未来のいつか/hyoshiokの日記

hyoshiokの日々思うことをあれやこれや

英語によるちょっとした雑談の方法。Tシャツメソッド。

先週、OSCON(Open Source Convention)に参加するため、米国オレゴン州ポートランドに行って来た。 http://www.oscon.com/oscon2013

このカンファレンスのお話ではなくて、英語によるちょっとした雑談の方法、Tシャツメソッドを紹介したい。

楽天は社内英語化を推進しているのでエンジニアに年に一度海外の技術系カンファレンスに行くことを推奨している。昨年はそのプログラムに乗っかって、Yammerという社内SNSツールのカンファレンスに参加した。今年はOSCONだ。

英語化のおかげで英語に対する苦手意識が徐々に下がって来ているけど、やっぱり海外カンファレンスで楽しむという余裕はなかなかない。よくあるアンチパターン

日本人だけで固まってしまう。

英語が出来なくて不安だからどうしても日本人同士でかたまって、英語が得意そうな人に頼ってしまう。その人も別に英語が流暢というわけではなく、日本人なので日本語が通じて、楽だからというところである。
せっかく英語づけの環境に来ているのにまったく英語を話さないで帰国。なんのために海外のカンファレンスに来ているかよくわからない。会社としては英語化の一環として派遣しているので、それでは困るのである。*1

知らない人との話のきっかけがつかめない。

日本人同士で日本語で話していたら、当然、日本語を話さない人と会話できるわけがない。なんかの拍子で一人になってしまうと、隣にいる人と話すきっかけがわからない。

質問が出来ない。

セッションの中身はよく知っている中身なのだけど、ちょっとしたことを質問できない。質問する勇気がでない。日本での勉強会でも質問したこともないので、ましてや海外で英語でなんかできるわけはない。何を質問していいのかわからない。

ちょっとした英語による雑談のTips

上記のアンチパターンへの対策と言うかちょっとしたコツなどを記してみる。

日本人同士で極力つるまない。

海外のカンファレンスは、セッションの合間が比較的長くて、その時間に参加者同士が懇談できるように、コーヒーブレークなどが用意されている。(場合が多い)
コーヒーブレークやランチは知らない人と雑談をするまたとないチャンスだ。
日本人とおぼしき人以外とお話をしよう。日本人でつるまない。それが第一歩だ。
なので日本からのツアーというのはいただけない。どうしても日本人同士でつるんでしまうからだ。

話のきっかけは"Hi, how are you?" で十分。

難しく考えることはない。"Hi, how are you?" で十分だ。どこから来たとか、なんでこのカンファレンスに来たとか、そーゆーことで十分だと思う。コーヒーブレークの間のほんの数分。中学英語でチャレンジである。

コーヒーブレークなので、コーヒー、紅茶やクッキーなどお菓子のの列があるので、その列に並んで、後ろの人と雑談をはじめる。前の人はコーヒーをつぐのに一生懸命でそれどころではない可能性があるので、後ろの人の方が難易度は低い。

自分は何者であるか、自己紹介を英語で出来るように準備をしておく。10秒くらい、30秒くらい、3分くらいのバージョンを用意しておけば素晴らしい。

名前とか、どこから来たかとか、仕事は何をしているかとかを英語で言えるようにしておく。日本だと自己紹介の時、仕事の話ではなく、会社名を言う場合が多いが、海外の人が御社名を知っている可能性は限りなく低いので、自分はプログラマだとか、デザイナーだとか、仕事を表す言葉で説明した方がいい。

話が弾めば、なんでこのカンファレンスに来ているのかとか、どのセッションが面白かったとか、次はどのセッションに行くのかとか言えるようにしておくといい。

日本人同士でつるまないで、知らない人とお話をする。これ重要。

質問をあらかじめ考えておく。

英語で質問をするのは難易度が高い。リアルタイムで英作文をするのは非常に難しい。そこで、定型的な質問文をあらかじめいくつか考えておく。
"Excuse me, I have a question."
"What is a difference between A and B?"
"Why do you take such approach?"
"What is …"
いやはや、それはいくらなんでも基本的すぎるだろうとおもったあなた、そんなことはない。遠慮せず質問しちゃおう。
しかし、セッションでリアルタイムにプレゼンを聞いて、あらかじめ考えておいたとはいえ、いいタイミングで質問することは、なかなか難易度が高いことも事実だ。それ以上に、内容を追うのに精一杯で質問どころではないというのも実情である。

