未来のいつか/hyoshiokの日記

hyoshiokの日々思うことをあれやこれや

現代社会はどこに向かうか、見田宗介著、読了、乱読日記風2019、その7

東大総長の平成30年度卒業式告辞で見田宗介の名前を知り「まなざしの地獄」とともに読んだ。本書は「脱高度成長期」をむかえた現代社会がどこに向かうのかを正面切ってとりあげている。 指数関数的な経済成長というのがありえないということを我々はすでに知…

奇跡の人 ヘレン・ケラー自伝、ヘレン・ケラー著、読了、乱読日記風2019、その6

ヘレン・ケラー自伝である。自伝といえば生涯の最期の頃に書かれることが通例だが、本書は彼女の20代前半で書かれた。 第四章でサリバン先生との出会いが書かれている(31ページ)。1887年、7歳の誕生日の三ヶ月前である。そしてサリバン先生も盲人(手術に…

令和

新元号が発表になった。 平成が終わり令和がはじまる。 平成はバブル崩壊、人口減少、成長しない経済というような時代だった。 自分にとっては、終身雇用、年功序列という働き方のイリュージョンから目覚めた時代でもあった。一方で、オープンソースソフトウ…

系外惑星と太陽系、井田茂著、濫読日記風2019、その5

系外惑星というのは太陽系以外の恒星の周りに回っている惑星のこと。だから系外惑星。それが昨今の観測技術の向上によってボコボコ見つかっているらしい。1995年に初めて系外惑星が発見されて以来、系外惑星の発見ラッシュとなっている。それまでなぜ見つか…

未来を読む、大野和基編集、読了、濫読日記風2019、その4

下記の人たちのインタビュー集。ブックリストにもなっている。 ジャレッド・ダイアモンド*1 ユヴァル・ノア・ハラリ*2 リンダ・グラットン ニック・ボストロム ダニエル・コーエン ウィリアム・J・ペリー ジョーン・C・ウィリアムズ ネル・アーヴィン・ペイ…

イチロー引退

イチローが引退した。偉大なプロフェッショナルもいつか引退する。どんな人生を送るのだろうか。興味は尽きない。

管理ゼロで成果は上がる、倉貫義人著、読了、濫読日記風2019、その3

納品のない受託開発でおなじみのソニックガーデンの倉貫さんの新刊だ。一気に読んだ。 そもそもの問題意識として、判断の難しい現代の仕事において、コントロール型のマネジメントでは上司やマネージャがボトルネックになっている(6ページ)というのがある…

ホモ・デウス、ユヴァル・ノア・ハラリ著、柴田裕之訳、読了、濫読日記風2019、その2

ホモ・デウス 上: テクノロジーとサピエンスの未来、ホモ・デウス 下: テクノロジーとサピエンスの未来を読んだ。 同著者のサピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福、サピエンス全史(下)文明の構造と人類の幸福 も面白かったが、本書も一気読みした。 ホモ…

博士号のとり方、チェックリストをやってみた。

付録にチェックリストがついていたのでやってみた。あくまでも個人的な意見です。 以下は付録より引用。 この設問表は博士課程の学生として、あなたが置かれている状況について考える機会を提供するように設計されている。設問はすべて肯定文であり、すべて…

博士号のとり方、E・M・フィリップス、D・S・ピュー著、角谷快彦訳、読了、濫読日記風2019、その1, #東京大学生物語

研究者の卵である。まだ孵化していない博士課程の1年生だ。博士課程を取得するとはどのようなことか実践的な経験はない(だから学生をやっているわけだ)。 本書はそのとり方についての指南書だ。単なるノウハウ集ではない。体系だったガイドブックだ。博士…

論文100本ノック #東京大学生日記

研究者の卵なので論文をいっぱい読まないといけない。闇雲に読みまくるとしてもざっくり数量的な目標を持っているといいかもしれないと思い勝手に一人で100本ノックをすることにした。読んだ論文を紹介するという趣旨の輪講という授業があって、その順番が先…

