未来のいつか/hyoshiokの日記

hyoshiokの日々思うことをあれやこれや

ドストエフスキーをいろいろと読んだ、濫読日記風、その17

世界近代小説五十選、文学入門、桑原武夫著、(1963年改版)、濫読日記風、その16 - 未来のいつか/hyoshiokの日記で紹介した読書リストから、最初に罪と罰 1 (光文社古典新訳文庫)を読んでみた。

ドストエフスキーは名前は聞いたことはあるけど、まるっきり読んだことはない。それどころかロシア文学(?!)を読んだことは全くない。ということで、なんでもよかったのだけど、有名どころから読むことにした。

ネットを検索すると 【お知らせ】連続する読書会「ドストエフスキー」全5回+おまけ会 – 双子のライオン堂 というのを見つけた。

一人で読むのはしんどいし、読書会だったら無理やり読めると思ったので参加することにした。残念ながら第1回には参加できないので、それは一人で読むことにしたのだが、6月末に出張ではこだて未来大学に行った時、たまたまご一緒した、翔泳社の岩切さんに声をかけて「罪と罰」読みましょうよ〜と巻き込んでみた。(いろいろとご迷惑をおかけしました)そんなこんなで8月に岩切さんと読書会したのだけれど、当面ドストエフスキーはお腹いっぱいということで、残りの作品については、「連続する読書会」に参加することをきっかけに読んだ。

結局、下記の長編4作品を読了した。

いろいろな訳があるわけだけれど、光文社古典新訳文庫版を読んだ。光文社古典新訳文庫の栞は主な登場人物が書いてあるという初心者に優しい仕様になっている。 光文社古典新訳文庫 創刊10周年|2016|

ロシア文学のイメージは長くて難しい、登場人物がやたら多い、なんだかわけのわからないサイドストーリーがいろいろとあってあらすじを追うだけでは理解が難しい。とかなんとか敷居が非常に高い。(という風に感じていた)

若い頃に体力にものを言わせて、ガガーーッと読むのではないので、60歳間際のおじさんがほそほそと読むのには、少しでも優しいものがいいと思う。ハードルの一つが登場人物の名前だ。それをどうにか克服するために、栞に主要登場人物があるというのは画期的ではないか。

ということで、光文社古典新訳文庫ラブ。ありがとう。(実のところ、亀山先生の訳がどうだこうだ言えるほどの見識はない)
翻訳ものは賞味期限があるので、新訳の方が読みやすいというのは、その通りだと思う。さすがに名訳だとしても戦前の翻訳を読むことは不可能じゃないとしてもちょっと慣れるまで時間がかかりそうな気がする。

白痴の読書会は、ロシア文学の専門家とか若いころ(高校時代とか)ドストエフスキーにはまってましたとか、すごい人が参加するような場だったので、若干ビビったのだが、60間際のおじさん(しつこいね)の厚顔無恥さを発揮して、ずんずん感想を言った。

やっぱ、自分の読み方と全く違う読み方をする皆様の感想を聞くのは面白い。そのような意味だったのかーと自分の読み方の浅さを再認識したり、全く知らないことでスルーしていたことの意味を知ったり、なんとなく自分の読み方の幅が広がった気がした。

東大の先生が新入生に進める本の堂々の一位が「カラマーゾフの兄弟」ということはどうでもいいのだけど、若い頃にドフストエフスキーにどっぷりつかるというのは人生を豊かに生きる意味でも悪くない選択だ。いらないお世話だけど。

罪と罰」を読んだからといって、何か新しい発見があったかというとよくわからないというのが正直なところだ。「カラマーゾフの兄弟」が世界最高峰の文学だと言われても、うーん、そうなんすか?と思うけど、それに対する有効な反論を持たないというのも悔しいという感じである。

