未来のいつか/hyoshiokの日記

hyoshiokの日々思うことをあれやこれや

なぜパターン・ランゲージを学ぶのか。学びのパターン・ランゲージを用いた一人で対話ワークショップをやってみる(その5)。

学びのパターンは「創造的な学び」のコツを記述したもので慶応湘南藤沢キャンパスで開発され利用されている。詳しくは以下参照。
http://learningpatterns.sfc.keio.ac.jp/

前回まで
http://d.hatena.ne.jp/hyoshiok/20121219#p1
http://d.hatena.ne.jp/hyoshiok/20121221#p1
http://d.hatena.ne.jp/hyoshiok/20121222#p1
http://d.hatena.ne.jp/hyoshiok/20121223#p1

今日はいままでやったことと、これからもっとトライしたいこと、そしてなぜパターン・ランゲージを学ぶのかについて記す。

No. 16 動きの中で考える

説明:ものをつくったり、フィールドに出たりすることで、思考回路はスムーズに回りだす。
問題:立ち止まって考えているだけでは、指向は徐々に止まってしまう。
解決:プロトタイプ制作やフィールドワークを行い、その過程で得た情報や感じたことを踏まえて、考えを深める。
やったこと:cache pollution aware patchというのを作って、Intel X86プロセッサにおけるキャッシュの動作の理解を深めた。

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Intelのマニュアルを隅から隅まで読んでもよくわからないところがあった。パッチを作って動作をベンチマークなどで外部から確認して理解する。それを繰り返すことによって、徐々にキャッシュの動作原理を理解していった。

No. 18 偶有的な出会い

説明:単なる偶然でも、必然でもない出会い。同じ興味・関心をもつ人の隠れたつながりに敏感になる。
問題:同じような興味・関心の人と出会う機会がなかなかない。
解決:自分の興味・関心に関する「場」に入ってみることで、同じような興味・関心の人と出会うことができる。
やったこと:YLUG(Yokohama Linux Users Group)に入ってみた。OSSLinuxに興味のある人々と出会うことができた。

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YLUGメーリングリストに入ったのは1999年頃で、その時点でLinuxOSSに次の10年深くコミットするなどとは思っていなかった。もちろん、ミラクル・リナックスを立ち上げるなんてことも全然考えてもみなかった。YLUGに入っていなければカーネル読書会もなかっただろうし人生わからないものである。

No. 29 「はなす」ことでわかる

説明:自分の考えを「話す」ことは、自分からその考えを「離す」こと。
問題:一人で考え込んでいると、行き詰まってしまうことがある。
解決:相手の反応によって情報の整理の仕方を洗練させながら、自分が考えていることを話す。
やったこと:難しいバグにぶつかって、にっちもさっちもいかないときに、同僚にバグについて話すと不思議と考えがまとまり、解決することがある。

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デバッグの方法論で、ぬいぐるみに話すというのがある。はなすことでわかるというパターンは昔からよく行われていた。

No. 32 外国語の普段使い

説明:当たり前に使っていれば、妙な「特別感」は薄れていく。
問題:頭では重要だとわかっていても、いざ外国語で読み書き・発表をするとなると尻込みしてしまう。
解決:常日頃から、外国語で読み書き・発表のチャンスに身をさらす。
やったこと:会社でなるべく英語を使うようにしている(英語化ありがとう)。社内SNSで紹介されたものなどを英語で読んだり、ちょっとしたメールは英語を使う。

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英語うまくなりたいんです。どう勉強すればいいですか?とよく聞かれる。使おうよ。普段から。と答える。英語を使わなくて使えるようにはならない。身も蓋もない事実なんだけど、目をそらしてはいけない。

No. 17 フィールドに飛び込む(トライしたい)

説明:行ってみないと、わからないことがある。
問題:たとえ現実の問題を扱っていても、資料をまとめるだけでは、その現実をりかいしたことにはならない。
解決:フィールドに飛び込み、当事者と作業をともにしながら、「外部者」としての視点も保ちつづける。

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現場に飛び込んで一緒に汗をかく。自分には足りない。もっともっと現場に飛び込んで失敗や成功を共有しながらやっていきたいと思った。

No. 33 小さく生んで大きく育てる(トライしたい)

説明:最初から大きな成果でなくてもよい。何度もバージョンアップすればよいのだから。
問題:いきなり大きな成果を出そうと意気込んでみても、なかなか達成できず、途中で嫌になってしまいがちである。
解決:小さくてもよいので具体的なアウトプットを生み出し、それを徐々に大きな成果に育てていく。

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どうしても、いろいろ計画して万全を期するまで動こうとしない。それではいけないと思う。計画に時間をかけすぎてはいけない。小さくやってみて、その効果を測定し、学び、改良をする。そのサイクルを素早く回す。もっともっとチャレンジしていきたい。

