未来のいつか/hyoshiokの日記

hyoshiokの日々思うことをあれやこれや

職業としての基盤系プログラマ

職業としてオープンソースソフトウェア(OSS)に関わるというのは、10年前であれば、冗談にもならなかったのであるが、今では、そう多くはないけど、なくはない選択肢になった。

基盤系ソフトウェア開発に従事するなんていうことも、わたしが大学を卒業したころは、大手ハードウェアベンダーくらいしか選択肢がなかったのであるが、最近ではWeb2.0系でサービスを開発している会社でも基盤系OSSのパッチを作っていたりして、選択肢がむしろぐぐっと広がった感じがする。ここで、基盤系というっているのは、OSとかRDBMSとか言語処理系とか、そーゆーやつね。Webアプリケーションだとか、業務アプリケーションだとか、ゲームとか、そーゆーやつじゃなくて。

例えば、90年代、RDBMSの開発をしたければ、Oracle/Informix/Sybase/IBM/MSなどのベンダーに行くしかなかった。日本では日立製作所富士通でも、開発していないことはなかったけど、中途採用を積極的に採っているわけではないので、選択肢にはならなかった。OSの開発をしたければ、IBM/Sun/Apple/MS/HPなどなど、結局シリコンバレーを中心とした外資系ベンダーくらいしか選択肢がなかったのである。

ところがOSSが、それをすっかり変えた。

はてなmixiドワンゴDeNAGREE楽天PFIなどなど、Web2.0系企業がGoogleほどの規模はないかもしれないが、数百台、数千台規模のサーバーを日々運用し、スケーラビリティの問題に取り組んでいる。そして、そこで必要とされるのはまさに基盤系ソフトウェア技術である。骨太な現場の技術である。職業として基盤系ソフトウェアを扱う高度なプログラマを必要としている。

大学でコンピュータサイエンスをしっかり勉強してもSI業者か、ベンダーの中央研究所くらいしか就職先がなくて、基盤系の技術を学んでもそれを十二分に生かす職場がなかったのが、ついこの間までの現実だったのである。どんなに、RDBMSの実装の研究をしても、それを生かすのが外資系のしかも海外本社でしかなければ、誰が必死こいて勉強するか。(もちろん、好きだから必死こいて勉強する奴はいることは知っているけど、それが仕事にならないというのは悲しすぎる)

未踏創造事業で、優れたプログラマが多数発掘されたにも関わらず、少なからず彼らがGoogleに行かざるおえなかったのは、日本という地に、彼らのスキルを生かす職場がなかったからである。基盤系技術を必要としている現場がGoogleにしかないということに残念な思いをかつて持った。ところがどっこい、東京にはGoogleほどのスケールじゃないかもしれないが、上にあげたような企業にそのような現場が存在するのである。(経済産業省METI)の矛先が、未踏で発掘した人材でベンチャー創業だという明後日の方向に行っているのがそもそもの間違いで、技術者と経営者というのはまったく違うスキル、専門性を必要とするのである。基盤系技術者の受け皿はどこにあるのか)

それもこれも勉強会という場でわたしは発見したわけだけど、その認識を共有する人は必ずしも多くはないので、ここに記しておく。

職業としての基盤系プログラマの専門性を生かす現場が東京にある。そしてその専門性を必要としている現場がある。