現代社会はどこに向かうか、見田宗介著、読了、乱読日記風2019、その7
東大総長の平成30年度卒業式告辞で見田宗介の名前を知り「まなざしの地獄」とともに読んだ。本書は「脱高度成長期」をむかえた現代社会がどこに向かうのかを正面切ってとりあげている。
指数関数的な経済成長というのがありえないということを我々はすでに知っている。地球の資源は有限だし、人口増加も頭打ちになっている。しかしながら、我々の精神性においてはどこかに経済成長を望んでいるし、暗黙の仮定として、それを前提としている空気もある。
見田宗介はロジスティック曲線とよぶS字型の曲線を例に現代社会の行く末を占う。(8ページ)
1970年代のローマクラブの「成長の限界」を持ち出すまでもなく、成長はどこかに限界がある。それをロジスティック曲線が端的に表している。
「貨幣経済という人間の最大の発明の一つ」(132ページ)で欲望はどこに向かうのだろうか?
「生活のための物質的な条件が確保されれば、それ以上の経済などにはあまり関心を持たない」(127ページ)
というあたりにヒントが有るようなきがした。
なかなか面白かった。
東大総長告辞と合わせて読んだ。
乱読日記風 2019
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奇跡の人 ヘレン・ケラー自伝、ヘレン・ケラー著、読了、乱読日記風2019、その6 - 未来のいつか/hyoshiokの日記
- 管理ゼロで成果は上がる、倉貫義人著、読了、濫読日記風2019、その3 - 未来のいつか/hyoshiokの日記
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ホモ・デウス、ユヴァル・ノア・ハラリ著、柴田裕之訳、読了、濫読日記風2019、その2 - 未来のいつか/hyoshiokの日記
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博士号のとり方、E・M・フィリップス、D・S・ピュー著、角谷快彦訳、読了、濫読日記風2019、その1, #東京大学生物語 - 未来のいつか/hyoshiokの日記
奇跡の人 ヘレン・ケラー自伝、ヘレン・ケラー著、読了、乱読日記風2019、その6
ヘレン・ケラー自伝である。自伝といえば生涯の最期の頃に書かれることが通例だが、本書は彼女の20代前半で書かれた。
第四章でサリバン先生との出会いが書かれている(31ページ)。1887年、7歳の誕生日の三ヶ月前である。そしてサリバン先生も盲人(手術によって回復したと言われている)だということはあまり知られていない。
言葉と綴り。言葉と物の対応などをサリバン先生が丹念にヘレン・ケラーに伝えようとする。人形はdollと指文字で教える。指文字を書くのが楽しくてそれを真似る。別の人形もdollと綴ることを理解できなくて癇癪を起こす。先生はヘレンを井戸に連れて行く。そして井戸水の噴出口に先生はヘレンの片手を置いた。waterという綴を指文字で伝えた。ヘレン・ケラーは「水」という概念を理解した(34ページ)
サリバン先生がいなかったらヘレン・ケラーは言語を獲得することも大学にも入学することも難しかっただろう。
後半に読書リストもあって古典を読んでみたいと思った。
乱読日記風 2019
- 管理ゼロで成果は上がる、倉貫義人著、読了、濫読日記風2019、その3 - 未来のいつか/hyoshiokの日記
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ホモ・デウス、ユヴァル・ノア・ハラリ著、柴田裕之訳、読了、濫読日記風2019、その2 - 未来のいつか/hyoshiokの日記
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博士号のとり方、E・M・フィリップス、D・S・ピュー著、角谷快彦訳、読了、濫読日記風2019、その1, #東京大学生物語 - 未来のいつか/hyoshiokの日記
系外惑星と太陽系、井田茂著、濫読日記風2019、その5
系外惑星というのは太陽系以外の恒星の周りに回っている惑星のこと。だから系外惑星。それが昨今の観測技術の向上によってボコボコ見つかっているらしい。
1995年に初めて系外惑星が発見されて以来、系外惑星の発見ラッシュとなっている。
それまでなぜ見つからなかったのか?というのが面白い。人類は太陽系以外の惑星システムを知らないので、天文学者は知らず知らずのうちに太陽系をモデルとした惑星システムを前提としていた。というかそれしか知らないのだからしょうがないよね。1980年代に十分観測技術が発達したのに全然系外惑星が見つからないのは全宇宙で太陽系みたいなものは奇跡なのでほとんど存在しないのではないだろうかという考えが主流になっていたらしい。やっぱり太陽系は神が作ったもので奇跡だとかなんとか(と思っていたかどうかは知らないけれど)
ところが1995年に発見されたものは中心の恒星のすぐ近所を4日で高速周回しているガス惑星だった。太陽系では木星や土星は10年〜30年かけて周回する。
太陽系とは似ても似つかない惑星システムだったので発見されなかったらしい。天文学者は唖然とするばかりであった(viiページ)。いったんそれが惑星であると認識されると、系外惑星の発見は一気に進んだ。
太陽系しか知らないのでそれをベースに考えるしかないのであるが、その束縛から自由になると、一気に観測が進むというのが面白い。
科学者は常日頃、多様性と普遍性、偶然と必然というようなことを考えていて、そのような訓練を重ねているにも関わらず、固定観念にとらわれていたということである。
パラダイムが変わる瞬間なのかもしれない。面白いなあ。すごいなー。ロマンだ。
系外惑星についてもっと知りたいと思った。
乱読日記風 2019
- 管理ゼロで成果は上がる、倉貫義人著、読了、濫読日記風2019、その3 - 未来のいつか/hyoshiokの日記
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ホモ・デウス、ユヴァル・ノア・ハラリ著、柴田裕之訳、読了、濫読日記風2019、その2 - 未来のいつか/hyoshiokの日記
