未来のいつか/hyoshiokの日記

hyoshiokの日々思うことをあれやこれや

楽天研究開発シンポジウムに行って、企業とアカデミアの関係について考えた

先日の楽天テクノロジーカンファレンス*1は開発部のお祭りという感じだったが、この研究開発シンポジウム*2楽天技術研究所*3 が主催するミニ学会みたいな感じだ。

まつもとさんの基調講演、研究発表、ポスターセッション、パネルディスカッションなど、学会のシンポジウムの形式そのもので、学会に行かなくても学会気分(?)が味わえるお得なイベントだった(笑)。

質疑応答も学会風の硬い感じで勉強会のQ&Aのようなノリとは微妙に違っていてそれはそれで面白かった。質問者も、所属を名乗った後、大変興味深い発表ありがとうございます、という枕詞を言ってから質問をするというフォーマットで、確かに昔からそーだったよなあと思った。

正直、研究者でもない一介のプログラマが平日の昼間に仕事をさぼって学会に行くというのはかなり敷居が高い。まあ、いろいろ御託をならべていないで行けばいいのであるが、学会員でもないし、そもそもふつーのプログラマが学会員になるメリットもよく分からない。情報処理学会の会員はもう何年も前に辞めてしまったし、ACMIEEE Computer Societyも、日本ソフトウェア学会も。

学会にとっても、企業からの参加が増えることは、おそらく研究の活性化とか人材の交流という意味で絶対メリットがあるし、自分にとっても学会への参加は何がしかのメリットがあるはづなのであるがそれが見出せていない。少なくともわたしにはそこに見えない壁がある。

一方で勉強会は別に研究論文の発表の場ではないので、内容は玉石混交だし、行ってみないとわからないし、研究のプロフェッショナルには物足りないものかもしれないけれど、ソフトウェア開発のリアルな問題がそこにあるし、解かなければいけない正しい問題がある。皆で問題を発見しようとするコラボレーションがあるような気がする。行くたびに何がしかの発見があるし、なにより楽しい。

世界がインターネットで結びついて、コンピュータサイエンスの解くべき問題の多くはインターネットを前提とした問題に収斂しつつある。われわれには解かなければいけない多くの問題がある。そして、それを解くためには間違いなくアカデミアとのコラボレーションが必要だ。プログラムが社会を変えるように、われわれには困難な問題を解決するアルゴリズムが必要だ。

アカデミアと企業とのコラボレーションのあり方は、おそらく従来の産学連携というようなコンテキストで語られていたモデルではないものが必要な気がしている。

Googleでは、優れた研究者が世界を変えるようなプログラムを実装している。研究者と開発者に垣根はない。日本という地域にそのような研究者と開発者の垣根を越えたコミュニティを作ることはできないのだろうか。大学の先生が企業に入り、企業の開発者が大学に入るというような人材の流動性を高めるというのも、その一つかもしれないけれど、即効性のあるものではないし、制度設計から始めていたら気の遠くなるほど時間がかかる。

まあ、いろいろ御託をならべていないで、学会へ遊びに行けよということなのかもしれない。そして、学会にいるアカデミアの人を勉強会に連れてこようということなのかもしれない。学会と勉強会を交流する場所を作って人をシャフルして学生をかき混ぜ、先生をかき混ぜ、そして解くべき問題を共有する。

楽天技術開発シンポジウムは企業とアカデミアの接点を探る一つの試みかと思った。

そして見えない壁を壊しにいくのがわたしのミッションなんだろうなあと思った。