未来のいつか/hyoshiokの日記

hyoshiokの日々思うことをあれやこれや

やし酒飲み、エイモス・チュツオーラ著、土屋哲訳、濫読日記風、その31

やし酒飲み (岩波文庫)を、岩波文庫、私の三冊という記事で見つけて偶然読んだ。

なんの先入観も予備知識もなく読んで、その世界観にやられた。

冒頭がすごい。

わたしは、十になった子供の頃から、やし酒飲みだった。わたしの生活は、やし酒を飲むこと以外には何もすることのない毎日でした。当時は、タカラ貝だけが貨幣として通用していたので、どんなものでも安く手に入り、おまけに父は町一番の大金持ちでした。

えー。子供の頃からやし酒飲みだったって、言っている意味がわからない。そもそも「やし酒」ってなんだろうか。南国に生えるやしから取ったお酒なのだろうか。梅酒みたいなものなのだろうか。どんな味がするのだろうか。ちょっと味見をしてみたい。

その国では子供がお酒を飲むのが許されているのだろうか。日本も昔は子供でもお酒を飲んでいそうだから、広い世界の中には、十になった子供の頃からやし酒飲みの地域があっても不思議ではない。

金持ちのドラ息子は昼からやし酒を飲んでへべれけになっているのだろうか。

妄想は尽きないのであるが、やし酒を飲むだけの生活と思いきや、いきなりやし酒造りの名人が死んでしまうので、やし酒に事欠くことになる。ピンチだ。そこで死んだ自分専属のやし酒造り名人を探しに行く。死んだものは「死者の町」にいるので、そこへ旅に行く。

あらすじはどうでもいいので(というか、あらすじを追うような小説ではない)、ともかく読んでみてほしい。奇妙な物語である。

アフリカ文学の最高傑作と呼ばれているらしい。

200ページもないので、すぐに読める。

私はこの手の小説は嫌いではない。むしろ好きだ。おすすめです。


濫読日記風