未来のいつか/hyoshiokの日記

hyoshiokの日々思うことをあれやこれや

猿でもわかるOSS

10年間OSSになんらかの形でかかわってきて、自分なりにOSSというものの本質を理解したつもりだったが、ふと考えてみると本当に自分はその本質を理解していたのだろうか、その本質に少しでも近づいたのだろうか不安になる。

どうみてもインターネットやOSSというのが地球規模で大変な影響力を持っているのは明らかだと思うのだが、梅田望夫の本があれだけ売れているところをみるとそのように理解している人は実はそれほど多くないと思ったりもする。

梅田はもう自分より年上とは会わないと公言する。自分の貴重な人生を頭の固い年上の人間に浪費されたくないというのもわからなくもない。

しかし、このまま日本が朽ち果てていくというのは、うれしくない。日本という地域に住んでいるものとしてせめて自分のまわりがもっと生き生きとした幸せな地域になってほしいとも思う。自分が幸せになることを考え、家族が幸せになることを考え、自分の勤めている会社や、自分の属しているコミュニティ、地域が幸せになることを考える。

OSSという方法論、バザールという方法論。それによって一人の個人が幸せになり、企業が利益を上げる方法論を広く共有したいと思う。

自分なりにそのメリットや限界を理解しているつもりなのだが、言葉でうまく説明できないもどかしさもある。

自分の理想とする姿があったとして、それにたどり着くためにどのような道筋でそこにいくのか。その時OSSとかインターネットをどう利用するのか。OSSの意義をどう会社や社会に理解してもらうのか。その方法論をわたしはまだ発見していない。

例えば、企業でOSSをやっている人たちといろいろお話をする。現場でOSSを開発していたり利用している人たち、いわゆるOSS業界の人たちとお話をする。日本の大企業の場合、製造業(コンピュータベンダーであったり家電メーカーであったり、などなど)だと、いろいろな部門でLinuxを使っている。普通に使っている。

そのような現場の方達とお話をして、実感するのは、現場でのLinuxの利用というのは着実に広がっているのだが、社内にはOSSの意義が充分理解されているかというと、そんなことは決してない。OSSというのはただのソフトなんだから、適当に使えばいいじゃん程度の理解が大半だと聞く。いい悪い、正しい誤りではなく、その程度の理解がほとんどだという。企業の経営者がOSSのメカニズム、エコシステム、コミュニティ、バザールモデルなどの破壊的なイノベーションを生み出す仕組みについて理解しているかというと、ほとんどしていない。

経営戦略として、そのような破壊的イノベーションを意図して積極的に利用しているという経営者は残念ながらほとんどいない。

IBMが90年代ビジネスが立ち行かなくなって、ある時から舵をクローズな世界からOSSの世界へ180度転換し、積極的に経営戦略としてOSSを利用し始めたこととは極めて対照的である。

温度差があるとしてもIntelやHPのようなIT企業は会社の経営戦略としてOSSをどうにか取り込もうとしている。

Googleの例を持ち出すまでもなく国際競争力のあるサービスを提供するものはOSSなしにはなりたたない。OSSなしにはなりたたない以上、OSSに対して本能的に会社として理解して、それを前提とした経営戦略を立案できなければそもそも充分な競争などできるわけがない。

日本のIT企業が国際競争力を持ちたいのならばプロプライエタリなIT戦略ではだめでOSSをどのように自社のビジネスにビルトインするかという問いに明確に回答できなければならない。

まあ、簡単ではないと思う。企業のトップだけではなく中間管理職もOSSのことなんか理解してはいない。

どうすればいいのだろう。経団連のお偉方とかにバザールモデルの本質的な意義などをレクチャーし理解してもらうにはどうすればいいのだろう。

日本という地域をもっとゆたかで生き生きとした活力のある幸せな社会にするために、OSSをどのように使えばいいのだろう。

権力を持ったおじいさんたちに理解してもらう言葉をどうすればわたしは発見できるのだろう。皆さんの力を貸してほしい。

猿にでもわかるOSSというのを今必要としている。