未来のいつか/hyoshiokの日記

hyoshiokの日々思うことをあれやこれや

統計学が最強の学問である

釣りのタイトルにまんまと釣られて読んでしまった。しかもベストセラーだ。内容はまっとうな統計学の入門書である。

これから出てくるであろう、「ビッグデータ」がどーだこーだ、「データサイエンティスト」がどーだこーだという類いの本をひもとく前に基本(?)をおさえておくためには手頃な本になっていると思う。

大学時代、工学部だったので、一応統計学の授業はあったと思う。数式満載の授業だったと思うのだが、あまりに記憶がない遠い昔だ。

t検定とかカイ二乗検定とか、分散分析とか、回帰分析とか習ったような気がする。いや、習った。忘却の彼方にあるそれらの知識を夜空にある星座を見つけるように、この本を読むことによって再発見した。

ミルクティーを作るとき、ミルクに紅茶を入れるのか、紅茶にミルクを入れるのか。まざったものは同じ成分なので、どっちだっていいじゃんという立場なのか、英国の貴婦人のように、いや厳密にその順番はあるという立場なのか、そして正しいミルクティーの入れ方はどっちなのか、それを統計学的に検証するにはどうすればいいのか、というようなことがこの本には記されている。ふむふむ。

統計と言うのは単なる道具である。その道具に対してどのように向き合うのか、それがこの本の主題になっている。

いまここにある様々な現象を理解するために、帰納的にそれを使うのか、それとも、何か仮説やある事実に基づいて演繹的に統計学を使うのか、その立場の違いと言うものがある。

著者は前者は生物統計学者で、後者は計量経済学者の立場であるという。

われわれ素人からみると、その境界線は曖昧であるが、帰納的なアプローチなのか演繹的なアプローチなのか、その違いは哲学である。

統計学の簡単な地図を必要としているわたしのような素人にはお勧めの一冊である。

いやはやビッグデータとかデータサイエンティストとか、そーゆーはやり言葉に飲み込まれないためにも統計学のイロハをちゃんと勉強すべきだねと思った今日この頃である。