未来のいつか/hyoshiokの日記

hyoshiokの日々思うことをあれやこれや

ホモ・デウス、ユヴァル・ノア・ハラリ著、柴田裕之訳、読了、濫読日記風2019、その2

ホモ・デウス 上: テクノロジーとサピエンスの未来ホモ・デウス 下: テクノロジーとサピエンスの未来を読んだ。

 同著者のサピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福サピエンス全史(下)文明の構造と人類の幸福 も面白かったが、本書も一気読みした。

ホモ・サピエンスの歴史を認知革命、農業革命、科学革命、産業革命までをサピエンス全史が描いていて、その後の未来を本書(ホモ・デウス)が記している。

ホモ・サピエンスは飢餓と疫病と戦争を克服しつつある。長いこと人類をわずらわせたものを克服した時、我はどこに向かうのか?その壮大な問いに本書は答えようとする。最新の生命工学、情報科学などの知見を交え説得力のある議論を展開している。先にネタバレをすれば、人類は不死と幸福と神性の獲得を目指す。それは人類をアップグレードした超人(ホモ・デウス)になる。

ホモ・サピエンスと他の動物との際立った違いは何かといえば、社会性を持っているとか、道具を使うとかあるが、ざっくりいえば、7万年くらい前から始まった認知革命、それに続く農業革命、15世紀頃からの科学革命などである。人類のハードウェアとしての肉体は脆弱で人類より強靭な動物はいくらでもいるが、共同で狩をしたり、武器を使うことによって圧倒的に有利になっている。

劇の第一幕に登場した銃は第三幕で必ず発射されるチェーホフの法則というのがある。1945年に核兵器が登場したにも関わらず、人類はこの誘惑にあらがうことを学んだ。(広島と長崎で使われたが戦略核兵器は使われていない)28ページ。

世界規模の戦争を克服したように見える。

人類は至福と不死を追い求めることで、実は自らを神にアップグレードしようとしている。(59ページ)

農業革命が有神論の宗教を生み出したように、科学革命は人間至上主義の宗教を誕生させ、その中で人間は神に取って代わった。(125ページ)

「現実には客観的なものと主観的なものがある。たいていの人の人はそれ以外に可能性はないと思い込んでいる。(中略)ところが第三の現実のレベルがある。共同主観的レベルだ。(略)たとえば、お金には客観的な価値はない。」(180ページ)

我々が寄って立つ社会制度や様々なルールというのは共同主観的なものだ。お金も法律も政治制度も教育も宗教も自由主義も資本主義も民主主義も科学も工学もみんな共同主観的なものだ。多くの人が信じているので成立しているにすぎない。

21世紀に我々は人間至上主義からデータ至上主義へと移行する。

本書を予言の書として読むこともでき興味深い。詳細は是非お読みいただきたい。(雑な感想でごめんなさい。)

 

 

 

乱読日記風 2019