未来のいつか/hyoshiokの日記

hyoshiokの日々思うことをあれやこれや

ビデオ紹介。OSCON 2013 Licensing Models and Building an Open Source Community

コミュニティを形成するためにコピーレフトのライセンスが必要か?10年前の回答はおそらく「はい」だった。プロジェクトに貢献することを契約義務によって担保しているからだ。しかしながら、その質問を現在してみると、活気に満ち、活動的なコミュニティがパミッシブなライセンスモデルで作られるようにオープンソースが成長して来た。ライセンスモデルがどのようにオープンソースコミュニティに影響を与えているか、そしてそれがいかに進化して行ったかを解説する。

Do you need a copyleft license to build a community? Answering this ten years ago, the answer may have been yes, primarily driven by the contractual obligation to contribute back to the project. However, looking at the question now, open source has grown such that a vibrant, active community may be built with a permissive licensing model. Come hear some thoughts about how licensing models affect building an open source community and how their use has evolved over time.

発表者のEileen EvansはHPでオープンソースの法的サポートおよびエンゲージメントを担当している。前職はSunでオープンソースの法的ストラテジストをしていた。

Eileen Evans
HP
Eileen Evans is the Vice President and Deputy General Counsel of Cloud & Open Source at HP. In her role, Eileen is responsible for leading and managing teams of senior technology attorneys, engineers and program managers responsible for HP’s open source activities.

Eileen represents HP on the Linux Foundation Board of Directors and the OpenStack Foundation Board of Directors. Eileen actively participated as a Founding Member of the OpenStack Foundation Drafting and Formation Committee.

Prior to joining HP three years ago, Eileen served as a lead open source legal strategist at Sun Microsystems, where she led, managed and supported numerous open source projects, including Java, MySQL, OpenSolaris, OpenOffice.org and NetBeans.

ライセンスモデルとオープンソースコミュニティの構築について議論する。

活気のあるコミュニティをつくるための3つの要素

それは、技術、ガバナンス、ライセンスである。もっとも重要なものはもちろん技術だ。技術がなければなんの意味もない。そうだとして、ライセンスはコミュニティを形成するための役割がある。
ざっくり言ってライセンスを2つのカテゴリーにわける。一つはコピーレフト。もう一つはパミッシブ。コピーレフトは貢献をコミュニティに戻す義務があるもの、パミッシブはそうではないものとする。

パミッシブライセンスでオープンソースコミュニティを作ることができるか?(can a permissive license be used to build an open source community?)

実際わたしは、その問題を10年前に考えた。その時は、サンマイクロシステムズにいた。そしてOpen Solarisのプロジェクトをリードしていた。われわれは活気のあるオープンソースコミュニティを作りたかった。そこでコピーレフトかパミッシブかを議論した。そのときの結論はパミッシブなライセンスでは強いコミュニティを作ることができない。そのときわたしはコピーレフトライセンスが必要だと信じていた。その当時、強いコミュニティはコピーレフトライセンスだった。

さて、同じ質問を現在するとどうなるか。参加している企業、パミッシブプロジェクトへのコントリビューションなどを考えてみる。

Black Duckなどの統計をみてみる。3社の調査にはいくつかの差異はあるが、同じ傾向を示している。コピーレフトが減りパミッシブが増えている。これはGPLファミリー(コピーレフト)がすぐに無くなることを意味しない。未だに一番利用されている。しかしながらパミッシブライセンスが増えている。

ベンダーの参加(vendor engagement)も重要なポイントである。

https://blogs.the451group.com/opensource/files/licensetype.png
2006年、2007年ころコピーレフトライセンスが減少し、そのころパミッシブライセンスが増えている。つまり、パミッシブライセンスとそのライセンスへのベンダー参加が増えている。

これはコミュニティ形成にどのようなインパクトがあるのか?コードへの貢献にどのようなインパクトがあるのか?

そこで似通ったプロジェクトを調査してみた。新しいオープンソースクラウドプロジェクトだ。OpenStack, CloudStack, Eucalyptusだ。それぞれパミッシブ、パミッシブ、コピーレフトである。コミットの数、貢献者の数などを比較してみる。2013/12/20現在。下記URL参照 http://www.ohloh.net/

license Project Number of Commits Number of Contributors Lines of Codes URL
Apache 2.0 OpenStack 100K 1844 1.87M http://www.ohloh.net/p/openstack
Apache 2.0 CloudStack 21K 254 4.39M http://www.ohloh.net/p/CloudStack
GPL V3.0 Eucalyptus 83K 109 1.32M http://www.ohloh.net/p/eucalyptus

そこで、10年前の質問に戻ってみよう。パミッシブライセンスで活気のあるオープンソースコミュニティは形成できるのか?現在の答えは「はい」である。