未来のいつか/hyoshiokの日記

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オープン&クローズ戦略。日本企業再興の条件。

オープン&クローズ戦略 日本企業再興の条件を読んだ。

「ものづくり」や「匠の技」だけでは、もはや勝てない。市場撤退を繰り返し、長らく停滞して来た日本の製造業をはじめとする産業の再生の方途はあるのか?
アップル、サムスンインテルクアルコム。これらの企業は利益を生み出すコア領域をクローズにする一方で市場との境界にオープン領域を設定し、多くの企業を巻き込みビジネスのエコシステムを実現している。
本書は、欧米企業が生み出した周到な知財マネジメントとビジネスモデルの構造を分析し、長年の実証研究に基づく成果から、日本企業の本質的な課題を克服し、再び活力を与え、再成長のための戦略を提起する。

日本の製造業が競争力を失ったのは、ハードウェアリッチな製品には強かった日本の製造業が、ソフトウェアリッチな製品については出遅れたためと分析している。そして市場はソフトウェアリッチな製品に支配されている。
産業構造がアナログからディジタルへシフトしたと言い換えてもいい。その構造転換に日本企業は失敗したというのが本書の分析である。

本書の議論で目新しいところはない。自社のコア部分をクローズにして、それ以外をオープンにするという戦略である。

ソフトウェアリッチ製品の作り方はソフトウェアそのものになるのだが、ソフトウェア製品の製造に関する記述はほとんどない。アジャイルと言う言葉も出てこない。書名から連想されるオープンソースという言葉もフリーソフトウェアもバザールモデルも出てこない。ムーアの法則も出てこない。72ページにマイクロプロセッサの性能向上の話が出ているが、70年代が10倍の性能向上で、80年代が30倍、90年代が100倍という出典が不明な数字が出ている。30年間で3万倍。

日本の製造業はハードウェアリッチの製品からソフトウェアリッチの製品へ事業展開をしないといけないが、ソフトウェアリッチな製品の開発経験に乏しいので、それで覇権を握ることは難しいであろう。本書を読んでそのような感想を持った。じゃあ、どうすればいいのか。ということを考えるとモヤモヤする一冊である。