未来のいつか/hyoshiokの日記

hyoshiokの日々思うことをあれやこれや

インターネットのパワーと可能性を高校生に伝えたい(楽天IT学校)

弊社がやっている楽天IT学校というのがあって、自分も講師役で関わっている。

http://corp.rakuten.co.jp/csr/it-school/
楽天IT学校というのは、主に商業高校の生徒向けに、楽天の店舗・施設(ホテルなど)と協力して、電子商取引の実践を教える授業である。今年は、5月ごろスタートして、生徒と一緒に、楽天市場や、楽天トラベルのページを作っていき、来年の1月にその成果を発表する。*1

私は、和歌山県立和歌山商業高等学校の担当になったので、月に一回程度、高校にお邪魔して、授業を行っている。

(講師の大山さんと和歌山商業高校生徒の皆さん)

高校生にとってみれば、今まで使うだけだったインターネットで、実際のページを作りながら、実際のモノを売る機会を得られるというのが一番大きいと思う。使うだけのインターネットでモノを売る、商売をするインターネットになるという経験は、なかなかない。店舗のホームページを作ってみることによって、何にも考えずに使っていたページに様々な工夫がされていることを知り、モノ売ることの難しさ、楽しさ、面白さなどを実際に体験する。

通常の電子商取引の授業では、ホームページの作り方などを学ぶが、実際の商品を販売するところまでは実践できない。そこで楽天楽天に出店している店舗などと協力して、実際の商品を楽天を通じて販売するところまでを授業でカバーする。

年々参加校、参加高校生が増え、今年は、全国の67校から2000人近くの生徒が参加している。

実のところ、和歌山に行くのは人生初めてだった。全く土地勘のないところに行って高校生と一緒になって市場の販売ページを作るというのも初めてだし、商業高校の先生や店舗さんとのやりとりももちろん初めてだった。これまで、4回の授業を行い、生産者さんへの見学も行った。

協力を仰ぐ、紀伊国屋文左衛門本舗(株式会社とち亀物産)の上野社長は、みかん社長として楽天市場の中でも有名な方だ。
http://www.rakuten.co.jp/bunza/

今回販売する物品は、和歌山名物のみかん、梅干し、生マグロとなる。この商品を8チーム44名の高校生がチームごとに創意工夫をして販売ページを作って、売れる商品にする。

商品の機能、優れているところ、利益などを、販売ページで訴求するのであるが、実際にそれを作っていくと全く上手くいかないことを高校生は経験する。写真の配置、キャッチコピー、購買に結びつくような動線など、今まで意識したことがなかったことを初めて意識して作っていくことになる。

インターネットでモノを売る経験をする。

商品を知ってもらう、興味を持ってもらう、購買してもらう、それにはどのような難しさがあるのか販売ページを作りながら経験する。

学校の先生方にとっても電子商取引の授業を教えることはできても、販売の経験がほとんどないので、実践的なコーチングがなかなか難しい。

店舗さんのインターネットでの販売経験が授業に厚みを加える。

誰がなぜその商品をインターネットから買うのか?どのような人にこの商品を売りたいのか?なぜその人はその商品を買うのか?売り手、買い手、それぞれの立場で考えに考える。

みかん、梅干し、生マグロ、和歌山県の銘品だ。高校生にとっても馴染みがある地元の品である。当たり前に食べているみかんの優れたところを意識して言語化する経験を「初めて」する。梅干しはどんな人がどうやって作っているかを学ぶ。生マグロとは何なのか冷凍マグロとどう違うのかを知り、それの利点をどのようにインターネットで訴求していくのか。それを実習で学ぶ。

高校生と一緒になって販売ページを作っていくのは楽しい。自分が一番楽しんでいる。自分が高校生だったら、絶対この授業を取りたい。

学校の授業が無味乾燥で面白くないということはない。何かを学ぶことはめちゃくちゃ楽しい。そして、その学びの中から職業観などがおぼろげながら湧き出てくる。

県庁所在地の駅前ですらシャッター街になっている。若者は大都市へ出ていく。地元に雇用の受け皿は少ない。生まれたところの良さを知る機会というのは、ありそうであまりない。

インターネットの販売ページを作るということは、地元の良さを言語化することだ。地元の店舗が売っている商品をよく理解して、好きになって、誰かに勧めることだ。地方が元気になるお手伝いをインターネットを利用して行う。そのパワーと可能性を高校生に伝えたい。

*1:楽天IT学校甲子園。2017/1/13開催予定。