未来のいつか/hyoshiokの日記

hyoshiokの日々思うことをあれやこれや

コンテナ物語、読了

コンテナ物語―世界を変えたのは「箱」の発明だったを読んだ。

これは面白い。

20世紀最大の発明品の1つといわれるのがコンテナ。コンテナの海上輸送が始まったのは1956年3月のことだ。アメリカの陸運業者マルコム・マクリーンは、コスト削減と交通渋滞回避のため運賃の安い沿岸航路に目をつけ、トラックから「箱」だけ切り離して船に載せるアイデアを思いつく。陸上、海上輸送の兼業を禁止する規制当局と戦い、さらには埠頭を牛耳る沖仲仕の組合の抵抗を押さえ、1956年3月、コンテナの海上輸送が世界で初めて実現する。天性の企業家マクリーンは次々に船会社を買収し、ベトナム戦争では軍事物資の輸送に食い込み、世界最大級の海運業者に飛躍する。日本、韓国、シンガポールなどアジアの国々は、巨大なコンテナ専用埠頭を設置し、欧米との貿易で巨額な黒字を溜め込み、世界経済への影響力を増していく。グローバルな経済の成り立ちを「箱」に焦点を当てて振り返ったノンフィクション。

かつては船での輸送には、波止場にいる沖仲仕が人力で荷物の積み降ろしをやっていた。1950年代までは、機械化はほとんどされなかった。アメリカの陸運業者のマルコム・マクリーンは、コンテナ(規格化した単なる箱だ)による運送を思いつき、沖仲仕の仕事をクレーンなどによる機械力によって置き換えようとした。コンテナを利用すれば、貨物をクレーンで積み降ろすことができる。人手も減るのでコストダウンにもなるし、素早く積み降ろせるので、単位あたりの輸送量も増やすことができる。

コスト競争力によって、貨物はどんどんコンテナで輸送されるようになる。その過程で沖仲仕の仕事は変化を求められるようになる。港も、コンテナ専用埠頭が建築され、それに対応出来なかった港は世界的な競争から脱落していく。

その変化は50年代後半頃から始まり、既存の運送業を変革していく。

イノベーションによって産業構造が変化する例である。かつての名門海運業者がその変化に対応できないで経営を悪化させる。そのような歴史の教訓を読み取れる一冊だ。お勧めである。

ビル・ゲイツがお勧めしていた一冊でもある。

ビル・ゲイツが選ぶ「今年読んで良かった7冊」は必読だと思う : Blog @narumi