家族の勝手でしょ!写真274枚で見る食卓の喜劇、岩村暢子著、濫読日記風、その33
平成の食卓の民族誌だ。
これは、1960年以降に生まれ、首都圏に在住する子供を持つ主婦を対象とした家族の食卓調査である。(184ページ)
1週間の1日3食を全て写真に撮って記録する。調査方法は下記のように行う。
- 食事作りや食生活、食卓に関する意識や実態のアンケート調査
- 決められた1週間の1日3食について、毎回食卓にのったものを全て、食材の入手経路やメニュー決定理由、作り方、食べ方、食べた人、食べた時間など、日記と写真で細かく記録してもらう。写真はレンズ付きフィルムによる撮影に限る。(デジカメだと改ざんが用意なため)
- 1の回答と2の日記と写真の記録を突き合わせて分析・検討したのち、その矛盾点や疑問点を中心に背景や理由を細かく問う個別インタビューを行う。
調査初日の食卓と最終日の食卓の写真を見比べると明らかに差がある。初日は腕によりをかけた手間暇のかかる食事を用意する。著者は長年の経験から、初日の写真と最終日の写真には大きな差があることを知っている。もちろん最終日の方が日常の食卓を反映している。
お父さんがいるかいないかでも差がある。
調査最終日はあえて休日に重ならないようにしている。最終日を平日に設定することで「外食にも行けず」「見栄も張り切れなくなった」ギリギリの主婦と家族の本音、飾らない日常の姿に迫る(9ページ)
1週間分の食事を分析すれば栄養状態などが把握できる。野菜が少なかったり、栄養に偏りがあったり、脂っこいものが多かったり、メタボの原因などが多数見つかるが、当事者は無知なのか無頓着なのか、全く気にしていないようだ。
岩村さんのコメントがなかな厳しいが、主婦側の言い分も多分いろいろとあるのだろうなあと思った。ただ写真を見る限り、相当インパクトのある食卓になっている。
よその食卓を覗く機会は普通ないので、興味本位でも読むと面白い。人様の食卓をあれこれ言う立場でもないが、やばいなあ(悪い意味で)と思う事例が幾つかあった。手抜き料理のヒント集としても使えるかも。
濫読日記風
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