MSが.netなどをオープンソース化って冗談かとおもったらまじだった。これはすごい。
いろいろと驚く。昔、オープンソースに敵対していたMicrosoftも自ら基幹ソフトウェアをOSS化する時代である。どんな大企業もオープンイノベーションを無視していけない時代になった。
.NET Core is Open Source | .NET Blog
30年くらい前のいわゆる垂直統合の時代は、ハードウェアからOSからコンパイラやRDBMSや、アプリまですべて自前で提供するというのが優れたビジネスモデルだと考えられていて、その完成系がIBMだった。ハードウェアベンダーは多かれ少なかれIBM的なビジネスモデルを目指していた。それは国産各社も例外ではない。80年代になって、潮目がごろっとかわり、専業ベンダーが台頭してくる。OSならMicrosoft、UnixならSun Micro、RDBMSならOracle、CPUならIntel。それぞれの専業ベンダーはそれに資源を集中するので、イノベーションの速度も早いし、規模の経済性で安くもできるので、圧倒的な競争力を持ち、垂直統合型ベンダーを駆逐していく。
垂直統合型ベンダーのRDBMSはOracleのRDBMSよりも劣ってはいないとしても価格は高いし市場で売れていないので技術者を見つけるのも難しくなる。何よりもその上で動くアプリケーションが圧倒的にすくない。レガシーなものになって、急速に競争力を失い、垂直統合で自社製品でシステムを固めようとすると、値段は高いは機能は貧弱だし業界標準でもないし、遅れたシステムになってしまう。そのようなジレンマを垂直統合型企業は持っていて、市場から撤退を余儀なくされる。
そして、90年代後半に突如OSSが登場する。
情報は公開すると進化する。
どんな一社も市場を独占することは難しい。
オープンソースが凄いのは、凄い人が作っているから凄いので、すごくないオープンソースは山のようにある。ほとんどがゴミと言っても過言ではない。ごく一部の例外的なオープンソースだけが凄い。なので、ライセンスをOSIが定義したOSSにしたからと言って、凄いオープンソースになるとは限らない。
商用ベンダーのソフトウェアがしょぼいのは、ふつーのプログラマが作っているからで、一社で凄いプログラマをいっぱい雇うことは不可能に近い。MicrosoftやOracleですら、凄いプログラマを大量に雇用することは簡単ではない。
結局LinuxがすごいOSSになったのは、世界中の凄いプログラマが大量によってたかって作ったからで素人が作ったからではない。確かにLinusは最初は素人だったかもしれないけれど20年間、作り続けたというのは凄い人なわけで、そのような凄い人を企業が発見して自社に囲い込むことは不可能に近い。
ハッカーをリスペクトしてハッカーに働いてもらって凄いものを作ってそれによって企業が利益を得る。そのためには、凄いハッカーを発見して働いてもらうということが重要なのだけど、世界はソフトウェアで動いていることを理解していない人たちにそれを理解させることは難しい。そもそもその世界が全く見えていないのだから。
Microsoftは、その動作原理を理解している数少ない会社だ。昔からハッカーをいっぱい集めてすごい製品を作って来た。そして、自社だけではどうにもこうにもならないので基幹製品の.NetをOSS化した。
すごいことだ。
イノベーションのジレンマに打ち勝つのだろうか。それとも成果をあげられなくて市場から撤退することになるのだろうか。