はてなダイアリーからはてなブログへ移行しました

長らく利用していたはてなダイアリーからはてなブログへ移行しました。それに伴い、ブログのURLも変更になっています。昔の日記からは自動的にこちらにリダイレクトされるような設定になっているようです。 それではこちらでもご愛顧お願いします。(気持ち…

ネットプリント、ネットワークプリントについて

コンビニで簡単にファイルを印刷できるサービスが便利だ。大きく分けてセブン・イレブン系(ネットプリント)とローソン、ファミマ系(ネットワークプリント)などでできるのがある。使い勝手が若干違うが、基本的には印刷したいファイルをアップロードして…

2019年、あけましておめでとうございます。研究者の卵としての抱負

昨年は還暦で定年退職をして9月末より大学院博士課程の学生になった。今年は研究者の卵として学んでいきたいと思う。どんなプロジェクトも楽観的に始まり悲観的に終わる。博士号取得のプロジェクトもそんな予感がする。悲観的に終わらないためにもプロジェク…

研究者の卵としての2018年ふりかえり

2018年は還暦の年だ。 9月に満60歳になり定年退職をした。(9月末で60歳定年退職しました - 未来のいつか/hyoshiokの日記) 人生の節目である。そして、それを機に9月末より東京大学大学院情報理工学研究科博士課程に入学し現役の大学生である。 仕事はすっ…

まとめ、濫読日記風 2018、その63

2018年も濫読した。年初には50冊くらい紹介できればいいかなと思っていたのだが、10月末の段階で濫読日記風はその15までしか行ってなかった。(ゲーデル、エッシャー、バッハを除けば60冊紹介したことになる。)濫読そのものは続いていたので、はてな日記に…

マイクロソフト 再始動する最強企業、上阪徹著、読了、濫読日記風 2018、その62

マイクロソフト 再始動する最強企業を読んだ。GAFA(Google/Amazon/Facebook/Apple)という言葉がある。初の1兆ドル企業となるのはどの会社か。この四騎士に続く企業は何か?中国系企業か?それとも新興のネット企業か?マイクロソフトはその候補の一つである…

蘭学事始 (岩波文庫)、杉田玄白著、読了、濫読日記風 2018、その61

蘭学事始 (岩波文庫 青 20-1)を読んだ。なんで「蘭学事始」を読もうと思ったのだろうか。*1玄白がこの回想録を書いたのは、83歳のときだそうだ。(4ページ)「蘭学事始」が野上豊一郎の校注で岩波文庫に加えられたのは昭和5年(1930年)7月で、その後緒方富…

不安な個人、立ちすくむ国家、経産省若手プロジェクト著、読了、濫読日記風 2018、その60

FEDという主に経済書・ビジネス書を中心に取り上げている読書会の課題図書なっていたので不安な個人、立ちすくむ国家を読んだ。読書会にも参加した。本書の元になっているものは経済産業省の若手官僚がまとめたレポートで2017年に発表されるやネットでは話題…

遅刻してくれて、ありがとう(上、下) 常識が通じない時代の生き方、トーマス・フリードマン著、伏見威蕃訳、読了、濫読日記風 2018、その59

遅刻してくれて、ありがとう(上) 常識が通じない時代の生き方、遅刻してくれて、ありがとう(下) 常識が通じない時代の生き方を読んだ。タイトルがいい。「遅刻してくれてありがとう」著者はフラット化する世界 [増補改訂版] (上)、フラット化する世界 [増補…

RISC-V原典 オープンアーキテクチャのススメ、デイビッド・パターソン&アンドリュー・ウォーターマン著、成田光彰訳、読了、濫読日記風 2018、その58

RISC-V原典 オープンアーキテクチャのススメを読んだ。RISC-Vは全くもって門外漢なのだが、本書はとても読みやすかった。久しぶりに未知のアーキテクチャーの参考書を読んだ。著者らによるRISC-Vの入門書は以下になる。「Computer Organization and Design R…

