未来のいつか/hyoshiokの日記

hyoshiokの日々思うことをあれやこれや

Paul Grahamはわたしのアイドルだ

彼の名前を知ったのは「ハッカーと画家」を読んだからだ。 *1

Viawebというのも知らなかったし、それがYahoo!に約5000万ドルで1998年に売却されたということも知らなかった。もちろん当時、楽天がそれに興味をもっていたということも知らなかった。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%82%A2%E3%83%A0

彼のエッセーはハッカー中心主義に満ちている。それを鋭く言語化している。

日本語訳のリストもある。
http://practical-scheme.net/wiliki/wiliki.cgi?naoya_t%3a%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%82%A2%E3%83%A0%E3%81%AE%E3%82%A8%E3%83%83%E3%82%BB%E3%82%A4%E3%81%A8%E5%92%8C%E8%A8%B3%E4%B8%80%E8%A6%A7

Yコンビネーターは彼が設立したスタートアップ向けベンチャーファンドだ。そして近刊を読んだ。


00年代のシリコンバレーに住んでいるわけではないので、そのベンチャーの空気というのはよくわからない。間接的にそれをメディアで知る程度である。

わたしの00年代前半はもちろんミラクリナックスOSSをビジネスにすることにエネルギーを費やしていたので Web 2.0 業界の細かい動きは全く追えていない。Yコンビネーターも知らない。

そのベンチャーファンドYコンビネーターの物語である。

わたしがシリコンバレーにいたころ(90年代後半)は、インターネットバブルで、インターネットにまつわるスタートアップがとんでもない資金を調達していた。

Web 2.0 の時代、その創業資金は格段に安くなっている。ユーザがほしがるアイデアとそれこそ300万円程度の資金とハッカーが、数週間程度で最初のプロトタイプを作って、それを提供する。そして、ユーザーの望むものをすごいスピードで作って行く。

Yコンビネーターが何をやっているか、その実情はほとんど知られていない。シリコンバレーのインナーサークルに入らない限りそれを知ることは困難だ。

毎週火曜日の夕食会に潜り込むことはYCの関係者じゃなければ不可能だ。そこには日本人はおそらくいない。2005年のエピソードを2013年に知ることになる。*2

小額の資金を多くのスタートアップに分散投資するというのはイノベーションだと言っていいと思う。

そのサービスが受けるか受けないかは誰にもわからない。MVP(minimal viable product) を素早く作って、それを計測して、何かを学ぶ (Build/Measure/Learn) というサイクルを毎週繰り返し、毎週毎週10%以上成長する。それが宿命づけられたのがスタートアップである。

そして、それらのスタートアップは、10中8、9は失敗する。しかし失敗することは悪いことでもなんでもなく、そこから何を学ぶかという価値観である。

日本ではほとんど見られないイノベーションの作法だ。

試してみる。そこから学ぶ。

日本という地域でそれをコピーできないのだろうか。そんなことを考えさせる一冊だ。

イノベーションを起こしたいと強く思って試行錯誤している人には必読だ。お勧めである。


誤植とか
367pp: 路上駐場場所 > 路上駐車場所
387pp: 親友でなない > 親友ではない

あわせて読みたい

Founders at Work

スタートアップの創業時のエピソードにはドラマがある。Paul Grahamが Viaweb の創業時を語っている。

Yahoo!に起きてしまったこと http://blog.livedoor.jp/lionfan/archives/52682119.html

ハッカー中心主義の企業文化について。『Yahooには最初から「ハイテク企業になろう」という強い意志が欠けていた』この一文を読むだけでも価値がある。Web企業として生き残りための法則がここにある。

Ramen Profitable http://blog.livedoor.jp/lionfan/archives/52682058.html

スタートアップが起業家の生活費を稼ぐ程度に利益(売上)を上げることだ。Web 2.0 の時代になって起業のコストが著しく下がったので、$3000 程度の売上があれば暮らして行ける。

*1:http://d.hatena.ne.jp/hyoshiok/20060514#p1

*2:2012年冬学期にはいたそうだ