そーゆーあなたにグッドニュースです。展示会場のブースの説明員の人とお話をする。向こうは相手をするのが仕事だから、どんなつまんない質問も懇切丁寧に答えてくれる。英語が分からなかったら、何度でもExcuse meでもpardonでもなんでもいいので分かるまで聞いちゃったりする。熱心に質問をしていると、Tシャツくれたりステッカーをくれたりするので、双方一両徳である。

コーヒーブレークのときよりランチの方が難易度があがる。コーヒーブレークは立ち話なので、長くても数分だけど、ランチはもう少し長いし、席も移動することが難しいので、話題が枯渇する可能性がある。

どうしても日本人同士でつるみたくなる。危険である。ここで勇気を振り絞って日本人以外の輪に飛び込んでみよう。

自己紹介のちょっと長めのバージョンを用意するというのは既に述べた。なんのセッションに出た、次はどのセッションに出るのかみたいな話題は無難だ。お勧めを聞くのもいい。

パーティーやレセプション。話題がころころ変わるのでかなり難易度が高い。銀の弾丸はないのであたって砕ける。ビールでも飲んで英語に関する劣等感や羞恥心を脱ぎ捨て裸で会話を楽しむ。意外とどうにかなるものである。スマイルプリーズ。

Tシャツメソッドで街に出よう。

カンファレンス会場では、みな共通の興味があってコンテキストは共有されている。まるっきりコンテキストが異なる文化的な問題とかを喧々諤々議論する場所ではないので、いくつかの会話のパターンを用意しておけば9割方はどうにかなる。

街で知らない人と話をする。これが一番難易度が高そうだが意外とそうでもないということを今回発見した。

知らない人同士でもすれ違うときにこやかに挨拶をしている。こちらから元気よく声をかけよう。そうすると向こうも答えてくれる。スマイルプリーズ。

ホテルでのブレックファーストなんかでも、"Hi, how are you" の世界である。

カンファレンスで貰ったTシャツを着て街に出よう。そのTシャツ、イイネとか向こうから話しかけてきたりする。自分も参加しているだよーと話しかけて来る。逆に似たようなTシャツを着ている人はカンファレンスの参加者だとわかるのでこっちから声をかけてみる。

一度勇気を奮ってやってみるとそんな難しいことでないことが分かる。英会話の練習だ。

ポートランド路面電車やバスが便利なので、カンファレンスセンターの前の駅で路面電車を待っていると参加者に出会う。キーノートをやっていた人も待っていたりする。そこで、"Hi, how are you? Your presentation was awesome, great, wonderful"とかなんとか言って盛り上がる。

Tシャツをきっかけに話をはじめると言う技を今回学んだ。

空港までの電車でも隣に座った人とOSCONについていろいろお話しした。

偶然の出会いを大切にしたい。せっかく海外に行ったのであれば、その土地でしかできないことにチャレンジしたい。そんな大げさなことでもなく、日本人だけで固まるのではなく、ちょっとした勇気と行動力で知らない人と雑談をしてみよう。

まあ、そこまで一生懸命に英語で話す必要はないというか、上記のコツなんかもいらないおせっかいのような気がしないわけでもない。まあ、英語に困っていない人はどうでもいいお話ということは百も承知で、いろいろ四苦八苦している人へなんかの参考になればと思い、そのためのちょっとしたコツみたいなものを記してみた。

人それぞれ。いろいろな方法がある。わたしはTシャツメソッドを極めてみたいと思った次第である。

そしてそれはとても楽しかった。

追記(8/5/2013):あわせて読みたい
http://d.hatena.ne.jp/hyoshiok/20130602#p1

*1:某ベンダー系のカンファレンスだと、日本法人の営業が非常にがんばって、日本人ツアーにしちゃったりして、コンテンツの翻訳やら見学会の設定やらもして、それって余計なお世話ですから。よかれとしてやっていると思うのであるが英語化の弊社としては、それじゃあわざわざ海外まで行っている意味がない。むしろ有害。国内のカンファレンスに行っているのと一緒である。