未来のいつか/hyoshiokの日記

hyoshiokの日々思うことをあれやこれや

第110回カーネル読書会を開催した

かれこれ15年にもわたってこんなことをやっている。震災のあった2011年から先日まで活動をほぼ休止していたが、先日再開した。

YLUG (横浜Linux Users Group)の年表をみてみると第1回カーネル読書会は1999年4月28日に溝口で開催した。
http://www.ylug.jp/modules/pukiwiki/?history

駅そばの公民館みたいなところでミーティングをして、その後、居酒屋で宴会。

そもそものきっかけはYLUGメーリングリストLinuxシステムコールはどうやって実装しているのかを質問したところだれかが、それはソフトウェア割り込みで実装しているというのを教えてくれて、おお、それはすごい、じゃあ、そのコードを読んでみたいなあ、一人で読むと、いろいろとつらいから、詳しい人と一緒に眺めてみるのはどうだろうか、ということで、会議室を予約して、集まることにした。

まあ、自分が興味のあるところだから始めた訳で、当日、誰もこなかったらちょっとつらいなあと思っていた。さすがに全然誰もこないと心が折れそうになると不安だったが、メーリングリストで募集したらわらわらと参加者が集まって、なんやかんやで30名くらい集まっちゃったことを覚えている。

当時はTwitterFacebookmixiもない時代で連絡手段はメールが最もモダンな方法だった。個人でインターネットを使う時代がすぐそこまで来ていて、インターネットを使う人のほとんどは仕事で利用していて、家では個人向けプロバイダに契約していて、モデムで接続しているような人たちだった。ADSLとか高速インターネットはまだ出てこない時期だった。

ソフトウェアの配布方法はインターネットでダウンロードすると時間がかかるし、モデムでインターネットに接続しているので、電話代がかかるので、それほど一般的ではなく、雑誌の付録についているCD-ROMなんかを利用するのが一般的だった。

インターネットに接続するのに電話代がかかる時代だったのである。若い人には意味が分からないかもしれないが、そーゆー時代だったのである。

当初、カーネル読書会の参加登録は、メーリングリストに参加希望者が、参加しまーすという表明をメールで投げると言う牧歌的な方法であった。わたしが日程と場所と開催概要を投げ、参加希望がそれに返信するときに順番で自分の名前を追加していく。当然メールなので、同時に複数の人が返信して番号がかぶることもあるのだけど、それは楽観的なアルゴリズムで、かぶったら適宜番号を降り直すという方式を採用していた。ダチョウアルゴリズムと呼ばれていた。

ダチョウアルゴリズムで何度かやっていたのだけど、さすがに宴会参加希望だけでメーリングリストが埋まると言うのもあれなので、松田さんが「宴会君」という参加者登録システムを作ってくれた。それ以降はカーネル読書会の参加登録は「宴会君」を長らく使うことになる。ありがとうございました。

なんやかんやで、開催場所も、溝口の公民館、サンブリッジのセミナールームなどなどから流浪の旅に出て、大きめなところだと恵比寿のSGIや横浜のOSDL (Open Source Development Lab 後にLinux Foundationとなる)、NTT Dataなどをよく使わせてもらった。ミラクル・リナックスで開催したのが一番多いかもしれない。

ネタもLinuxカーネルのベタなところからだんだん領域を広げてオープンソース全般になったり、ウェブでのスケーラビリティの話や、手作りスーパーコンピュータのGRAPEの話などなどなんでもありの様相を呈するようになってきたい。

15年もやっているとLinux kernel hackersが来日したときにいろいろ旬なお話をしてもらう機会が多く、100回目のときにはLinusはじめ多数のカーネルコミッターに参加してもらってパーティーを開いた。いい思い出である。

昨日は中学1年生も参加していた。だいたい3−4割位の人が初参加である。常連だけで固まってもぞもぞ話していると言うようなことは多分ないので怖くないと思う。

わたしはビールを飲みながらへらへらしている。

今後はオープンソースをささえる基盤の技術についてゆるゆると語っていくことによって、一人でも多くの技術者が自分の技術を磨きプロフェッショナルとして成長していくような場になればいいなあと思っている。初心者もその道の達人も一緒に集うような場と言うのが出来れば素敵だと思う。

なお次回は5月30日に開催予定である。詳細は決まっていない。先に日程と場所を押さえると言うメソッドである。だいたいのアルゴリズムは、月の終わりの方の金曜日という感じでやっている。もちろん例外はあるが、金曜日とくに予定がない人は、来るといいと思う。
Kernel Code Reading Party 111th; 第111回、カーネル読書会 #ylug_111 - Kernel Code Reading Party (YLUG), カーネル読書会 | Doorkeeper