未来のいつか/hyoshiokの日記

hyoshiokの日々思うことをあれやこれや

ソーシャルメディア進化論

インターネットって何なんだろう。

自分が熱中したインターネットの原点は90年代前半のMosaicというブラウザあたりにあったような気がする。80年代DECという会社に勤めていて、その会社の社内ネットワークが広大でコンピュータが繋がることがこんなにもワクワクするものだということを強烈に感じたことを覚えている。

時代は下って、インターネットが商用化して、ブロードバンドの時代がやってきて常時接続が当たり前になったころ、ブログのブームがやって来て、わたしもはてなで日記を書くようになった。2006年に梅田望夫が「ウェブ進化論」を書いて、そのころに言われていたウェブの未来は来たのだろうか。

ブログなどによる総表現社会は結局のところ来なかった。
群衆の叡智による高度な政治の実現は未だに見えない。

一方でインターネットを利用したE-コマースの世界は着実にビジネスとして定着し、アマゾンや楽天で様々なものを買うことが日常化している。

企業にとってインターネットを利用した消費者とのコミュニケーションのメディアとしてソーシャルメディアが注目されて久しいが、Web 2.0と言われていた頃のワクワク感の延長線上には、それらはない。

武田による「ソーシャルメディア進化論」は、インターネットを90年代からビジネスの当事者として関わって来た経験をもとに、様々な成功例、失敗例から導き出される暗黙知を結晶化したものとなっている。

企業にとってインターネットを利用した消費者とのコミュニケーションというのは結局は企業活動を支援するものでなければ意味がない。それを行うことによってどのような収益が上げられるのか。その方法論はどうであるのか。

AのデザインとBのデザイン。どちらがより優れているのか。極めて単純に言えば、より売上の高い方が優れたデザインなのである。

企業がインターネット上に造り出すコミュニティー。それを成功させるためにはどうすればいいのか。

われわれは数限りない失敗例を見て来ている。いわゆる「炎上」である。企業の担当者はクレームを恐れ、クレームの最小化をめざして行動する。そして、その延長線上には良好な関係はない。

そうではなく、企業と消費者双方にとって望ましいコミュニケーションをどのように構築して行くのか、そしてそれがどのように収益に結びつくのか。

著者は、そのヒントを5章、6章、「つながることが価値になる」で示している。

ジョンレノンは歌の力で世界を愛と平和とに満ちたものにしようとした。残念ながらそのような世界は未だ来ていない。

わたしは、インターネットを使えばそのような世界が来るのではないかと思った時期もあった。実は今も思っていなくもない。

インターネットを使ってやることはまだまだいっぱいある。本書を読んでそう思った。

武田さん、ありがとうございました。組織と個人のコミュニケーションについてもう少し考えてみます。