山手線に新駅ができる本当の理由、読了
山手線一周を徒歩で歩くと言う企画を考えたのだけど、さすがに豪雨だったので中止した。
そこで山手線に新駅ができる本当の理由 (メディアファクトリー新書)を読んだ。
先日、報道であったように山手線に新駅ができる。
新駅が出来るパターンというのは、山手線に新駅ができる本当の理由によれば、
- 地元住民の要望によるもの
- 大規模施設の新設にともなうもの
- 沿線開発のために作られたもの
- 乗り換えの利便性をはかるために作られたもの
- 路線の分岐や新規開発にともないつくられたもの
- 乗客獲得競争のためにつくられたもの
- 廃止される駅の代替駅としてつくられたもの
というパターンがあるらしい。が今回の新駅は、そのどれにもあたらないらしい。
50年ぶりの新駅で、品川のポテンシャルというのは
本書は第1章50年ぶりにできる新駅、第2章駅はなぜつくられるのか、第3章計画はどう進められるのか?、第4章駅の開業による経済効果は?、第5章利便性はどうなるのか?、第6章日本の未来を見据えて、おわりに 未来予測・品川が国際都市になる日
本書の第6章が本書の白眉で、東京と言う都市をどのように設計していくのかの青写真を描いている。
鉄道や高速道路でのストロー効果というのは、A地点とB地点が鉄道などで結ばれた場合、より魅力のある地域にヒト・モノ・カネが集中してしまう。そのような効果である。
鉄道網や高速道路網の整備は皮肉にも地元経済を発展させるのではなく、都市にヒト・モノ・カネを集中させる結果をもたらした。
「地域間の均衡ある発展」というのは田中角栄の日本改造論であるが、実態は都市で得られた莫大な税収を地方へ再配分するというメカニズムであった。
著者は「21世紀は都市の時代」だという。第一次産業から第二次産業、そして第三次産業へ就業人口が推移してきた。第三次産業の就業者は都市に住むため、国の富は都市で生み出される。「国の力」は「都市の力」になる。
東京への一極集中をよしとしない風潮があるが、著者は「東京への一極集中は歓迎すべきことだ。むしろ、東京にはもっと多くのものを集中させて、その集積する力で、さらに国全体の国際競争力を高めるべきだ」と主張する。
新駅をきっかけにいろいろ考える。そんな一冊である。お勧めしたい。