オン・ザ・ロード (河出文庫)、ジャック・ケルアック著、青山南訳、読了、濫読日記風 2018、その57

オン・ザ・ロード (河出文庫)を読んだ。アメリカのロードムービーだ。主人公は、酒を飲んで、セックスをして、旅をする。時代は第二次世界大戦後。本書を読んで米国を車で横断したいと思った。東海岸から西海岸まで行って、またぐるっと東海岸に戻ってくる。…

天才 (幻冬舎文庫)、石原慎太郎著、読了、濫読日記風 2018、その56

天才 (幻冬舎文庫)を読んだ。若い人は田中角栄も政治家としての石原慎太郎も知らないことだろう。田中角栄の金権政治を真正面から批判したのが石原慎太郎だと言ってもピンとこないに違いない。ましてや芥川賞作家だ。その石原慎太郎が宿敵田中角栄を一人称で…

わかりあえないことから──コミュニケーション能力とは何か (講談社現代新書)、平田オリザ著、読了、濫読日記風 2018、その55

わかりあえないことから──コミュニケーション能力とは何か (講談社現代新書)を読んだ。実は随分前に平田オリザさんの講演を聞く機会があって、その時に本書を読んでいた。*1本書は「コミュニケーション能力とは何か」とサブタイトルにあるように、コミュニケ…

歴史の進歩とはなにか (岩波新書 青版 800)、市井三郎著、読了、濫読日記風 2018、その54

歴史の進歩とはなにか (岩波新書 青版 800)を読んだ。歴史とは何か (岩波新書)、E.H.カー著、清水幾太郎訳、読了、濫読日記風 2018、その52 - 未来のいつか/hyoshiokの日記で「歴史とは何か (岩波新書)」を読んだのだけど、歴史観の名著の一つが本書だ。「歴…

情報の文明学 (中公文庫)、梅棹忠夫著、読了、濫読日記風 2018、その53

知的生産の技術 (岩波新書)を読んだところ、知人に「情報の文明学 (中公文庫)」をお勧めされて読んだ。*1一つの本を読むと、そこから本の輪が広がる。いい感じだ。「情報の文明学」は梅棹の論文・エッセイ集になっている。その中の一つ1963年頃に書かれた「…

歴史とは何か (岩波新書)、E.H.カー著、清水幾太郎訳、読了、濫読日記風 2018、その52

歴史とは何か (岩波新書)を読んだ。岩波書店の「図書」の臨時増刊で「はじめての新書」という岩波新書創刊80年記念号の中に本書を見つけた。多くの人が推薦している。この「はじめての新書」は積読製造器だ。というか岩波新書は読みたい本の宝庫だ。なんでこ…

ソロー『森の生活』を漫画で読む、ヘンリー・デイヴィッド・ソロー(原作)、ジョン・ポーセリノ(編・絵)、金原瑞人訳、読了、濫読日記風 2018、その51

ソロー『森の生活』を漫画で読むを読んだ。ソローの「森の生活」が長いこと積読になっていて、本屋で本書を見つけて即購入。漫画で読む系の本は小難しい古典をお気楽に読むというコンセプトで受けている。ソローの作品は上下二巻なのでそこそこ分量がある。…

大いなる眠り (ハヤカワ・ミステリ文庫)、レイモンド・チャンドラー、村上春樹訳、読了、濫読日記風 2018、その50

読書会の課題図書として大いなる眠り (ハヤカワ・ミステリ文庫)を読んだ。レイモンド・チャンドラーの作品も村上春樹訳というのも初めてだった。やれやれ。読書会で他の人の感想をきくのは自分の小説の読み方というのを再確認するのに役立つ。小説は楽しみの…

たそがれ清兵衛 (新潮文庫)、藤沢周平著、読了、濫読日記風 2018、その49

読書会の課題図書として「たそがれ清兵衛 (新潮文庫)」を読んだ。宮沢りえ主演で映画化もされているがそちらは未見である。藤沢周平の歴史小説は初めて読んだ。本書は下級武士の生活を軸に描く短編集である。うらぶれた暮らしをするが実は剣の達人という設定…