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博士号のとり方、E・M・フィリップス、D・S・ピュー著、角谷快彦訳、読了、濫読日記風2019、その1, #東京大学生物語 - 未来のいつか/hyoshiokの日記
未来を読む、大野和基編集、読了、濫読日記風2019、その4
下記の人たちのインタビュー集。ブックリストにもなっている。
- ジャレッド・ダイアモンド*1
- ユヴァル・ノア・ハラリ*2
- リンダ・グラットン
- ニック・ボストロム
- ダニエル・コーエン
- ウィリアム・J・ペリー
- ジョーン・C・ウィリアムズ
- ネル・アーヴィン・ペインター
ダイアモンドの「銃・病原菌・鉄」やハラリの「サピエンス全史」、「ホモ・デウス」などは人類史を壮大なスケールで描いたもので大変興味深かったし、グラットンの「WORK Shift」、「LIFE Shift」は人生100年時代の生き方、働き方を考える上で大変参考になった。
ハラリは虚構の奴隷になるな、虚構を利用しろと刺激的なことを言う。「宗教と対比して、科学はわからないものはわからないと言う。科学の世界では無知を隠すために何かしらのストーリーを捏造する必要はない。この態度は中世と近代を分ける一番の違いであり、だからこそ近代になって科学技術が発展した」(61ページ)
一方で石器時代の何千倍ものパワーを手にしたのだけど、そのパワーを幸福に転換する方法はわかっていない(65ページ)。
「狩猟民族は絶えず、自分たちの力では環境を変えることができない世界で生きてきました。だから、現代人よりはるかに柔軟性や適応力があります。これこそ、われわれが学びたいスキルです」(97ページ)
上記の人々の中で、ダイアモンド、ハラリ、グラットンの著書は読んだことあったが、他の人の著書は未読なので読んでみたいと思った。
非常にいい感じのブックリストになった。
コンパクトでさらっと読める。
- 作者: ジャレド・ダイアモンド,ユヴァル・ノア・ハラリ,リンダ・グラットン,ダニエル・コーエン,ニック・ボストロム,ウィリアム・J・ペリー,ネル・アーヴィン・ペインター,ジョーン・C・ウィリアムズ,大野和基
- 出版社/メーカー: PHP研究所
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文庫 銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)
- 作者: ジャレド・ダイアモンド,倉骨彰
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2012/02/02
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文庫 銃・病原菌・鉄 (下) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)
- 作者: ジャレド・ダイアモンド,倉骨彰
- 出版社/メーカー: 草思社
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ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉
- 作者: リンダ・グラットン,池村千秋
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アメリカを動かす『ホワイト・ワーキング・クラス』という人々 世界に吹き荒れるポピュリズムを支える"真・中間層"の実体
- 作者: ジョーン・C・ウィリアムズ,山田美明,井上大剛
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- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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- 作者: ネル・アーヴィンペインター,Nell Irvin Painter,越智道雄
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- 発売日: 2011/10
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乱読日記風 2019
管理ゼロで成果は上がる、倉貫義人著、読了、濫読日記風2019、その3
納品のない受託開発でおなじみのソニックガーデンの倉貫さんの新刊だ。一気に読んだ。
そもそもの問題意識として、判断の難しい現代の仕事において、コントロール型のマネジメントでは上司やマネージャがボトルネックになっている(6ページ)というのがある。
とはいうものの流石に管理をしないで成果を出すことができるのだろうか?という疑問に答えるのが本書だ。
一気に管理なしというところまでは行かないので、段階を踏んで成果を出す働き方を提案している。
- 生産的に働く(楽に成果をあげるために見直す)
- 自律的に働く(人を支配しているものをなくす)
- 独創的に働く(常識や慣習に従うことをやめる)
管理するのは成果を上げるためなのだけど、管理そのものを目的化してはいないか。成果が上がるのならば、何も生産しない管理をなくしてしまえばいいという発想である。なかなかすごい。
人を動かすのは鞭なのかアメなのか。本書で提案していることはそれをさらに先を行く。自分でやりたいことを見つけてやるように環境を整える。自律的に働くようにするために、管理をなくす、階層をなくす、評価をなくす、数字をなくす、組織の壁をなくす、急募をなくす、教育をなくす、制度をなくす、通勤をなくす、ということを実践している。それぞれ題目を聞いただけではピンとこないが、本書を読めば、どれもこれもなるほどなあと思わせる。
自分がいかに常識にとらわれているか、本書を読むとよくわかる。働き方の新しい形として、何度も読み返してみたいと思った。
おすすめだ。