未来のいつか/hyoshiokの日記

hyoshiokの日々思うことをあれやこれや

なぜアメリカ大陸横断を列車でしたのか

いろいろな人になぜアメリカ大陸を横断したのかと聞かれる。簡単に自分なりの答えを記しておく。

今回は鉄道(Amtrak)で横断したわけだが、最終的にはクルマで横断したいと思っている。

なんでそんな酔狂なことをするのか?したいからしたいとしか言いようがないのだけど、もうちょっと言葉を重ねてみる。

小田実は「何でもみてやろう」で「ニューヨークの摩天楼とミシシッピ河とテキサスの原野を見たくてアメリカに行った」と記している。当時の日本は焼け野原で「摩天楼」は無かったし、ミシシッピ河もテキサスの原野も日本にはない。だからこそ小田実はそれを自分の目で見たかったのだと思う。*1

今回、ミシシッピ河も見たし大平原のトウモロコシ畑も見た。もちろんニューヨークの摩天楼も見た。小田実聖地巡礼をしたかったわけではない。

大陸横断するときの時間感覚をざっくり理解したかったのである。例えば、行っても行ってもトウモロコシ畑、行っても行っても山岳地帯、走ったら走ったで国内に時差があるので、時計を調整しないといけない。東部夏時間(EDT)から中部夏時間(CDT)に調整する。同様に山岳部夏時間(MDT)、太平洋夏時間(PDT)へそれぞれ進んでいく。
行っても行ってもトウモロコシ畑だ。

そんな規模感を身体性を持って理解したかった。そしてそれはクルマで大陸横断をするための予行演習に他ならない。
行っても行っても山岳地帯。

自分の知っているアメリカは仕事を通じて知っているアメリカだ。新卒で入ったDECは東海岸の大企業(コンピュータハードウェアの製造販売会社)だし、その後転職したOracleは西海岸の大企業(ソフトウェア製造販売会社)だ。東海岸に住んだこともあるし、西海岸(シリコンバレー)にも住んだことがある。アパートの契約をして、クルマを買って、銀行口座を作って小切手でアパート代を払った経験もある。その意味で一般的な日本人よりはアメリカを知っているつもりになっている。

しかし、自分は肌感覚として、都会のIT産業というフィルターを通したアメリカしか知らないということを理解している。いまの大統領を支持し投票した人々を自分は知らない。

広大なアメリカはシリコンバレーではないし、ロスアンジェルスでもニューヨークでもない。自分はカントリーサイドについて何にも知らない。普通のアメリカ人、いまの大統領を支持し投票した人々が住んでいる街や生活を全く知らない。

クルマで大陸横断をすれば、そのような人たちの生活や考えを知れるとは思わないけれど、自分の知らないアメリカの断面を見れるような気がしている。それはインターネットとかテクノロジーとか自分が日常接しているものと違ったものと予想する。

ボストンからロスアンジェルスまでクルマで3000マイル(5000キロ弱)ほどだ。毎日300マイル(500キロ弱)走っても10日かかる。2週間だとちょっとギリギリだ。3週間だと若干余裕がある。

名所旧跡をプロットするのではなく、田舎町のしょぼいダイナーでランチをとって、やる気のないウェイトレスと雑談をしたい。それによって何が始まるわけでもなく、何を発見するわけでもない。特に目的はなく、ひたすら、東から西へクルマで移動する。

そんな旅をしてみたいと思っている。