未来のいつか/hyoshiokの日記

hyoshiokの日々思うことをあれやこれや

厚労省の検討会が素晴らしすぎる件

ゴールデンウィークなのに家でお留守番だということでネットを徘徊するのだが、『改正薬事法の完全施行は土壇場で厚労省がどんでん返し--委員の不信感も募り混沌』というのがっめちゃくちゃ面白かった。改正薬事法に関する厚生労働省の省令によって薬をインターネットで販売できなくなるとかならないとかいうので、それを議論するという『医薬品新販売制度の円滑施行に関する検討会』というのができて、その議論を報告している。http://www.mhlw.go.jp/shingi/other.html#roudou

ざっくり言えば、医薬品をインターネットで販売できなくなって困るという楽天の三木谷さん、対面販売が必要だという薬剤師会、その他、富山の薬売り方面の人、漢方薬方面の人、消費者団体の人、学識経験者などなど、政府系審議会にありそうなメンツから構成されている。

厚生労働省としては、2月に発表した省令により6月1日からそれを施行したいわけだが、インターネット方面の三木谷さんが、ちょっとまった〜〜という構図である。

消費者である私の感想から言えば、風邪薬くらいインターネット販売してもいいと思うけど、それを禁止するというのはちょっと行き過ぎかなというくらいのスタンスであるが、この手の議論というのは既得権益者が消費者の都合を蔑ろにして業者の都合(それが薬剤師であったり、薬局であったり)を守ろうと考えたりするので注意が必要である。

もちろん、薬害や犯罪に使われることをどう防ぐか、ガイドラインをどう設定するかという議論は必要だが、なにがなんでもインターネットはだめで、対面販売じゃないとというのは、どうかと思う。

でもって、今回の話の焦点はそこではなくて、省令について、過去4回議論をしてきて、報告書をまとめる段階でなかなか意見が対立して難しいというようなお話になり、みな困ったね。というころ、事務局が

参考資料が一通り出て、本日の検討会の議題通りまとめようとしたところから、徐々に検討会の雰囲気が変わり始め、ネット販売に対する懐疑派も継続派も検討会の委員一同が唖然とするような“事件”へと発展した。

どーゆーことかというと、まあ、先生方には5回ほどご議論いただきありがたいのですが、厚労省の案を5月半ばにだして、それをパブリックコメントに計り、6月1日から施行します、というよなことを事務局が突然言い出したので、三木谷さん激怒ということらしい。はじめから厚労省案ありきで、審議会の議論は形式的には必要なのだけど内容はないがしろという風に取られてもしょうがない。

いやはや、国に意思決定プロセスがオープンになるということは実に面白い。いかにいい加減なやり方でやられているかということがよく分かって勉強になる。委員の先生方もこれじゃあ怒るのはしょうがないかと思う。

議論を尽くした上で妥協点が見出せなかったのならば、それはある意味しょうがないことである。政治的な決着も必要であろう。しかし、議論する場は議論する場で、それとは別に官僚が鉛筆なめなめ作った作文を最後に後出しじゃんけんのように出してきて審議会のお墨付きを与えて出すというプロセスというものの説明可能性というのは著しく低い。

報告書の一字一句にそれこそ命をかけて審議してきた立場の人たちにとっては憤懣やるかたないことであろう。それであれば最初から事務局案を出して、それを審議すればいいのである。

特に三木谷氏は「もしね、そういう案があるんだったらね、その案を今日の頭に出してもらって議論するべきだったんじゃないですか。本当に。これ、なんかもう官僚主義のひどい話でね、最後にビーってまとめて、みんないろいろ聞いたけど俺たち(厚労省が)勝手に決めて、こうやって決めるよと。そんで、漢方と伝統薬は救うけども他については離島だけだと。って、いう議論ですよね。もうむちゃくちゃやて。いやあ、マジでマジで。なんですか、これは。あり得ないよ」と、机を何度も叩き激昂した。いわゆる“ぶち切れ”てしまった。

情報公開によって、このようなプロセスがほぼライブでみられる時代というのは、インターネット的でもあるし、未来に対する希望でもある。