未来のいつか/hyoshiokの日記

hyoshiokの日々思うことをあれやこれや

Innovation Sprint 2011 に参加した

Innovation Sprint 2011に参加した。コミュニティによる価値の創造の一旦を垣間見た気がした。http://innovationsprint.com/

みたままに記す。

川口さん(@kawaguti)がスクラムの父ジェフサザーランドと祖父野中さんを呼んでカンファレンスをしたいと考えているというのを聞いたのは勉強会カンファレンス2010の時だったと思う。おお、いいすね。と適当に答えていたと記憶している。平鍋さん、ピークワン代表の前田さんらが動いて野中さんをひっぱりだし、川口さんが、ジェフとコンタクトをとったようだ。*1

平鍋さんと楽天の田澤さんはIPAの非ウォーターフォール研究会(名前?)の縁で、正式(?)には平鍋さんから田澤さんへの依頼が夏頃にあった。すぐに田澤さん経由で、こんな話が来ているんだけどどうよと来たので、やりましょうよとノリで答えた。

わたしに出きることと言えば、懇親会の準備くらいのことだから、やれる範囲でやる。数百人規模のカンファレンスは丸レクやNoSQL Afternoonで経験済みだったので、どーにかなるだろうとタカをくくっていた。自分にとっての未知は、午前中からの開催することと、この規模でビアバッシュ(懇親会)をすることだった。特に、人数が読めない中でのビアバッシュは難しかった。

平鍋さん、前田さん、川口さんらが、スポンサーを集め、ジェフの渡航費、講師講演料、懇親会経費などを捻出していった。

ジェフを呼ぶんだ、そして野中さんと会わせるのだという川口さんの強い思いが、まわりを巻き込み、カンファレンスを作っていった。ふつーの人はそんなことは考えない。イベントを開催することを仕事としているのではない人が、まわりを巻き込みイベントへ突き進んでいく。ボランティアによる、コミュニティーベースの価値の創造である。

その中心に川口さんがいた、それを補佐する平鍋さんがいた、運営事務局の前田さんがいた。多くのボランティアがいた。

川口さんはジェフを呼び、野中さんと対談をしてもらうという明確なゴールを示した。それは60年代中に月に行くという彼にとってのアポロ計画だ。そして、我々は彼と一緒に月に行くという計画に乗った。エンジンは彼の情熱。燃料は彼が一人一人に灯した熱。

ベンダーによる製品紹介のイベントとまったく異なる熱量を持ったカンファレンスになるのはもちろん必然である。魂のこもったカンファレンスになるのは火をみるより明らかである。

企画から運営からすべてをボランティアによってなされたという意味でコミュニティによって成し遂げられた貴重な価値創造の事例である。

川口さんがハッピーになることに一生懸命になることによって、ジェフは野中さんに会え、野中さんは自分の80年代の仕事が思いもよらない形で発展していることを知りハッピーになり、素晴らしいカンファレンスが開催されて参加者もハッピーになり、みんながハッピーになる。誰も損をしない。

かつては、仕事を通じて自己実現をはたし、自分も成長し、ハッピーになる、そのような仕事感を多くの人が共有していた。しかし、そのような仕事感が説得力を持ちにくくなってきている。それとはまったく独立で、コミュニティ活動を多くの人たちとすることによって、組織や会社の壁をいともたやすく乗り越え、様々な成果を出し、自分の満足度を高め、成長していく。価値創造の場がこの場合企業ではなく、コミュニティである。

そしてInnovation Sprint 2011で示されたように、正しいリーダーがいれば、コミュニティによって素晴らしい価値が創造される。その可能性がある。それは奇跡でもあり、希望でもある。

トヨタでは、車の設計、製造、販売何から何まで責任を持つプロジェクトリーダのことをChief Engineer (CE)という。今回のInnovation Sprint 2011のCEはまさに川口さんであった。

そして、今回、コミュニティベースの価値創造の事例から何を学ぶかというと、そのような形態を企業内でのプロジェクトにどのように反映していくのか、それをどのように実践していくのか、自分なりに試行錯誤をしていくことを課題としたいと思った。

また、会場運営側の視点から言うと、会場提供によって、会場係となった社員には多大な負荷をお掛けすることになった。会社としてのメリットの追求、説明責任など、自分として会社への働きかけが弱かったという反省がある。会場係を努めてくれた社員の皆さんには深く感謝するとともに、次の課題としたい。

ありがとう。

*1:http://togetter.com/li/87512 イノベーションスプリントへの道を参照