わたしがWeb連載をおことわりした理由
わたしがはてブかなんかでコメントしたものを見たのをきっかけに、あるWeb連載の企画を持ってきた編集者がいた。
ともかくきっかけは、はてブである。大変熱心に「hyoshiokさんにこの記事を書いてほしいんです。この連載をしてほしいんです」と語っていた。
自分の興味のある題材だからブログに書いたわけで、それを別媒体で紹介できるということは自分にとっても、自分の考えを整理するうえでもメリットがあるし、わたしのブログにまったく訪れないような人にもリーチできる機会でもあるので前向きに検討することにした。
知り合いの各種メディアの皆様には、何か原稿書いていただけませんかなどと言われる。いつも不義理をしていて申し訳ないのだが、興味のない題材について原稿を書く時間もない。しかしブログの延長線上であれば、そもそも興味があるからそのネタをふったので、それを膨らませることに、それほど躊躇はない。
しかも、はてブがきっかけというのもネタとして使えるし、編集者の実行力、フットワークの軽さは、正直素晴しいと思ったので、どんな人間か一度会ってみたいと思わせる何かがあった。そして実際会ってみて、その若い編集者の心意気に背中を押され、Web連載の企画をすすめることにした。
会社の了解もとり、契約書をとりかわす段になって、一つ障害が発生した。
原稿の著作権はわたしに帰属する。
ところが、わたしが原稿を当該サイト以外のWebサイト、ブログ及びメールマガジン等オンライン媒体によって公衆送信すること、又は第三者に対し公衆送信の許可をすることを、Web会社の承諾なくしてできないという契約になっている。
まあ、契約の文言としてはわたしが書いた記事とは言え勝手に自分のブログなどに掲載するのは困るということで、それはそれでよくわかる。
そこで、担当編集者に聞いてみた。連載の最新版ではない記事を日記やブログにアップすることを許諾いただけないか、あるいは連載終了後に掲載することを許諾いただけないかと。
まあ、雑誌の記事などはよくある落しどころである。Web記事も最新記事のページビューが多くて、それ以外はしょぼいものだということは容易に予測できる。
わたしの記事がどのようなアクセスパターンになるかは精密には予測できないが、まあ一般的なアクセスパターントそれほど違わないだろう。
わたしとしては、何ヶ月かたった過去の記事は自分に著作権があるわけだし自由に利用したい。Web会社は原稿料を払ったわけだから未来永劫独占的に利用したい。
まあ、そんな構図かと思う。
わたしがわたしの原稿をわたしのブログで再公開したところで別にわたしに経済的なメリットがあるわけではない。経済的なインセンテイブで再利用したいというわけではない。
これは原稿料うんぬんかんぬんという事ではなく、全ての情報は自由に公開されるべきだというわたしの信条から来ている。仮に原稿料を貰って書いた原稿でも、基本的には、自分に著作権があるのなら、自分が自由に使いたい。著作権を譲渡しているわけではないのに、Web会社の承諾なしに利用できないというのは、どう考えてもフェアではないと思う。
すくなくともわたしの信条にはあわない。
わたしは落しどころとして、連載終了後の再利用などいくつかの提案をしたが、残念ながら受けいれてもらえなかった。
わたしは原稿料というおこづかいをその会社から得る機会を失った。しかしそれと引きかえに、もっと重要なもの、自由を失しなうことはなかった。
Web連載の機会を得られなかったのはちょっと残念であるが、後悔はしていない。
Web連載を持っている諸氏は、自分の契約についてどのように考えているのだろう。ぜひ教えて欲しい。
この経験「わたしがWeb連載をおことわりした理由」を日記で公開できる機会を得た事が一番おいしかったかもしれない。