未来のいつか/hyoshiokの日記

hyoshiokの日々思うことをあれやこれや

語れ語り尽くせ

ウェブ進化論」著者、梅田望夫さん(45)に聞く(上)
http://www.asahi.com/digital/column/column03_1.html

僕はシリコンバレーに12年住んで、IT産業について考え続けてきたプロだと自負している。何か語れと言われれば、何についても語ることはできる。ところが、アップルについて、スティーブ・ジョブズについて僕が語ったとすると、ネットの「向こう側」には、スティーブ・ジョブズに会ったことがある人や、アップルに勤めていたことがある人、あるいは一緒に仕事している人たちが無数にいる。僕がそれなりに精一杯に書いたものも、そういう、不特定多数無限大の人々の「知」の集積と比べてしまえば、全く優位性などないわけです。ブログを通じて、そういう実感を得ることができた。

私は中の人だ。シリコンバレーにいたとき、あるデータベースのベンダーで一プログラマとしてコードを書いていた。毎日毎日、コードを書きテストをしデバッグをしていた。梅田望夫がデータベース産業について仮にどこかに評論を書いたとしよう。彼の分析は間違いなく鋭い。多くの人が発見し得ないような法則をわかりやすく説明するだろう。しかし私には、彼の知りようがないインサイドストーリ、それが彼の論拠を補強するものであろうと、180度覆すものであろうと、それをいくらでも持っている。それはわたしが中の人で、コンサルタントとしての彼は外の人だからだ。
当事者には当事者にしか語れない物語がある。
玉石混合と言う意味では石である。磨かれない原石である。しかしそこには一次情報としての力がある。第三者がどのような評価を下そうが一つの重みがある。その重みに評論家は耐えられるか?
一方でその情報が語られなかったら。誰にも伝えられなかったらそれは存在しない。無である。かつては伝えようにも伝える手段がなかったが、我々はインターネットと言うメディアを手に入れてしまったのである。
我々には我々にしか語れない物語がある。
語れ語り尽くせ。