未来のいつか/hyoshiokの日記

hyoshiokの日々思うことをあれやこれや

丸レクで語った。

丸山先生レクチャーシリーズ2010(以下、丸レクと記す)、第3回2010年4月22日(木)楽天株式会社(http://www.itmedia.co.jp/enterprise/special/dev_marulec/2008.html )でお話をした。題して「楽天インターネットスケーラブルコンピューティング」

丸山先生は並行、並列、分散などを大変わかりやすく説明されていた。首藤さんは、Key-Value-Storeについて基礎知識を解説された。藤本さんはGREEで開発中のFlareなどのお話、古橋さんはお馴染みのkumofsとそのデモ。どれも技術的に素晴らしい発表であった。

でもって、わたしの番なのであるが、特に技術的に目新しいことではなく、楽天Webサービスのインフラの歴史とか、どんな感じで日々のトラフィックをさばきながら発展していったかという実に地味なお話であった。

スライドが若干見にくいのであるがご容赦いただければ幸いである。

内容は、楽天のインフラがどのように発展していったかを難しい言葉を使わないで説明したもので、技術の最先端について勉強したいとか新しいアルゴリズムについて学びたいとかいう人向けではない。むしろ、楽天市場の流通規模とか、トラフィックの推移など、メガサイトがどのような問題を抱えていてそのトラフィックの急増にどのように対処して行ったかというケーススタディになっている。楽天市場と同規模のEコマースというのは国内ではそれほど多くはないので、その意味では参考になったのではと思う。

ショッピングモールはSNSやブログと違って、お金がからむので、銀行のシステムと同様の信頼性が求められる。やりとりする情報量は写真や音声と比べれば多くないが、ダウンすることは許されないので、運用については違った要件が求められる。新しい技術をどんどん利用するというよりもじっくり評価検証をしながら導入していくという感じである。(それが若い人とかには保守的に映るのだと思う)

また仮想化技術の導入に関しても地道にやってきた歴史が伺いしれると思う。

新しい技術では、ROMAのご紹介や、それを現場でどのように使っているか、その裏側などを紹介した。一般ユーザにはROMAがどこでどう使われているか知るよしもないわけだが、閲覧履歴で使っているよなんていう情報はおもしろかったかもしれない。

Hadoopの利用はHadoopカンファレンスで発表していたが、商品レコメンド、広告集計などの事例を紹介した。

MogileFSからの流れで楽天技術研究所で開発中のARIAを本邦初公開した。詳細についてはまだ発表出来ない部分も多いのだがROMA開発の経験をもとに、ROMAがフォーカスしていない部分の応用に向けたものを開発中である。

楽天クラウドという言葉がない時代からインターネットサービスを提供してきた。その発展の歴史は様々な要求をスケーラブルに安全に提供することだった。

運用による価値をどのように提供するか。それが大きな課題。運用こそが新しい価値を産む。そのような価値観を共有したいと語った。

丸レクという場で、若い技術者と一緒に語れることは大変な幸せだ。丸山先生や関係各位に感謝を申し上げたい。

今回は技術的なお話というより楽天の発展の歴史を俯瞰したが、どこかで機会があれば技術的な観点から今抱える課題についてお話をしてみたいと思った。それは単なるソフトウェアやハードウェアの技術的な話だけではなく、コスト、開発者にとってのプロフェッショナリズム、様々な要因を抱えるメガサイトをどのように作って行くのか、それをスケーラブルに止めずに運用していくのかなんていうことも織り交ぜて議論したい。

この時代にメガサイトを運用している現場にいることに不思議な縁を感じるとともにそこに携われることに大きな喜びを感じる。

勉強会的な運営(チーム楽天

会場には500名を越す皆さんが参加されていて、急遽会場の奥の方も開放したのだが、びっちり敷き詰められたパイプ椅子で5時間近く講演を聞くのはお疲れだったのではないかと思う。参加者の皆様にはいろいろご迷惑をおかけしたがご容赦いただければ幸いである。

今回の丸レクは社内のボランティアによる受付、誘導等手作りの運営であった。

そもそものきっかけは、弊社の仲宗根さん(技術理事)が丸山先生に楽天で丸レクを出来ないかという打診を受け、ではお手伝いしましょうというようなノリで引き受けたのが始まりである。
わたしが絡むとなんでもかんでも勉強会的な感じになってしまうのだが、カーネル読書会では100人規模の入場者をボランティアスタッフで回しているし、楽天テクノロジーカンファレンスなんかも400〜500人規模で開催しているので、どーにかなると感じていた。
とはいうものの平日の午後いっぱいの開催で、受付時間30分くらいで300名が殺到すると入館証記入に大変時間がかかるだろうし、1階ロビーが大変な混雑になると予想される。そこで、参加者の皆様には1階ロビーでGUESTカード(胸からさげるタイプ)をお渡しして、会場である4階に専用エレベータで上がっていただき4階会場前で入館証に記入をいただいた。
どーでもいいお話なのであるが、社内の大会議室で開催するので、いちいち入館証に自筆でご記入いただくというのが社内規定的には必須の要件であった。これは参加者にとっては手間暇以外の何物でもないのであるがご協力をお願いした。社外の会場であればそのような煩雑な手続きはいらないわけであるが、その場合は会場費(例えばホテルの宴会場を借りる費用)などがかかってしまい、無料で講演を提供することが難しくなる。何事もトレードオフである。
社内手続的には、会場の予約、GUESTカードの発行と回収、エレベータの占有、空調申請等々細かいことが多々あるのであるが、カーネル読書会でつちかったマニュアルがあるので難しくはない。
受付からエレベータ、4階への誘導、会場での案内などは、社内有志による。特に事故や大きな混乱もなく開催できた。
今回、ustream.tvによるインターネット生中継、twitterでのつぶやきなど昨今の勉強会では当たり前になったことも行った。これも楽天の動画同好会有志による。
チーム楽天すごいと思った。小規模な社内勉強会から500名規模のイベントまで一気に仕切るスケーラビリティを持つボランティア集団である。