未来のいつか/hyoshiokの日記

hyoshiokの日々思うことをあれやこれや

Regional Scrum Gathering Tokyo 2015に参加した。 #rsgt

Regional Scrum Gathering Tokyo 2015に参加した。
http://2015.scrumgatheringtokyo.org/
Day 1 program
Regional Scrum Gathering Tokyo 2015: Schedule

朝からJames Coplienの話を生で聞けるなど豪華なセッションがあって、お得感満載なイベント。産業技術大学院大学もスポンサーになっていてenPiTのちらしなどを配布していた。弁当もがっつりでていた。美味しかった。

(James O. Coplien)
スクラムについての誤解などを解説、議論していた。わたしはスクラムの基本を彼から習ったので、そーゆーもんだと思っているが、ちまたに流布されているスクラム的なあれやこれやについて、それは違うというスタンスで解説した。ある意味、そもそもなんでスクラムが必要なのかというところに立ち返るので、スクラムマスターがいなくちゃいけないとかプロダクトオーナーがいなくちゃいけないとか、そーゆー形式的なところにとらわれてはいかんというお話である。自律的な開発ができるとか、リスペクトを忘れないとか、信頼をするとか、そのような価値観を実践することが重要である。若干、エキセントリックに、あるいはエネルギッシュに話をするので、原理主義的に感じることがなくはないが、思想は一貫している。日本には、おもてなしの心があるので、スクラムを導入しやすいという持論を盛っている。


(竹葉さん)
産業技術大学院大学 enPiT受講生の竹葉さんの発表。2014年度PBLで「あいまいらんち」というサービスを作った。その経験をお話しした。

もともとスクラムには興味があって、昨年のScrum Gathering に参加し、スクラムへの違和感、なんか違う感をモヤモヤ持っていた。QConで永瀬さんのenPiT PBLのLT(lightning talkというショートプレゼン)を聞き、enPiTに参加してみることにした。講義を受講してPBLで実際に「あいまいらんち」というサービスをスクラムで作った。*1 そこで得た気づきを発表した。授業なので仕事と違って、「失敗をすること」を奨励される。試してみて、うまく行かないことを経験できる。そこから学びとれる。仕事の場合は、「失敗」ということは許されないので、同じ結果だとしても、「成功」したものとして報告される。仕事ではなかなか経験できない試行錯誤を経験することができた。

(写真を撮る猫耳をつけた川口さん(右端))


(椎葉さん)
スクラムマスターなんていらないという主張はCopeさんの発表と通じるものがある。自社での開発経験をスクラム開発方法論の文脈で語って行った。

自分がエンジニアとして働きやすいチームを作るのが自分のゴールとして設定し、そのゴールを達成する障害をみつけて一つ一つ解消して行く。エンジニアに対する低い期待値に異を唱える。プロジェクトを通して成長することを期待する。ちいさな失敗を早めにすることによって学んで行く。みんなが働きたいと思う組織をみんなで作るというのが本当のゴールだ。組織というプロダクトをみんなで作る。みんながプロダクトオーナーだ。楽しい。スクラムマスターはいらない。

椎葉さんの独特のかたりでぐいぐいと聞いている人たちを引きつけた。付箋を使ったプレゼンテーションのスタイルは素敵だ。椎葉メソッドと呼びたい。作り方を教えてください。

(Agile adoption - Vietnamese IT Higher Education)
セッションそのものには出ていなくて、最後のちょっとだけを後ろから聞いた。IT教育におけるアジャイルな技法を試してみたというお話らしい。

(大学でのIT教育におけるアジャイル開発の取り組み)

産技大から中鉢さん、永瀬さん、東工大、森本さん、はこだて未来大学、木塚さん、筑波大学、嵯峨さん、渡辺さん、今川さんが発表した。パネルディスカッションというよりもショートプレゼン。
内容はenPiTでの教育内容とそこでの気づきなど。
実践的なIT教育を行うためにはいろいろな試行錯誤が必要で、そのひとつとしてPBL (Project Based Learning)というのがある。大学教員が必ずしもソフトウェア開発経験者でもないので、従来の教員が教える方法には限界がある。演習のような答が決まっている問題を解かせるのではなく、実際のプロジェクトとして学生にシナリオのない問題を解かせることによって経験をつませるという方法論になる。様々な大学がその取り組みをはじめた。筑波の今川さんは学生としてPBLに参加していて、その経験を話していたが、教員とはまったくことなる視点が非常によかった。教員はすごくうまく行っていると思っているのだが、学生のモチベーションは非常に低いというような事例は、管理者と非管理者というロールでもよくありがちなことで、それに気がつくというのはPBLならではなのかもしれない。

いろいろな試みがあり、非常に面白いイベントであった。

川口さん、永瀬さんはじめとする実行委員のみなさま、素晴らしいイベントを提供していただき、ありがとうございましたー。