未来のいつか/hyoshiokの日記

hyoshiokの日々思うことをあれやこれや

瓶ビールをほめる

飲み会の席では、まづ瓶ビールだ。わたしがとりあえづ瓶ビールを好むにはわけがある。

勉強会の懇親会でまわりには初対面の人ばっかで、ちょっと手持ち無沙汰で、特に話題もなく、かと言って、急に暑くなって来ましたよね〜とか天気の話題で時間をつぶすのも白々しい。ともかく最初の一杯をどうにかしてくれと切実に思う瞬間。そーゆー瞬間があるはづである。

ない、全然ない、という人は、この話題スルーしちゃってください。

わたしは、誰も信じてくれないのだが、極度にあがり症で人見知りでできれば家に一日中引きこもってネットをやっていたいというタイプの人間である。口を聞かないで一日いられたら、どれだけいいだろうというタイプの人間である。

しかし、社会生活を営む上で、それでは食っていけないので、渋々会社には行き、どーせなら人生を楽しく生きるために勉強をし、懇親会に出て様々な生きる上での智慧を学んでいる。

人生で必要なことは飲み会で学んだ。

最近は会社の飲み会というのも流行らない。まったくもって流行らない。飲み会の掟を教えてくれるコワモテの先輩も絶滅した。ということで若い人たちは、飲み会のイロハを学ぶ機会が少ないのではないかと思う。

飲み会は、つまらないより楽しい方がいいに決まっている。無駄な喧嘩や不毛な議論を延々やるより楽しく過ごしたい。皆そう思うのになかなかそうはならない。残念なことである。

楽しい飲み会を作るのは難しくない。ちょっとしたコツさえあればいい。それが先人たちが築き上げた飲み会の定石だ。

で、瓶ビールである。

飲み会が始まる前というのが、一番空気が固くて、参加者同士、何を話題にしていいのか模索している時間帯である。できれば、この時間は短くしたい。昨今、よく見られるパターンが、幹事が「えー、では飲み物のオーダーを取ります」とか言いながら、一人一人に好みを聞いて、カシスオレンジ、ウーロン茶、ビール、酎ハイ、グレープフレーツサワー、(延々と続く)、というのをもう15分もやっているよ。これではいけない。

乾杯までの時間は短ければ短い方がいい。

幹事力ちょっと高い人がしきると、「ノンアルコールの人挙手。はい、7名ですね、ウーロン茶でいいですか、ウーロンね、じゃあ、残り中生で」と有無を言わさづウーロン茶と中生こーげきになる。「わたし中生はちょっと」と言う声は無視されるが、乾杯までの時間はかなり短縮される。大量生産により効率化を図った時代である。

中生というかジョッキだと、人数分準備するのに人数に比例した時間がかかる(当たり前だ)ので、実は乾杯までの時間は種類を減らした割にはあんまり減らないのである。数人の小規模飲み会ではそのような時間はもちろん誤差みたいなものだし、差しのみ(二人の飲み会)だったらもちろん何を飲んでもいいのだが、数十人規模の飲み会だとジョッキを準備するという時間はバカにならないのである。

で、瓶ビールである。瓶ビールは、栓を抜くだけだから準備に時間がかからずスケールし、準備する本数も人数÷2本ぐらいを持ってきてもらえば乾杯には十分である。アルコールを飲めない人は乾杯のふりをするだけでよくて、全員の好みが揃うまで待つ必要がないので、乾杯までの時間を最小化できる。一応乾杯さえすれば、各自好みのドリンクをオーダすればよくて、そのころには、まあ乾杯も終わったことだし場も若干温まって来たことだし、さめざめした気まずい雰囲気も徐々に緩んでくる。

ジョッキはお店の人が持ってきたものを各自飲むだけであるが、瓶ビールの場合、栓を開けたりお酌をしたりするアクションがあるので、初対面でも、「あ、どぞどぞ」「あ、どもども、恐れ入ります」という最初の会話のきっかけにもなる。そして、お酌をされた人が、お酌をした人に返杯ということで、ビール瓶を奪い取り「あ、じゃあ、わたしが、どぞどぞ」と返杯し、それを最初にお酌した人が「あ、どもども、恐縮です、おっとっと」「あ、こりゃ失礼」という黄金のパターンを楽しめるのである。

もちろんアルコールが飲めない人もそこにはいるので、その時は「あ、わたしはウーロンで、すいません」「あ、そりゃ残念ですな、がはは」と無理強いしないのが大人のマナーである。

たかが瓶ビールで、様々なバリエーションが楽しめるのである。そして瓶ビールをきっかけに話が弾むのである。

そして、ここからが上級者編だ。上記の理屈を頭で理解した上で、勉強会の懇親会など初対面が多い飲み会で応用してみる。

瓶ビールが出てくる。それぞれのテーブルにお店の人が持ってきてくれた。既に栓は抜いてある。さすがだ。店の心遣いがうれしい。瓶ビールをオーダーした幹事も気が利いている。その気づきを言葉にしよう。初対面の隣の人との最初の会話がこれだ。「瓶ビールいいですよね〜〜〜」。いきなり瓶ビールを誉める。「飲み会には瓶ビールですよ」さらに誉める。そして誉めながらお酌をする。何がなんだかわからないが、誉め力が重要だとか言っていたおやじがいたが、それを試してみる。何事も経験である。騙されたと思って試してみてほしい。なかなか楽しい一時を過ごせると思う。

実は先日のエンジニアの未来サミットの打ち上げで全員ほぼ初対面のテーブルで上記の技をライブでやったのだが固い空気を若干ほぐせたのではないかと思ったりする(自画自賛)。

こーゆーことは飲み会の席で先輩から見よう見まねで盗んだものであるが最近ではそのような黄金の飲み会をする機会も減ってきていると思うのであえてここに記した。飲み会勉強会である。