カラマーゾフの兄弟」は一言で言えば、強欲なお父さんとその三兄弟にまつわるあれやこれやの小説で、長男に父親殺しの嫌疑がかかるというのがあらすじである。(ざっくりしすぎて専門家からマサカリが飛んできそうだ)神と宗教、強欲と博愛、肉欲、人間の光と影、などなど全て突っ込んだ小説で、後年の文学に多大な影響を与えた(と言われている)。

読了した人は、まあ、読め、若造。と上から目線で勧める。読んで損はないという。確かに損はない。だけど、直接的なトクもない。トクもないのだけど、やっぱり読んでよかったと思う。余計なお世話だから、「読め」とは言わないけど、騙されたと思って、読んでみるというのもいいと思う。結局勧めているか。

読め。


読書リスト

罪と罰

自分にとって初めてのドストエフスキー罪と罰だ。主人公が質屋のおばあさんを殴り殺すというひどい話なのだけど、当時のロシアの貧困さとか街のにおいなど世界観がすごい。大学生というのはエリートだったのだろうかと思いを馳せた。


白痴

白痴は光文社古典新訳文庫が完結していなかった。途中まで買って、翻訳が完了していなかったということを知り愕然とする。とほほ。
新潮文庫版はあらすじが裏表紙についているのだけど、最後の結末(ネタバレ)が堂々と記されていて、それを何気なく読んでしまって、金返せ〜と思ってしまった。新潮文庫版を読む人は注意しよう。冒頭は列車のシーンで知らない人たちがよもやま話をするところから始まる。列車のボックスシートでの知らない人と話をするというのは最近していないなあと思った。


悪霊

悪霊は登場人物がやたら殺される、死ぬ、というなんとも言えない殺伐とした感じがいい。「スタヴローギンの告白」の異稿という別バージョンがあって、ドストエフスキーの研究者の中でも議論があるらしい(よく知らないけど)。別巻でそれも読める。


カラマーゾフの兄弟

世界文学の最高峰。多くの作家が影響を受けたという触れ込みだ。これを読めばモテる。(ということはないと思うが)
カラマゾフさんを殺したのは一体誰だというミステリーである。謎解きを楽しんでほしい。というわけでネタバレはしない。ネットでは意外なほどネタバレ記事がない。なぜなのだろうか。多分、誰も読了していないからネタバレ記事が少ないのではないかと予想している(よしおかのカラマーゾフの兄弟予想)

ドストエフスキーの五大長編と呼ばれるものは上記の4作品と下記未成年 上巻 (新潮文庫 ト 1-20)未成年 下巻 (新潮文庫 ト 1-21)だ。残念ながらこちらはは未読だ。

別訳の作品たち

白痴

光文社古典新訳文庫をいそいそ買ってからまだ完結していないことを知った。新潮文庫版もあるがこちらはあらすじにネタバレがあるので注意したい。


カラマーゾフの兄弟

別訳にも挑戦してみようと思った。

おまけ

罪と罰」の重さを計ってみた。約720g。「白痴」700g。「悪霊」940g。そして「カラマーゾフの兄弟」1050g
「白痴」が一番軽くて、「カラマーゾフの兄弟」が一番重い。ちなみに、「悪霊」には「スタヴローギンの告白」という別巻があってそれは200g、「カラマーゾフの兄弟」にもエピローグがあって、それは180gとなる。参考まで(役に立たない無駄知識w

罪と罰」(1489ページ)から始めて、「白痴」(1415ページ)、「悪霊」(1919ページ)そして「カラマゾフの兄弟」(2185ページ)、全部で7008ページ、ひょえーお腹いっぱいっす。「未成年」は未読。若い頃に読んでいたら、随分印象が違ったのだろうなあと思う。本を読む時期ってあるのかな。ないのかな。
「白痴」が木村浩訳(新潮社文庫)なのは、亀山郁夫光文社古典新訳文庫)がまだ翻訳途中だから。未成年も工藤精一郎(新潮文庫)を購入した。それ以外は亀山郁夫訳、光文社古典新訳文庫で読んだ。


濫読日記風