死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日、読了
2011年3月11日の震災、全電源喪失、注水不能、水素爆発、3年以上たった今も事態は収束していない。福島第一原発の現場では何が起こっていたのか。その責任者吉田昌郎と関係者にインタビューしたドキュメンタリーである。
幾度となく危機的な状況のなかで最後まであきらめないで奮闘した人々がいる。現場の使命感。
現場と東電本社そして官邸との確執など当事者ならではの生々しいやり取りが描かれている。過酷な事故に遭遇した現場の底力がすごい。
全電源が喪失しているので原子炉を制御することができない。ベントをするために手動で弁を開放しないといけない。そのために放射線量があがった原子炉建屋に危険を顧みず突入した男達がいた。彼らの働きがなければ、原子炉が水蒸気爆発をしたかもしれず、そうすれば福島第二原発も含めて10基の原子炉の制御が全くできないという事態におちいったかもしれない。そのような事態を最後の最後で回避できたのは、現場の男達の奮闘であった。
強い共感を持って読んだ。お勧めである。