No. 34 魅せる力(トライしたい)

説明:ただ「見せる」だけでは足りない。
問題:せっかくのアイデアや成果なのに、他の人になかなか興味をもってもらえない。
解決:伝えたい内容を理解してもらうだけではなく、その魅力を感じてもらえる伝え方を心がける。

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ラーニングパターンの魅力を日記に書いてみたが、上手に伝わったか心もとない。伝え方もいろいろ工夫してみたい。プレゼンテーションパターンなども学んでみたい。

No. 35 「書き上げた」は道半ば(トライしたい)

説明:自分がわかるために書き下ろし、他の人がわかるように書き直す。
問題:内容を「書き上げた」という段階の文章は、他の人にとっては理解が難しい。
解決:書き上げた後、自分のなかに「他者の眼」をもって、理解しやすいかどうかを考えながらブラッシュアップしていく。

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書くことによって理解を深める。そして、ブラッシュアップしていく。他者の眼を持つというのは非常に難しい。ラーニングパターンの日記を書いてみたが、他の人にわかりやすかったか?魅力が十分伝わっただろうか。推敲という技を身につけたい。

No. 39 突き抜ける(トライしたい)

説明:未来を作る人は、主流や平均にとどまらず、極限まで突き抜ける。
問題:苦労して成果を出しても、あまり目立たず、存在すら気づいてもらえない。
解決:どこで自分が「突き抜ける」のかを戦略的に考え、圧倒的な差異を生み出すほど徹底的に取り組む。

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Hacker Centric Cultureを日本という地域で根付かせたい。会社で根付かせたい。それが企業の競争力を持つ原動力になるし、エンジニアがいきいきとして豊かな社会になると信じている。そのエバンジェリストないし実践者として取り組みたい。

なぜラーニングパターンを学ぶのか

先日、あるところで、ラーニングパターンを紹介した。わたしのラーニングパターンの小冊子をみて、なんでそこまだ読み込んでいるのですか?と質問をされた。
(読み込んでぼろぼろだ)
ソフトウェア開発の世界では90年代頃からデザインパターンという名の下に、ベストプラクティスを共有する方法論として知られるようになってきた。

ソフトウェア開発の現場で利用される様々なよいデザインを発見し分類し名前をつけ類型化することによって初心者にもエキスパートの叡智を伝えられる。エキスパートは共通の概念を同じ名前で呼ぶことによってコンテキストを容易に共有できるようになる。
デザインパターンという共通言語を持つことによって知識の伝達や共有が可能になる。

デザインパターンの有効性は広く知られることになった。そして、それを伝える言語がパターンランゲージである。

何か暗黙知があって、それを伝えたいとする。言語化するのが難しい。その言語化を支援する道具としてのパターンランゲージを身につけたい。
ラーニングパターンを写経することによって、学びの方法論(パターンランゲージで記述されたもの)を学ぶというだけではなく、パターンランゲージそのものの仕組みや記述方法を獲得したいと思っている。
パターンランゲージを利用して、「勉強会パターン」というのを記述してみたいというのがわたしの願望である。勉強会パターンを発見し(パターンマイニングと呼ぶ)、言語化したい。言語化することによって、勉強会が作り出す価値についての理解が深まるだろうし、それを広く知らせる道具にもなると考えている。

まとめ

ラーニングパターンをきっかけに、パターンランゲージを学び、ゆくゆくはそれを利用して、「勉強会パターン」なるものを記述してみたい。
エンジニアにとって学びと言うものは永遠に必要となる。それは本質的には楽しいし、人生を生き生きと豊かに生きるための道具でもある。
学びの一つの形態としての「勉強会」という方法論は様々な場所で実践されている。そして、そこにある先人たちの叡智を言語化し広く共有することは多くの人々にとって、もちろん自分にとっても価値のあることだと思う。人生を楽しく生きるためにもそのような叡智を言語化してみたいものだと思うのである。ちょっと大げさだけどね。

おまけ。ラーニングパターンがふれていない学び方。

ラーニングパターンがふれていない学び方はいろいろあると思う。例えば、大学でどう学ぶかとか、図書館の使い方とか、情報収集の方法とか、インターネットの使った学び方とか。自分でラーニングパターンを書き記してみるというのもパターンランゲージのスキルを身につけるいい練習だと思った。

社会人にとって、大学で学び直すというのは時間的にも経済的にもチャレンジングなことだと思う。わたしの知人友人でもMBAを仕事をしながらとった人が多くはないが何人かいる。

社会人にとっての大学で学び直す意義や方法論などの議論が深まると面白いと思うのだけど、今日は紙面がつきたのでそのうちに書くかもしれないし、書かないかもしれない。