未来のいつか/hyoshiokの日記

hyoshiokの日々思うことをあれやこれや

鈴木敏文の「統計心理学」読了

株式会社セブン&アイ・ホールディングス代表取締役会長、最高経営責任者(CEO)の鈴木敏文の「統計心理学」を読んだ。

厳密な意味で言うと統計学でも心理学でもないが、鈴木敏文の経営哲学がつまっている。

コンビニのPOSは単に売れ筋の商品を見つけるためのものではなく、商品発注の仮説を検証するために使う。商品A、B、Cとあったときに、どれを発注すべきか、そしてその発注の精度(売れ残り、機会ロス)がどうだったかを検証するために使う。

例えば、Aが40個、Bが35個、Cが30個、売れていたとする。POSのデータでわかる。何を発注すべきか、コンビニの店員は仮説を立てる。売上しかみていないと、売れた数に比例して発注をするが、それが正しいのかと鈴木は問う。仮にABCの商品でAは50個発注して40個売れ、Bは40個発注して、35個、Cは30個発注して30個売れたとしたらどうなのか。Cの商品はひょっとしてもっと売れたのではないか、機会ロスがあったのではないか、そう考える。Aが売れたのはCが売り切れだったので、不本意ながら買ったのではないか、そのような仮説のもとCの発注を増やし、Aの発注を減らす。そして、その仮説が正しいかどうかをPOSで検証する。それが仮説検証のプロセスである。

セブンイレブンが強いのは、この仮説検証を現場レベルで愚直に実行しているからだと本書は言う。

この単品管理の思想はセブンイレブンイノベーションの一つだ。

問屋はあるまとまった数を小売りに卸していた。それを小口にした。異なるメーカーの商品を一つの配送車にまとめ、店舗に行く配送車の数を減らした。同じ地域に集中的に出店するという高密度多店舗出店も、そのようなイノベーションのひとつだ。

家庭で作るのが当たり前の、おにぎりを商品にした。「新しい売れ筋商品は、むしろセブンイレブンの外にあり、セブンイレブンになかった商品を作れば、いままで来なかったお客を呼ぶことが出来る。」

なかなか恐ろしい経営者である。