未来のいつか/hyoshiokの日記

hyoshiokの日々思うことをあれやこれや

第七回Wikiばな 〜 Wikiの起源へ〜 に行ってきた。

江渡さんの執筆した、パターン、Wiki、XP ~時を超えた創造の原則 (WEB+DB PRESS plusシリーズ)を記念してのWikiばなイベントに行ってきた。


http://wikibana.socoda.net/wiki.cgi?WikiBana%2fVOL.7

Wikiの起源へ、江渡浩一郎

江渡さんの自分語り。パソ通のころからのお話。1985年通信の自由化。情報民主主義という言葉。パソコンを使って直接民主主義が生まれるのではないかという期待感。慶応SFCで、Web普及活動をした。学生が誰でも自分のページを作れるようにした。CGIがぴったりはまった。2002年WikiWikiWebと遭遇した。印象の変化が激しかった。最初ネガティブ、次にポジティブ。技術的な新規性がまったくないのに、なんでいいのだろうという印象。芸大にWiki導入。問題点もあったが成功した。Wikiを作ろうと思い、Wikiの調査をした。絶妙なバランスで出来上がっていることを発見した。利用者の設計の参加が重要。WikiばなVol.3で発表した。未来心理でのWiki論文。2008年9月からWiki本執筆開始。2009年7月発売。で、この本で何を言いたかったのか。それは今から考える。ヒントは言う。パターンランゲージボトムアップ。難しい。説明しにくい。Wikiの良さは機能に還元できない。使い方にWikiの良さが宿る。

江渡さんは、この本で自分は何の主張もしていないと謙遜されているが、この本で、「パターン、Wiki、XP」の時を越えた創造の原理が共通しているという強い主張をしている。それがこの本の特長でもあり、価値でもあると思う。

時間があったので、一つ質問をしてみた。「25年前、情報民主主義という言葉があったのだけど、未だにそれが実現していないように思えるが、どのように考えるか」。江渡さんの回答は、創造するアーキテクチャというシンポジウムで、技術が社会変えるという情報決定論と、社会が技術を規定するという社会決定論があるけど、第三の道があると思うという議論があって、自分は第三の道を模索するというような趣旨のことを話された。

創造するアーキテクチャに関するレポートは下記参照。http://fumi.vox.com/library/post/urban.html

レビューパターン、稲尾尚徳

Web+DBプレスがすごい件。Wikiばなの出席者が多数、執筆陣(読者投稿欄も含む)にいる。疎結合な書籍シリーズ。8名のレビュアー。全部公開、全部いじってもらう。Dropboxを利用してやった。極端からはじめて調整していった。全員面識ある人がいない。ちょっと心配だった。だけど、報告することで、大丈夫だった。プロセスとパターンを解説すればいいということに気がついた。2部と3部を入れ替える。shinoさんの提案。6つの原理との対比。角谷さんの提案。書名の案も出してもらった。

編集の仕方がラディカル過ぎて、すごいすごい。他人の声を受け入れることによって個性が際立つという事例になっている。Wiki本の作り方がWiki的だということに感動した。

全員面識がある人がいないという状況で、そのコメント、議論を受け入れるというWeb時代の方法論を実践した江渡さんもすごいが、そのようなクレージーな方法論で編集担当の稲尾もすごい。

"Wikizenアパート"(仮)、塚本牧

Wikiの利用者のWikizen。住民が入れ替わるWiki

Wikiの利用者はウィッキーでいいと思う(笑)。

老子」からWikiWayへ、しばむらしのぶ

スライドが60枚で、少ないとdisられた。YukiWikiからWikiばなへ。結城浩さんのYukiWikiすげーと思った。Wikiばなの経緯。第4回Wiki博覧会。13名のWikiエンジン開発者が一同に会した。Wikiつまみぐいという雑誌連載。「パターン、Wiki、XP」という本をきっかけにWikiばなVol.7開催へ。ここまでが前フリで、「老子」からWikiWayへ。Wayってなんだろうね。道?なんだろう。インド、オレゴン大学、ヒッピー文化。カウンターカルチャー、Love&Peace。知れば知っただけわからなく。ゲーデルエッシャー、バッハ。無名の質。QWAN。TAO 道 Way。道という単語の意味。宇宙創造のはじまり。名の無い道の領域がある。人物、解釈、テキストとしての老子。…。寺田寅彦。電車で老子に会った。

Wiki老子との関係までたどり着けなかったプレゼンだった?!

