未来のいつか/hyoshiokの日記

hyoshiokの日々思うことをあれやこれや

自称プロの酔っ払いが飲酒をやめた話

2年ほど前に、『田舎暮らしに殺されない法 (朝日文庫)』、丸山健二著、を読んだ。

団塊の世代が定年を迎え、「第二の人生」を「夢の田舎暮らし」に憧れて過ごす人たちに向けて、安易に田舎暮らしを決めていいのかというような趣旨の本だ。友人のFacebookのタイムラインでたまたま発見して2年ほど前に読んでみた。

よ:定年本の中で読んだ本で最も影響を受けた一冊を紹介します。
相手:はい

よ:田舎暮らしに殺されない法、丸山健二ですね。これを読んでから家呑みしていません。(2015年10月頃からか)
あ:そうなんですか

よ:第二の人生を田舎暮らしで過ごそうと言う世代に向けてのの本です。
あ:はい

よ:そもそも第二の人生と言う設定は会社員という前提があります。
あ:ふむふむ

よ:会社員以外の仕事の場合定年というのはない
あ:そうですね

よ:農業も商業も定年はない
あ:うんうん

よ:結局のところ第二の人生というのは会社員と言う職業を選択した人にとっての状況でしかないわけです
あ:はい

よ:会社員の自分は人生においてなにか自分で考えて来たことがあったのか組織という中でたまたまここにいるだけではないか。たまたまです!
あ:それでそれで

よ:この本はくそみたいな会社員生活を送った人が「第二の人生」にバラ色を観て、そこには美しいなにかがあるかという幻想や妄想をもつことを戒めている本なんですね。
あ:ふむふむ

厳しい現実

よ;田舎生活で自己実現をしようとか、ボランティアで余生を過ごそうとか、それをそそのかすペテン師にだまされるなという本だというふうに理解しました。

あ:親切な本ですね
ところで禁酒のススメはなぜなのです?

よ:「彼らによっていいかもにされているあなたは、カモにされている自覚さえもなく、いえ、気がつくことを怖れて、次から次へと安売りされる」

怖い

よ:「気休めの効果しか得られそうになもない、砂糖菓子のように甘ったるいばかりでどんどん心を蝕まれていく、<ジャンクフード>とでもいいたくなるような最悪な言葉中毒にやられ、人間として尊厳とも矜持とも一切無縁な、けもの以下の醜悪な存在となって、それでも成仏の幻想にしがみつきながら実に無惨で実に無様な生涯をおえていくのです」(50ページ)

あ:そこまで…

よ:そこまで

あ:けもの以下って…

よ:「そんなあなたの足を引っ張るものがほかにもあります」

あ:なんでしょう?
はっ!もしかして!

よ:そうです。

よ:「それは酒です」

あ:適度なお酒もダメなのですか?
お酒を飲むといい気分になるのですが?ダメですか?

よ:「酒への依存は、特に家で一日中ごろごろしている暮らしが習慣になってしまった者に顕著にみられ、その気になればあさから呑みつづけられるという異常な生活は、あなたをたちまちのうちにアルコール依存症にしたてあげてしまうことでしょう」

50代のおじさんにはしみる一冊であった。とりあえず、無自覚な家呑みはやめた。それまでは、土日・休日になると昼からビールやワインを飲んでいたし、飲み会の後でも、家で飲み直しをしていた。本書を読んで家飲みをやめたのが2015年10月頃である。

家で飲まなくなったのだけど、飲酒そのものは続けていた。

2016年忘年会シーズンに、ふと思い立って禁酒をしてみた。2016年12月20日だ。

当初は年内くらい試しに禁酒してみようかなという極々軽いノリだったのだった。(試しに)当面禁酒します。などというのをFacebookで宣言してみた。

「年末は、当面禁酒します」

それが2016年12月20日

やってみると年明けも禁酒している。春になっても禁酒が続いている。夏も秋も気がつくと一年禁酒していた。

体調が不順でドクターストップがかかったわけではないので、心配はご無用だ。体調はすこぶるいい。問題はない。

試しに禁酒してみたら続いただけの話だ。

とはいうものの、酒を一滴も飲まないというわけではない。日本酒の会なんかで味見程度にペロペロ舐めることはしている。乾杯で一口だけをいただくこともある。厳密な意味での禁酒ではなくて、もっとゆるいいい加減な禁酒だ。

アルコール依存症の人が依存症から抜ける時の禁酒はもっと厳密に管理されているものだと思うが、私の場合は相当いい加減なおちゃらけな禁酒である。

それでも禁酒をすると、思いもよらなかった(?)メリットがあった

  1. 二日酔いしない
  2. 記憶を無くさない
  3. 料理の味がわかる

何と言っても二日酔いとおさらばだ。飲みに行くと大抵泥酔へべれけだったのだけど、それが一切ない。嬉しいことに二日酔いもない。二日酔いの経験がある人はわかると思うのだが、あのどうしようもない倦怠感、酒を飲みすぎた自分への嫌悪感、自己否定感などなど、二日酔いの肉体的ダメージ(頭痛・吐き気・倦怠感など)のみならず、あーまたやっちゃったよという学習しない自分への精神的ダメージが、一切ない。清々しいほどない。

ぐっすり眠れる。朝起きるのが楽だ。人生が楽しい。ストレスもない。

泥酔・へべれけで記憶をなくすことも少なくなかった。気がつくと家で寝ていたということもよくあった。どうやって帰宅したのか、よくわからない。事件に巻き込まれなくて本当によかった。たまたまだけどね。

そのおかげか、電車の中で寝てしまって、乗り過ごすという、ありがちな失敗もない。気がつくと知らない駅で目が覚めて帰りの終電も出た後で途方にくれるということもない。

そして何より嬉しいのが、美味しい料理を美味しく味わえるのだ。

泥酔・へべれけの時は、別につまみが美味い不味いにはほとんど無頓着で適当に口に運ぶだけだった。味わいながら食べるということがほとんどなかった。もったいない話だ。

今では、一口ふくむ前にしっかりとその形、色つや、などなどを眺め、舌触り、食感などなどを意識しながら食べるようになった。

美味しいものを美味しく頂けるようになった。当たり前の話だけど、ぐでんぐでんに酔っ払っていた時は、そんな意識はほとんどなかった。もったいないことをした。

そんなこんなで考えると禁酒はメリットばっかりだ。

あえて残念なことを言うと、見目美しい女性に「よしおかさんが飲まないのつまんなーい」と言われるのが唯一ツラい。綺麗なおねいさん怖い。それ以外はメリットだらけだというのが実感である。

人生100年時代、60歳より手前で禁酒のメリットに気がつけてラッキーだったと思う。