未来のいつか/hyoshiokの日記

hyoshiokの日々思うことをあれやこれや

達人プログラマーの思考法と学習法

無理してベストセラーを読む必要はない。自分にあった本を自分にあったペースで読んでいけばいい。GW中に昔(1年くらい前)献本された「リファクタリング・ウェットウェア」を読んだ。

達人プログラマでお馴染みのAndy Huntの著書である。正直言って、この本のタイトルにぐっとこなかったので、本書を1年近く寝かせておいたのであるが(献本いただいた宮川さんすいません)、ふと思いたち、読んだ。面白かった。副題の「達人プログラマーの思考法と学習法」が本書の内容を的確に表現している。

情熱プログラマーを読みながらも感じたことなんだけど、プログラマーとして、どのように学ぶかという問題にはもちろん正解はない。だけど、人間は弱いものなので、そのような正解を求めて本を読む。様々な自己啓発書が本屋にあふれているのがその証拠だ。私自身、そのような自己啓発書の類の書籍にはあまり興味がないので、買うことも読むこともほとんどないのであるが、読んだら読んだで面白い発見をするのではないだろうかと思ったりもする。


学ぶという行為は、人生を豊に生きるために人間に与えられた宝物だと思っている。わたしは効率のよい学習法とかに実は興味がない。それは効率のよい人生という問いが無意味と同じくらい興味がない。

むしろ会社の中で、ほげほげの資格がないと肩身が狭いのでその資格を取らなくてはいけなくなっていやいや試験勉強をしているという人がいたとして、その資格を効率的に取りたいので勉強法を勉強しているという人がいたとしたら(そちらの方が多いとは思う)、それはそれで同情する。

なんちゃらの資格を最小の労力で取得するということは会社での所々の立場から考えてどうにかしなくてはいけないという状況について理解はしているが自分はそんなことにはまったく興味がないのでどーでもいいちゃっどーでもいい。

そうではなくて、心を豊にするために学ぶという自学自習の精神をどのように実践していくか、そのような実践についてのヒントが実は本書には満ちているように思う。

勉強会とかカーネル読書会とかをやっているのは、効率的になにかの技術を取得したいという動機よりも、楽しいからという動機の方がわたしには強い。そしてそれを続けることが自分の人生をいろいろな意味で豊にすると信じているのでそれを続けている。そしておまけとして、ちょっとした知識を得たり、かけがえのない人と知り合ったり、意図しない喜びを見出したりする。

本書では、初心者、中級者、上級者、熟練者、達人という5つのレベルわけをしていてそれぞれのレベルにおける学習方法のようなことを記している。

初心者はルールに従い、達人は直感に従う。ある意味、形式知は達人の直感を文字にしたものである。しかし、言葉にできない価値もあり、それは暗黙知と言われたりする。

初心者から中級者、上級者、熟練者、そして達人になりたければ、本書は何かしかのヒントに満ちている。読むだけでは達人にはならない、本書に載っていることを実際に試してみないといけない。そして、自分流の学習方法を身につけることが達人になる第一歩である。

わたしは、初心者に、「勉強会で一つでもいいから質問をすること」を勧めている。何百人にも勧めた。しかし実践するのは、ホンの数人くらいか、1%位か、そんなものである。アイデアを思いつく人はいっぱいいる、だけどそれをやってみる人は驚くほど少ない。そしてそれをやり通した人はもっと少ない。そして、そのような人が成功者とか達人とか呼ばれたりする。そういうものである。言うのは簡単だけどやるのは難しい。

人生なかなかうまくいかないものである。