未来のいつか/hyoshiokの日記

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木に学べ―法隆寺・薬師寺の美、西岡常一著、濫読日記風、その34

木に学べ―法隆寺・薬師寺の美 (小学館文庫)を読んだ。

薬師寺宮大工棟梁の西岡常一の語りをまとめたものだ。宮大工の仕事の一端がうかがい知れる。自分の想像を超える考え方に衝撃を受けた。

本書を手に取ったきっかけは、ネットでたまたま発見したリンダ・グラットンの「LIFE SHIFT(ライフ・シフト)」の勉強会に参加したところ、講師の大熊玄准教授が本書を紹介していたからだ。 *1

「ライフ・シフト」は「人生100年時代」というキャッチーなフレーズもあってベストセラーになり、自分も感化された1人だ。100年なんて長い期間は考えたこともなかった。考えたこともなかったからこそ、自分の中に共感というか気づきが生まれた。

未来は予測できない。予測できない未来だからこそ、変化に適応する能力が重要になる。偶然に身をまかせるのではなく、主体的に自ら未来を切り開く。そのような時代のヒントに満ちたのが「ライフ・シフト」だと思う。

そして、IT時代の1年先も予測できないのに、100年先をどうやって考えるのか。想像もつかないし、考えたこともなかった。

その文脈で「木に学べ」が紹介された。法隆寺の棟梁は飛鳥時代の祖先からの口伝から学んでいる。現代に生きていながら飛鳥の知恵で生きている。

法隆寺は世界で一番古い木造建築だ。1300年以上前の建築物である。飛鳥時代の人がどのようにして1300年ももつ建造物を作り得たのか。その謎が西岡の口から語られる。

樹齢千年のヒノキは千年もつと言われている。日本にはもう樹齢が千年を超えるヒノキはない。日本で一番大きなヒノキは木曽にある樹齢450年ほどらしい。

千年も二千年も木が育つには土壌が重要で、木を見るには土をみろというらしい。

「棟梁は、木のクセを見抜いて、それを適材適所に使う」ことだという(12ページ)

昭和時代に西岡によって薬師寺西塔が再建されたが、それが本当にできているかはわからないという(166ページ)。地震や台風が来て何百年後にも倒壊していなければ完成したということか。

自分には想像もつかない時間軸の話である。

江戸時代の建築物(日光の東照宮など)はせいぜい三百五十年。

なんだかよくわからないけど棟梁の世界をもう少し知りたいと思った。



濫読日記風