころの待ち合わせと言うのはこんな感じだ。
渋谷ハチ交前に7時に待ち合わせて飲みに行く。7時と言えば7時である。5分でも遅刻すると遅刻扱いされる。遅刻には罪悪感があった。もちろん今でもあるが、友人との待ち合わせの話である。ともかく厳密に7時に待ち合わせにいかないと友達の顰蹙を買う。そして、お店に移動という感じだ。
携帯以降は7時に待ち合わせと言っても7時ころに渋谷にいるという感じである。仮に遅れるとしても携帯で連絡を取り合って、適当に時間を潰してあるいは先に店に行ってそこで待つ。店の場所を知らなくてもグルナビかなんかの情報をメールして現地集合というのもある。仕事の都合でドタキャンということもどうしてもある。その場合は二次会からの参加というのも携帯があれば可能である。携帯以前では、はしご酒に途中で合流というのは不可能ではないかもしれないが簡単ではなかった。
携帯で飲み会の連絡をするというのはもちろん携帯を開発している人たちが想定していた主要な利用シーンではないかもしれないが、かつてはできなかったことをできるようにしたという意味では新しい利用方法(?)ではある。

MIDを利用するとそれにどのような付加価値を創造できるか。問われていることはそのようなことである。おそらくそれを提案し新しい利用シーンを創造していくのはチップベンダーやハードウェアベンダーや通信キャリヤではなく、利用者その人である。

われわれプログラマは、ソフトウェアという魔法によってMIDを使うとこんなことやあんなことができるという素材を提供する。チップベンダーやハードウェアベンダー、通信キャリヤが提供する部品を組み合わせて利用者にこんなことやあんなことができるというシーンを提供する。

インターネットの向こう側にあるサービスがほとんどの価値を提供している時代において、我々が作ろうとしているMIDという装置は単なるインターネットに対するどこでもドアである。向こう側に価値がなければ意味がない。向こう側に繋がる人がいなければ意味がない。

ニコニコ動画を街中で見ることにどれだけの人が意義を見出すかわたしにはわからないがそれを欲する人には間違いなく価値があることである。

孫の運動会を田舎から見たいと思う人は仮に世界でおじいちゃんとおばあちゃんたった二人だったとしてもそれには間違いなく価値がある。最近は体調がぐづぐづしているので東京まで行くのは億劫だ。だけどインターネットで孫の姿を見たいと思う。そのようなおじいちゃんとおばあちゃんにMIDで孫の姿を見せる。

MIDのUIがとりざたされている。タッチパネルでぐりぐり。だけどそれは本質ではないと思う。本当の価値はインターネットに常時接続されていることによって生まれる価値である。

新機能はMIDにインストールするのではない。Webサービスとしてインターネットの向こう側に置くのである。それに接続することによってそのサービスを使う。

わたしがここにいる。インターネットによってあなたと繋がっている。そのような世界を想像し、それを利用するデバイスとしてのMIDという新しいパラダイムを創造する。

それがわたしにとってのMID Manifestである。

我々はOSを創っているのではないインターネット端末を創っているのだ/ユメのチカラ http://blog.miraclelinux.com/yume/2008/04/os-547e.html

我々OSベンダーは、インターネットへの窓を提供する。我々はOSを提供しているのではなくインターネット端末を創っているのだ。