ゲーデル、エッシャー、バッハ、第20章、六声のリチェルカーレ、訳者あとがき、訳者紹介まで読了、ダグラスRホフスタッター著、濫読日記風 2018、その15
ゲーデル、エッシャー、バッハ―あるいは不思議の環 20周年記念版を読了した。
ゆるゆるとゲーデル、エッシャー、バッハを読む会(ゆるげぶ)で読書会をしていたゲーデル、エッシャー、バッハ(GEB)を読了をした。第20章の次の「六声のリチェルカーレ」も熟読した。
GEBは章番号が付いている本編(?)と章番号がついていない亀やアキレスや蟹が出てくる部分との図と地が織りなす二重らせんの構造をしている。まるでエッシャーの絵のようだ。無限に音階が上昇していくカノンのようだ。
地の部分があるから図が際立ち、図がなければ地の存在は意味がない。
難しい本を読んでいて、理解できないところを無意識にスルーしている自分に気がついた。同じ本をみんなで読むタイプの読書会では、それぞれの人の感想を聞けるので、自分と随分違う読み方をしている、あるいはそのような読み方があるのかという発見にいとまがない。さらに担当を決めて、その章の説明を順番でするというタイプの読書会だと、ゆるげぶはまさにそのような読書会だ、自分なりに咀嚼して理解していないと説明できないので、深い理解が得られる。というか自分の浅い理解に気が付ける。
意識していなかったのだけど、よくわからないところはうわべだけを読んでスルーしていた。説明しようとして、ハタと、あれコレってどーゆーことだと理解していないということに気がついた。理解していないことに気がつくというのは意外とありそうでない経験だ。
シェパード・トーンという無限にオクターブが上がっていくように聞こえる音律(707ページ)というのを知った。そして、映画の効果音にそれが使われるとなんとも言いようのない緊張感を醸し出すということも知った。
知らないということは簡単にわかる。知らないから。だけど理解していないということに気がつくというのはありそうでない。理解しているということは誰かに説明できれば間違っていたとしても理解はしていると言えるので意識できるが、理解していないということを知ることは難しい。
理解度テストなんていうのは日常生活では、ほとんどない。説明を誤解しているなんていうことはむしろ日常茶飯事である。しかし、自分が誤解しているということに気がつくことはほとんどない。そう考えると怖い。
なんていうことを読みながら思った次第である。
一冊読了したということは自分の人生において未読の本が一冊減ったということに他ならないのだけど、実際は、もっと読みたい本がどんどん増えるので、未読の本がどんどん増えていく。
読了することによって、今まで見えていなかった暗闇に光が当たって、そこには膨大な未踏の豊かな未読の山が存在することを知る。
自分の無知を知れば知るほど広大な未踏の地を発見していく。
ゲーデル、エッシャー、バッハを巡る旅は尽きない。無限と有限。地と図。
読書会をすることによって、本を読むという行為をメタに考える機会を得た。GEBがそのようなある対象についてのメタなことを題材にあれやこれやグルグル回っている構造であるというのも面白かった。
GEBを題材に「ゲーデル、エッシャー、バッハの薄い本#3」を刊行予定である。(宣伝)
濫読日記風 2018
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