C2Wiki、カニンガム、WikiWay、島田慶樹

メンバーが決まっていて、目的が決まっていないとWikiは機能しない。…。

目的が決まっている必要はあると思うが、メンバーについては、もう少し流動的というかオープンな感じがする。オープンソース的な開発だと、はじめからメンバーを限定しない、あるいはメンバーを限定できない開放的な開発形態になっている。そのような形態でも大変うまく機能していいる。なので、メンバーを固定することが成功の必要条件ではないと思う。

The Nature of Order、中埜博

建築からアレクサンダーについて語る。セミの幼虫。江渡さん、おもしろい。変な人。やわらかいパターンランゲージhttp://ces.mitohorin.com/ 生命構造。無名の質。好きか嫌いか。専門家がユーザーの代わりにやる。これが問題。アレクサンダーが指摘した。ユーザー参加の視点。本の作り方を変えちゃった。第三者が入ることによって個性が際立つ。…。創造は組み合わせの仕方、発見。無名の質を発見するのはわれわれだ。前衛になってほしい、そして死んでほしい。

このセッションは、「中埜」節を楽しむ。建築の専門家がITのイベントに来て話をする。面白かった。

The Nature of Software Development、角谷信太郎

プロジェクターがなかなかつながらなくてやきもきさせるのは角谷さんの非常に高度なプレゼンテクニックか。中埜さんの発表の熱気を少しでもさますために違いないと勝手に想像する。

仕事として顧客向けのソフトウェア人為的なソフトウェア。オープンソースフリーソフトウェアは自然なソフトウェアだ。自然なソフトウェアの作り方。人為的に作る人たちはハッカーからもっと学ぶ。

角谷さんが名づけた「自然なソフトウェア」というフレーズは素敵だ。

Wikiみたいなマンション、"沢マン"。そして"The Nature of Order"へ、懸田剛

沢田マンションのお話。

感想

http://www.ustream.tv/channel/wikibana

http://www.ustream.tv/recorded/1947780

Wikiばなという場に集まったすごい人たち。一つの場所に人々が集まると何かが起こる。化学変化が起こる。それがWiki的だし、勉強会的だし、オープンイノベーションだったりする。

第4回Wikiばなに参加したときの感想を日記に記していたことを先日発見した。

すごいところだ(未来のいつか/hyoshiokの日記)http://d.hatena.ne.jp/hyoshiok/20050314

東京という街はつくづく凄い街だ。そー思った。凄い街に住んでいる者はそこが凄いところだという事を意識しない。意識することが難しい。
自分の妄想をプログラムによって実現するものをハッカーと呼ぶが、現代の魔術師だ、環境と道具と時間を与えれば、ハッカーは自然と生まれて来る。そのハッカーが生まれる環境にはハッカーがある一定数以上近傍に存在する。ネットワークの存在によって物理的な近傍は広がった。東京には、広い意味での東京という街には、ハッカーが存在する。ハッカーは模倣する事によって成長する。そのためにいろいろな刺激をあたえるハッカーを近傍に必要とする。ある地域に一定数以上のハッカーが存在することによってその地域はハッカーを拡大再生産することがはじめて可能になる。
東京はそーゆー街になりつつある。
Wikiばなhttp://wikibana.socoda.net/

4年前に感じたことを、この1年勉強会のプロモーションということで、誰彼構わず言っていたりする。25年前の情報民主主義という言葉で公文俊平が夢想したユートピアが、技術が社会を変える(第一の道)ではなく、社会が技術を規定する(第二の道)のでもなく、第三の道として広がっているのではないか。そしてWikiばなはそのような予感させるイベントとなっていた。

Wikiばな主宰者shinoさん、Wiki本の江渡さん、発表者、参加者の皆さん、素晴らしいイベントであった。感謝したい。そして、参加できた事に喜びを感じる。参加できて良かった。ありがとう。

Love & Peace