未来のいつか/hyoshiokの日記

hyoshiokの日々思うことをあれやこれや

沈黙を破る者、読了

沈黙を破る者を読んだ。

第二次世界大戦のころのドイツと現代が交差する物語。父の遺品を整理していた主人公ロベルト・ルビシュはセピア色のポートレート写真を見つけた。若い女だ。この女を探す旅が始まる。父の遺品にナチス親衛隊員の証明書があった。この人物は誰なのだろうか。

ドイツの田舎町での古い写真館は既になかった。古くから住んでいる人を訪れ、調べていく主人公。写真の女性はテレーゼ・ポールだということがわかった。ナチスが支配するドイツでテレーゼにはどのような運命がまっているのか。

ドイツ・ミステリ大賞第1位の傑作。

メヘティルト・ボルマン。1960年ドイツのケルン生まれ。2006年デビュー。本書が初めての日本語で紹介された作品となる。

主人公が発見した写真や身分証明書から物語が始まるわけであるが、主人公の父親がなぜその写真を持っていたのかという謎解きと、もう一人の主人公のテレーゼの人生がどのように交差していくのかが興味深い。ナチス時代のドイツの生活描写や現代のドイツでのそれとの対比も面白い。ドイツの現代ミステリーを読んだのは初めてなのだが、他の作品も読んでみたいと思った。

登場人物が多いので、巻頭にある登場人物のリストをたびたび参照しながら読んだ。お勧めである。