未来のいつか/hyoshiokの日記

hyoshiokの日々思うことをあれやこれや

学びのパターン・ランゲージを用いた一人で対話ワークショップをやってみる(その4)

学びのパターンは「創造的な学び」のコツを記述したもので慶応湘南藤沢キャンパスで開発され利用されている。詳しくは以下参照。
http://learningpatterns.sfc.keio.ac.jp/

前回まで


今日は行き詰まりを感じているときのパターンからいくつか拾ってみる。
http://learningpatterns.sfc.keio.ac.jp/context_deadend.html

No. 6 研究への情熱

説明:研究活動には、山あり、谷あり。情熱をもてるテーマでなければ、最後までやり抜くことは難しい。
問題:研究の途中で、自分が取り組む意義を見失い、研究を先に進めることができなくなってしまうことがある。
解決:研究テーマを考える際には、「自分が取り組む」ということを意識し、情熱をもてるテーマを選ぶ。
やったこと:勉強会勉強会を立ち上げ、勉強会カンファレンスを開いた。勉強会に関する深い興味があったので、情熱をもって取り組めた。

自分が好きでもないことに取り組まなければいけないとしたらそれは苦痛になってしまう。好きか嫌いかは得意か不得意かという以前に重要な観点である。

最初の一歩は興味を持つということから始まると思う。

No. 9 教わり上手になる

説明:他の人に「やってもらう」のではなく、上手に「教わる」と、次につながる。
問題:一度教わったはずのことが、なかなか身につかない。
解決:自分がやりたいことと、これまでにできたことを把握してから、できない部分について教わり、次には自分でできるようにする。
やったこと:社内勉強会の各種手続きについて、いろいろ教えてもらいながらやった。

一度教わったものでも、なかなか身につかないのは、単に記憶力が悪いということもあるが(トホホ)、何がわからないかを明確にした上で、教わる。教わったことはチェックリストやメモにしておくと、後々役にたつ。

社内手続き系は、知らないとにっちもさっちもいかない。少なくともにっちもさっちも行かないということは知っているので、あらかじめマニュアルを探したり、人に聞いたりしながら、作業を確認していくことになる。海外出張の精算などは行く前から複雑そうだなとあたりをつけて準備をしておく。案の定、死ぬほど複雑だった。

No. 13 アウトプットから始まる学び

説明:与えられた知識をインプットするだけが、学びではない。
問題:動機の見えない知識のインプットは、身につけることが難しい。
解決:何かを作ったり、実践したりするなかで、知識やスキルを身につける。
やったこと:Mozillaソースコードを読みながら、Mozillaの解剖というページを作った。それをネタに雑誌の記事を書いた。

オープンソースソフトウェアという新しいソフトウェア開発の方法論を生み出すきっかけになったNetscape社のMozillaプロジェクト。そのソースコードを読むのは純粋に興味があったからである。Mozillaの解剖というホームページを作りつつ、ソースコードを解読していった。大規模ソフトウェアのソースコード読解のスキルを身につけた。

インターネットに情報公開したので、それをきっかけに雑誌の記事を書いたり、mozilla.party.jpというイベントに呼ばれたり、様々な人と知り合ったりした。

No. 14 プロトタイピング

説明:ものづくりでも、政策でも、つくってみて初めて「わかる」ことがある。
問題:頭のなかで考えているだけでは、これからつくるものの問題点や可能性に気づきにくい。
解決:プロトタイプ(試作品)をつくることで、様々な可能性を吟味し、よりよいものを目指すことができる。
やったこと:VAX COBOLコンパイラをいじってNCOBOLという変数名にも日本語が使えるCOBOLコンパイラを作った。後に商品化された。

当時(1980年代なかごろ)、2バイト文字を扱えるJCOBOLというVAX COBOL向けプリプロセッサがあって、その開発チームにいた。プリプロセッサなので、ソースコードを一度COBOLに変換し、コンパイルする必要があった。変数名に日本語は使えなかったし、処理速度も遅かった。そこで、COBOLコンパイラをいじって、2バイト文字をデータとして直接扱えるようにした。このプロジェクトは、上司の黙認のもと勝手に一人で開発して(2−3週間程度)、プロトタイプを作って、リグレッションテストを全て通した。後に製品化された。

まとめ

学びのパターンを4つ振り返ってみた。いかがだっただろうか。みなさんにとっての学びのパターンはどんなものがあるのだろうか、ぜひお聞かせいただきたい。

技術者としてスキルを身につけそれを伸ばして行くためには継続的に学び続ける必要がある。年齢とともに保守的になり、学びのパターンも固定化していく。意識して学びのパターンのレパートリーを増やして行かないと、学ぶことそのものが億劫になってしまうような感じがしている。